放射線(ほうしゃせん)ってなに?

放射線がみんなの身近なところで活躍していることがわかったところで、「放射線とはどんなものなのか?」について見ていこう。
放射線とは、最初に説明したように、「いろいろな物を通りぬける」「いろいろな物の性質や状態を変える」といった、性質を持っているものなんだ。そして、放射線は、人の目には見えない小さな「つぶ」や「光の仲間」なんだよ。
放射線にはいろいろな種類があるけれど、おもなものとして、「アルファ線」「ベータ線」「ガンマ線」「エックス線」「中性子(ちゅうせいし)線」といった種類があるんだ。

◆放射線の種類と「物を通りぬける力」

放射線の「物を通りぬける力」には、放射線の種類によって差があるんだ。

たくさんの放射線をあびると、なぜ危ないの?

人間の体は、とても小さな「細胞(さいぼう)」が集まってできているんだ。人間の体を作っている細胞は、放射線をあびるとキズついてしまうんだ。それでも、細胞には「自分で傷を治す力」があるから、少しの量の放射能をあびるくらいなら、元通りになるんだ。
そんな人間の細胞も、たくさんの放射線をあびると、自分の力でキズをうまく治せなくなってしまうんだ。それが原因で「がん」などの病気になることがあるんだ。
だから放射線をあびる量をきっちり管理することが大切なんだよ。

放射線のえいきょうで、家に帰れない?

2011年(平成23年)3月、福島県の福島第一原子力発電所(ふくしまだいいちげんしりょくはつでんしょ)は、大きな地震と津波におそわれ、機械や建物がこわれてしまったんだ。そして、放射線を出す放射性物質が、発電所のまわりに流れ出してしまったんだ。
福島県の一部では、国が決めた基準をこえる放射線が残っているため、立ち入り禁止になったり、人が住んではいけないことになったりしているんだ。
でも、今では放射線が弱くなったり、放射性物質を取りのぞいたりしているから、立ち入り禁止になっている場所や、人が住んではいけない場所の範囲(はんい)はだんだんと小さくなっているんだよ。

◆「放射線」に似た言葉とそれらのちがいについて

放射線に似た言葉で、「放射性物質(ほうしゃせいぶっしつ)」や「放射能(ほうしゃのう)」という言葉を聞いたことがあるかもしれないけど、そのちがいはわかるかな?
「放射性物質」とは、「放射線を出す物」のことをいうんだ。放射線と放射性物質のちがいは、図のように、「ライト」と「ライトから出る光」に置きかえるとわかりやすくなるね。
ライトからはなれると、体に当たる光が弱くなっていくのと同じように、放射性物質からはなれると、体があびる放射線の量は減っていくんだ。放射線の場合、放射性物質からのきょりが2倍になると、体があびる放射線の量は1/4に減るんだよ。
そして、「ライトが光を出す力」と同じように、「放射性物質が放射線を出す力」のことを「放射能」というんだ。放射能は時間が経つとだんだん弱くなっていき、放射線の量も減っていくんだ。

光を出す力→放射能 ライト→放射性物質 光→放射線

(2016年9月時点の内容です)

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