
「REBORN」——大阪府・市、企業や大学が一体となって出展する大阪ヘルスケアパビリオンのテーマだ。このテーマには“「人」は生まれ変われる”“新たな一歩を踏み出す”という意味が込められている。「万博を機にこれまでの生き方を見直し、新たな未来にワクワクしながら『生まれ変わり』を体感してほしい」と館長の西澤良記さんは切り出した。
パビリオン入口には地球をイメージした直径7mの巨大球体「いのちの湧水(いずみ)」が出迎える。水を湛えた球体の中では、野菜の水耕栽培と魚の陸上養殖を実施。魚のフンが栄養になり野菜がよく育つ、次世代の循環型生産システムが話題を呼びそうだ。大阪府・市のエリアでは、iPS細胞による心筋シートや「生きる心臓モデル」を展示。再生医療の先進地・関西をアピールする。
目玉は未来の自分を変える「リボーン体験」だ。カラダ測定ポッドで肌や髪、筋骨格などの健康データを測定すると25年後の自分がアバターで出現。AIが必要な栄養や食材を提案してくれる「パーソナルフードスタンド」など未来のヘルスケアを体験するブースを回るとアバターが生まれ変わる仕掛けだ。「官民共同でさまざまな体験を準備している。生まれ変わりを楽しんでほしい」
提供:(公社)大阪パビリオン
ミライのヘルスケアを体験
提供:(公社)大阪パビリオン
カラダ測定ポッドで健康データを測定
ほかにも、大阪の有名シェフが料理を提供するミライの食と文化エリア、360度シアターでゲームを楽しめる未来のエンターテインメントなど多彩な楽しみが用意されている。
「構想中ではあるが、測定した健康データを体験者同意のもと企業や大学に提供し、研究開発に生かせればと考えている。万博を機に、医療や健康に関する研究やサービス開発を加速させ、関西・日本の成長に繫げたい」と西澤館長。技術・食・文化が揃った大阪を見せるヘルスケアパビリオン。元気な大阪への第一歩になりそうだ。
電力館のコンセプト「可能性のタマゴたち」。それを象徴する大きなタマゴ型の外観が目に飛び込んできた。「体験を中心にエンタメ性の高い展示にこだわった」と出迎えてくれた電力館館長の岡田康伸さんは胸を張る。
2050年カーボンニュートラルの実現をめざす電力業界。脱炭素電源というと太陽光や風力に目が向くが、世界ではさまざまな技術革新が進んでいる。「重要なのは多様なエネルギーの可能性を丁寧に育て、柔軟に選択していくこと。そんなエネルギーに関するたくさんの『可能性のタマゴ』を体験し楽しんでほしい」。お供するのは「タマゴ型デバイス」。展示内容や体験に応じて光ったり、ふるえたり、一人一人に違った反応を見せる。
タマゴ型デバイスと一緒に館内をまわる
展示は「プレショー」「メインショー」「ポストショー」の3部構成。プレショーではパビリオンの世界観を映像とデバイスの連動で紹介。メインショーは、「可能性エリア」と「輝きエリア」の2つで構成される。岡田さんがこだわったエンタメ性を存分に感じられるのが、可能性エリアだ。約30のエネルギーを展示するが、ただ見るのではなく、ゲーム要素を取り入れ、楽しみながら知ることができる。例えば、核融合の展示では、卓上に投影された原子核に見立てた光る球をタマゴ型デバイスにくっつけエネルギーを生むゲーム仕立て。
無線給電の展示では、離れた場所から無線で電気を発射し、画面に映る家電や車を動かすシューティング体験ができる。輝きエリアでは大空間の中に立体的に配置した無数のLEDとデバイスが連動するショーを展開。光と音、デバイスの反応が連動して別世界への没入体験が味わえる。最後のポストショーではパネルを見ながらメインショーの体験を振り返る。
取材中、何度も「面白さを説明するって難しい。まずは体験してほしい」と繰り返す岡田さん。「当たり前にある電気も日々進化している。ドキドキ、わくわくする体験を通じて、2050年カーボンニュートラルのその先の社会を感じてほしい」と言葉を結んだ。エネルギーのプロたちが見せる、未来の姿へ期待が高まる。