プレスリリース

2008年7月31日
関西電力株式会社

高浜発電所3号機の原子炉起動および調整運転の開始について

高浜発電所3号機 第18回定期検査の概要

1. 今回の定期検査を利用して実施した主要な工事
 (1)原子炉容器上部ふた取替工事  添付−1図−1参照
   大飯発電所3号機の原子炉容器上部ふた管台溶接部からの1次冷却材漏えい事象を踏まえ、長期的な健全性維持を図るため、材質を変更するなど改良を施した新しい上部ふたに取り替えました。
 旧上部ふたについては、専用の容器に格納して既設のB蒸気発生器保管庫内に保管しました。

 (2)再生熱交換器取替工事 (図−2参照)
   国内PWRプラントにおける高サイクル熱疲労割れ事象(温度ゆらぎによる疲労)を踏まえ、内筒を有する再生熱交換器については定期的に点検を行っていますが、今後の保守性を考慮し、再生熱交換器一式(3台)を内筒のない構造のものに取り替えました。
 旧再生熱交換器については、専用の容器に格納して既設のC廃棄物庫に保管しました。

 (3)600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る点検・予防保全工事
  (図−3参照)
   国内外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器底部、加圧器逃がし弁管台、同安全弁管台、同スプレイ弁管台、および同サージ管の溶接部については、外観目視点検や超音波探傷検査を、原子炉容器冷却材出入口管台と蒸気発生器出口管台の溶接部については、渦流探傷試験を実施し、異常がないことを確認しました。
 また、予防保全対策として、溶接部表面の残留応力を低減させるため、原子炉冷却材出入口管台と炉内計装筒の内面および表面溶接部にウォータージェットピーニング工事*1を、蒸気発生器出口管台の溶接部表面にショットピーニング工事*1を実施しました。
 なお、蒸気発生器の入口管台溶接部については、ショットピーニング工事施工前の渦流探傷試験で有意な信号指示が認められたことから、補修工事を実施しました。
 
  *1: 金属表面の引張残留応力を圧縮応力に変化させる工法で、金属表面に高圧ジェット水を吹き付ける工法(ウォータージェットピーニング)と、金属表面に金属の玉を高速度でたたきつける工法(ショットピーニング)。

 (4)亜鉛注入装置設置工事 (図−4参照)
   作業員の被ばく低減を図るため、コバルト-60等の放射性物質が機器や配管内表面への付着を抑制する効果がある亜鉛を1次冷却材中に注入する装置を化学体積制御系に設置しました。
  ※: 1次冷却材中に放射化しにくい亜鉛を注入して、機器や配管内表面に被膜を形成させることにより、コバルト-60等の放射性物質が機器・配管内表面へ付着することを抑制し、1次冷却材系配管等の線量を低減する。亜鉛注入は国内プラントでの実績がある。

2. 今定期検査中に実施した保全対策について
 (1)高サイクル熱疲労割れに係る対策工事  (図−5参照)
   国内PWRプラントにおける高サイクル熱疲労割れ事象(温度ゆらぎによる疲労)を踏まえ、AおよびB余熱除去冷却器バイパスライン合流部の2箇所について、温度ゆらぎを抑制するため配管ルートを変更しました。
 また、弁のシートリークによる高サイクル熱疲労割れの予防保全対策として、安全注入系統の3箇所に弁を追設しました。

 (2)2次系配管の点検等  (図−6参照)
  1 当社の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、1,528箇所*2について超音波検査(肉厚測定)を実施しました。
その結果、必要最小厚さを下回る箇所および次回定期検査までに必要最小厚さを下回ると評価された箇所はありませんでした。
   
*2: 定期検査開始時の計画では、1,531箇所の超音波検査(肉厚測定)を実施する予定でしたが、下記の点について見直しを行い、合計3箇所が削減となりました。
・他プラントの減肉事象を踏まえた追加 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・11箇所増
・配管取替による変更 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・14箇所減
合計 3箇所減
     
  2 今定期検査開始時には596箇所の配管取替を計画していましたが、配管取替えの作業性を考慮して14箇所を追加し、合計610箇所の配管を取り替えました。

3. 定期検査中に発生した安全協定に基づく異常事象
 (1)A、B、C−蒸気発生器入口管台溶接部での傷 (図−7参照)
   今定期検査において、蒸気発生器(全3台)の1次冷却材入口および出口管台の600系ニッケル基合金溶接部での応力腐食割れ予防保全工事としてショットピーニング工事を計画しており、事前に当該溶接部内面について渦流探傷試験を実施したところ、A、BおよびC号機の入口管台溶接部で有意な信号指示が32箇所で認められました。有意な信号指示が認められた箇所について、超音波探傷試験を実施し、傷の深さを確認したところ、最大深さが約15mmと評価されました。
 原因調査のため、傷が確認された箇所のスンプ観察などを実施しました。
 その結果と日本原子力発電(株)敦賀発電所2号機の原因調査結果との比較から、高温の1次冷却材水質環境と、グラインダ施工(研磨)による引張り応力が重畳して発生した応力腐食割れであると推定されました。
 対策として、傷が認められた箇所について、内表面全周を切削装置で一様に切削し、深い傷については、部分的にクラインダで切削して全ての傷を除去しました。その後、深く切削した部分は600系ニッケル基合金で補修溶接を行い、その上で全周を耐食性に優れた690系ニッケル基合金で肉盛溶接を行いました。また、念のため、内表面についてバフ施工を行い引張残留応力の低減を図りました。
平成20年2月4日3月10日 お知らせ済み]

4. 蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT)の結果
   3台ある蒸気発生器の伝熱管全数(既施栓管を除く9,786本)について、渦流探傷検査(ECT)を実施し、異常がないことを確認しました。

5. 燃料集合体の取り替え
   燃料集合体全数157体のうち57体(うち32体は新燃料集合体)を取り替えました。
 燃料集合体の外観検査(8体)を実施した結果、異常は認められませんでした。

6. 次回定期検査の予定
   平成21年春頃

以  上

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