余話一話
2026.8.14
現代人が歴史から学ぶべきことは多い。ビジネスの分野においては、特に失敗例が参考になる。成功には偶然性が関与しているが、失敗には必然性があるからだ。歴史小説を読むのは、その入り口になるだろう。
特に次世代への事業承継や組織づくりに関し、歴史から学べることが多い。承継に苦戦したのが武田信玄。正式な跡継ぎを決めず、権限移譲をしなかったことで、弱体化を招いた。長けていたのが徳川家康。早い時期に次の世代に実権を譲り、後継者が幕府を存続できるよう戦に備えた戦闘ロードマップを整備。箱根を越えて攻め入られても、江戸城下で戦いを抑えられるよう街をつくった。加えて、謀反が起こらない組織づくり。徳川御三家は将軍家の血統を守るバックアップ機能を持ちながらも政治参加は許されておらず、権威の象徴としての役割。関ヶ原の戦い以前から仕える譜代大名は政治に参加できるが給料は安く、官僚のような位置づけ。外様大名は給料を手厚くしながらも江戸から遠く離れた場所に配置した。家康のさまざまな施策により江戸幕府は260年以上続くわけだが、ついに終焉を迎える。要因の1つとしてコメを中心とする経済システムの限界があるとみている。幕府は年貢米を換金することで財政を賄っていたが、悪天候による米価高騰、豊作による米価安など乱高下する米価に振り回され、幕末を迎える。何事も一本化しすぎず、多様なポートフォリオをバランスよく組み合わせることが大事ということだろう。
私も作家業に加え、書店経営なども手掛けている。事業を通して出版界に貢献したいという思いも大きく、いろいろな夢やアイデアがある。私自身も歴史に学びながら、それらの思いを形にしていきたい。
