プレスリリース

2010年12月9日
関西電力株式会社

大飯発電所1号機の定期検査開始について

大飯発電所1号機 第24回定期検査の概要

1.主要工事等
(1)耐震裕度向上工事 図−1参照

 既設設備の耐震性を一層向上させるため、安全注入系統や余熱除去系統などの配管やアニュラス浄化系統や補助建屋よう素除去排気系統などのダクト、余熱除去クーラなどの機器の支持構造物を強化します。

(2)化学体積制御系統小口径配管他取替工事 図−2参照

 国外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、1次冷却材の流れがない配管(高温環境で溶存酸素濃度が高い)の溶接部について、計画的に対策工事※1を実施しており、今回は当該系統1箇所について耐食性に優れた材料に取り替えます。
 また、取替え時の作業性を考慮し、対象箇所周辺の弁や配管の一部を取り替えます。

  • ※1 応力集中が小さい溶接形状への変更と耐食性に優れた材料への変更
(3)安全系計器用電源装置取替及び常用系直流電源装置他設置工事
図−3参照

 安全系計器用電源装置の構成部品が製造中止となったことから、今後の保守性を考慮し、最新の電源装置に取り替えます。取替えにあたっては、電気・計装装置のデジタル制御による消費電力の増加を見据えて、電源容量(電源供給能力)が大きな装置に取り替えます。
 また、この安全系計器用電源装置のバックアップ電源となる安全系直流電源装置について、今後の消費電力の増加を見据えて、新たに常用系直流電源装置を設置し、安全系直流電源装置に接続している一部の機器を移設します。

(4)1次冷却材ポンプ電源監視回路改造工事 図−4参照

 1次冷却材ポンプ駆動用電源の電圧および周波数の低下を監視する装置の電源が喪失した状態で運転することを防止するため、監視装置の電源が喪失した場合には中央制御室に警報を発報するとともに、「電源電圧低」および「電源周波数低」の信号を発信する回路構成に変更します。

  • * 国内PWRで、1次冷却材ポンプ駆動用電源の監視装置の電源が喪失した状態で運転した事象を踏まえ、平成22年5月、原子力安全・保安院は事業者に対し監視装置の電源が喪失した場合に中央制御室に警報を発報する等の設備改善を行うよう指示した。
(5)格納容器再循環サンプスクリーン取替工事 図−5参照

 1次冷却材喪失事故時に格納容器再循環サンプスクリーンが異物混入により機能低下することを防止する観点※2から、スクリーンをより表面積が大きいものに取り替えます。
 また、同スクリーンを通過した異物が流量調整弁で閉塞しないよう弁開度(隙間)を大きくするため、一部の流量調整弁を新品に取り替えるとともに、弁の下流側に流量調整用オリフィスを設置します。

  • ※2:国外BWRプラントでの非常用炉心冷却系統ストレーナの閉塞事象を踏まえた原子力安全・保安院の指示を受け、格納容器再循環サンプスクリーンの有効性を評価した結果、設備上の対策が必要であると評価された。なお、設備上の対策を講じるまでは、閉塞事象発生時対応マニュアルの整備などの暫定対策を講じており、安全上の問題が生じることはない。
(6)原子炉供用期間中検査 図−6参照

 原子炉容器の供用期間中検査として、原子炉容器溶接部等の超音波探傷検査を行い、健全性を確認します。

2.設備の保全対策
2次系配管の点検等 図−7参照

 当社の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配管1,494箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施します。(超音波検査1,448箇所、内面目視点検46箇所)
 また、過去の点検において減肉が確認された部位47箇所、配管取替え時の作業性を考慮した部位46箇所、合計93箇所を耐食性に優れたステンレス鋼または低合金鋼の配管に取り替えます。

3.燃料集合体の取り替え 図−8参照

 燃料集合体全数193体のうち、60体を取り替える予定です。
 今回、取り替える60体はすべて高燃焼度(55,000MWd/t)の新燃料集合体であり、このうち、A型燃料の36体については、平成20年以降大飯発電所で発生した燃料漏えい※3の対策として、燃料集合体の下部ノズルにある流路孔を従来より小さくし、集合体下部コーナー部での1次冷却材の横向きの流れを減少させた改良型燃料を使用します。

  • ※3:大飯発電所では平成16年から高燃焼度燃料を採用している。この燃料採用以降、平成20年に大飯4号機で1体、平成21年に大飯2号機で2体、平成22年に大飯1号機で2体の計5体、すべてA型燃料で漏えいが発生しており、一部の漏えい燃料は試験施設で詳細調査中である。
     これまでの調査で、漏えいの原因は、A型燃料の集合体下部コーナー部において、燃焼度が進んだ状態で、かつ原子炉の中央部に配置したケースで、燃料下部で隣接燃料への横流れにより燃料棒が通常よりも大きく振動し、下部支持格子のバネ板部等で被覆管の摩耗が進み漏えいしたものと推定された。
     当面の対策として、A型高燃焼度燃料では燃焼度制限(38,000MWd/t)を設けて使用している。
4.今後の予定
原子炉起動、臨界 :平成23年3月上旬
調整運転開始 :平成23年3月中旬
本格運転再開 :平成23年4月上旬

なお、定期検査の作業工程については、別紙を参照下さい。

以 上

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