ルポ│強みを生かして、関西を成長軌道へ
ACTIVE KANSAI
2024.1.09

ルポ│強みを生かして、関西を成長軌道へ

百貨店向け製品の大半を国産に。
ワールドが描くメイドインジャパンの未来

ファストファッション1

アパレル大手のワールドでは、百貨店向け製品の大半を国内で生産するという方針を2021年に打ち出し、動きを加速させている。「百貨店で販売するハイブランド商品では、既に国内生産が7割を超えている。2025年までにさらに生産体制を整え、シェアを高めたい」と話すのは、常務執行役員の大峯伊索さん。

ワールドの国内生産への取り組みは、昨今の円安を受けたものではない。1990年代~2000年代、ファストファッションが台頭し、日本企業も安価な労働力を求め、海外生産が主流になっていった。そんななかワールドは、国内生産能力の縮小によるリスクを冷静に分析し、国内工場を維持してきた。

「サプライチェーンは一朝一夕でできるものではない。簡単に壊してしまえば、技術は二度と手に入らない。だからハイブランド商品では国内生産を絶やさず続けてきた」。当然、厳しい時代もあったが、国内生産を維持し続けてきたからこそ、突然の円安にも慌てることなく対応できた。

ファストファッション2

国内生産のメリットは為替変動だけに留まらない。輸送リードタイムを短縮でき、ニーズに応じて小ロット多品種生産ができるので、製品廃棄問題もクリアできる。またトレーサビリティの面でも、日本には確かな信頼がある。「技術力も含め、メイドインジャパンはひとつのブランド。現在は日本で生産したいという欧米のメゾンも増えている」。ワールドではこうした流れを追い風に、メイドインジャパンの製品を世界に発信しようとしている。

細やかな手仕事が品質を支える

細やかな手仕事が品質を支える

そのために大峯さんは「国内縫製工場再興の一翼を担いたい」と話す。「日本の縫製工場は、収益面や技術・技能の伝承など、多くの課題を抱えている。われわれが工場と服飾メーカーをつなぐハブとなり、国内縫製サプライチェーンを築き上げていきたい」。その目線は、すでに日本のアパレル産業の一歩先を見据え、世界を捉えている。

大峯 伊索
大峯 伊索
ワールド グループ常務執行役員

開幕まで500日切る
大阪・関西万博を盛り上げろ

2025大阪・関西万博オフィシャルストア

2025大阪・関西万博オフィシャルストア

夢洲ではリング(大屋根)の工事が進む 提供:2025年日本国際博覧会協会

夢洲ではリング(大屋根)の工事が進む
提供:2025年日本国際博覧会協会

いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、2025年4月13日から開催される2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)。開幕まで500日を切りPRの動きが加速している。その旗振り役が、機運醸成委員会だ。委員会の事務局長を務める博覧会協会の小林浩史局長は「11月30日から入場チケットの前売販売を開始、会場の工事も進んでいるが、関西以外ではまだまだ関心が低い。開幕に向け機運醸成を進めて認知度や来場意欲を高めていきたい」と話す。

ミャクミャク

ⓒExpo 2025

まずは、10月~12月を重点期間と位置づけPRに取り組んでいる。新たなポスター等を作成するとともに、漫才コンビが掛け合い漫才で万博の魅力や前売チケットについて紹介する映像コンテンツを公開しているほか、タレントやキャラクター等をスペシャルサポーターとして起用し、情報発信を加速。公式キャラクター「ミャクミャク」を活用した認知拡大にも力を入れる。メディアでの露出に加え、11月には交通各社による万博デザインのラッピング車両や機体が登場。ミャクミャクを万博関連のイベント等に派遣するほか、大阪市内や東京・丸の内で万博グッズが購入できる2025大阪・関西万博オフィシャルストアもオープンした。

街中にも万博を感じられる装飾を施す。首都圏では11月30日に東京タワーと東京スカイツリーで万博をイメージした特別ライティングを実施。地元大阪の御堂筋では、大阪万博が開かれた1970年から2025年の大阪・関西万博までの55年間を時代ごとに5つのゾーンに分けて表現するイルミネーションが街を彩り、歩いていると万博への期待が高まる。

さらに、全国の都道府県に向けて、小学校・中学校、高校生を対象とした「教育プログラム」を提供。未来を担う子どもたちが万博やSDGsについて学び、万博への興味関心を高めてもらう草の根的な活動も行っている。

小林局長は、「万博を機に、世界中から大阪や関西に人が集まる。企業にとっては、自社の技術力や社会課題への取り組みを多くの方に発信する良い機会。関西そして日本全体を会場に見立て、国際会議や商談会を行うなど、大阪・関西万博を活用し尽くしてもらえれば嬉しい」と開幕に向けた抱負を語ってくれた。

小林 浩史
小林 浩史
2025年日本国際博覧会協会
広報・プロモーション局長
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