プレスリリース

2010年11月4日
関西電力株式会社

原子力発電所の運営状況について

 当社の原子力発電所における運営状況について、以下のとおりお知らせします。

1.運転状況について(平成22年11月3日現在)
発電所 電気
出力
(kW)
運転状況 備  考
美 浜
発電所
1号機 34.0万 運転中  
2号機 50.0万 第26回 定期検査中
H22年8月20日〜H22年11月中旬予定
(調整運転中)
  • ○美浜発電所2号機の定期検査状況について(調整運転中における電気出力の変動の原因と対策について)
    詳細は2(2)のとおり
    平成22年10月26日28日お知らせ済み】
  • ○原子炉格納容器空気再循環ファン定期試験における保安規定の運転上の制限の逸脱について
    詳細は2(2)のとおり
    【原因対策を取りまとめましたのでお知らせ(発生については11月1日に当社ホームページ上でお知らせ済み)】
3号機 82.6万 運転中  
高 浜
発電所
1号機 82.6万 運転中  
2号機 82.6万 運転中  
3号機 87.0万 第20回 定期検査中
H22年10月13日〜H23年1月下旬予定
 
4号機 87.0万 運転中  
大 飯
発電所
1号機 117.5万 運転中  
2号機 117.5万 第23回 定期検査中
H22年6月7日〜H22年11月中旬予定
(調整運転中)
 
3号機 118.0万 運転中  
4号機 118.0万 運転中  
  • *定期検査中のプラントについては、定期検査開始〜本格運転再開予定時期を記載。

2.トラブル等情報について

(1)法令に基づき国に報告する事象(安全協定の異常時報告事象にも該当する事象)

なし

(2)安全協定の異常時報告事象

発電所名  美浜発電所2号機 発 生 日 平成22年10月26日
件  名 美浜発電所2号機の定期検査状況について(調整運転中における電気出力の変動の原因と対策について)    (添付図1)
事象概要
および
対 策 等

 美浜発電所2号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力50万キロワット、定格熱出力145万6千キロワット。)は、第26回定期検査において、電気出力約30%で調整運転中のところ、10月26日15時15分頃、2次系にある高圧給水加熱器*1のドレン水を系統外への排出から復水器への回収に切り替える*2ために弁操作を実施していたところ、復水器の真空度が低下(約98kPa→約82kPa)し、これに伴い電気出力が約22%に低下しました。
 直ちに当該操作を中止するとともに、復水器真空ポンプ2台が自動起動し、15時51分に復水器真空度および電気出力は事象発生前の状態(約98kPa、約30%)に復帰しました。この事象による周辺環境への放射能の影響はありません。

  • *1 蒸気発生器への給水を、高圧タービンを回した後の蒸気の一部を用いて加熱する機器。
  • *2 高圧タービンを回した後の蒸気の一部を高圧給水加熱器に回し、給水を加熱させると、蒸気が凝縮してドレン水(高圧給水ヒータドレン)になる。ドレン水は、原子炉起動当初は水質(鉄などの不純物濃度)が基準を満足しないため、系統外に放出しているが、運転に伴い、水質が基準を満足する状態になれば、復水器に回収している。
1.調査結果
(1)設備に関する調査
  •   復水器の真空度は、外部から空気が流れ込んだ場合に低下することから、タービン系統および復水器周辺の配管および弁について外観点検を行った結果、漏れや吸込みがないことを確認しました。
(2)運転操作に関する調査
  • ・復水器の真空度が低下した時間帯に、復水器の真空度に影響を与える可能性がある運転操作は、高圧給水加熱器ドレン切替操作以外には行っていませんでした。
  • ・この操作では、ドレンをそれまでのタンクを通じての放水口への排出から、復水器側へ切り替える準備として、一旦、ドレンを脱気器への回収に切り替えた状態としたうえで、タンクへの排出弁を閉止し、復水器への回収弁を開く操作を実施しており、B系のドレン切替操作の際に、復水器の真空度が低下しました。
  • ・現場で弁を操作していた当社運転員2名(運転員A,B)に聞き取り調査を行った結果、運転員AがA系のドレン切替操作を完了させた後、B系の切替操作に移った際、運転員BのOJT(On-the-Job Training)として、運転員Aは排出弁を途中まで閉止した後、運転員Bに操作を交代しました。その後、運転員Aは、運転員Bが当該弁の閉止を完了したことを確認せずに、回収弁の開操作を開始したことがわかりました。
2.推定原因

 高圧給水加熱器ドレンをタンクを通じての放水口への排出から復水器への回収に切り替える際、弁の操作にあたった運転員が、タンクへの排出弁の閉止を確認せずに復水器への回収弁を開いたことにより、タンクの排出弁側から復水器に空気が吸い込まれ、復水器真空度が低下し、電気出力が低下したものと推定しました。

3.対 策
  • ・今回の事例を含めて、確認を怠ったことによるトラブル事例を用いて、運転員全員に対して、操作のステップごとに「1操作・1確認」を行って次の操作を進めることの重要性を再認識させるための研修を実施します。
  • ・また、今回の事象がOJTの際に発生したことから、OJTの基本である操作者の操作に対する指導員の確認を徹底させるとともに、上位者が、あらかじめ指導員に対して操作のポイントやリスクを問いかけて確認し、それらが、現場で確実に指導できるようにします。

平成22年10月26日28日 お知らせ済み]

 美浜2号機は10月28日に運転員への事例研修を行った後、高圧給水加熱器のドレンを復水器に回収するよう切り替え、電気出力を上昇させ、10月31日より定格熱出力一定運転を開始しました。今後は、11月中旬に経済産業省の最終検査を受けて本格運転を再開する予定です。


発電所名  美浜発電所2号機 発 生 日 平成22年11月 1日
件  名 原子炉格納容器空気再循環ファン定期試験における保安規定の運転上の制限の逸脱について     (添付図2)

(概要)
 定期検査中の美浜発電所2号機は、定格熱出力で調整運転中の11月1日13時45分頃、原子炉格納容器内の空気を循環させて冷やす系統の定期試験のため、空気再循環ファン1台を起動したところ、ファンは正常に起動しましたが、ファン起動に伴い自動で開くはずの空気冷却装置の冷却水入口弁と出口弁のうち、出口弁が開きませんでした。このため、同日14時00分、保安規定の運転上の制限を満足していないものと判断しました。
 調査の結果、定期試験時に当該弁を開閉するモータに電源を供給する電気回路を構成するスイッチの一つに電気的な接触不良が生じ、モータへの電源が供給されなかったため、当該弁が開かなかったものと推定しました。
 対策として、当該スイッチを新品に取り替えることとしました。
 この事象による周辺環境への放射能の影響はありません。

事象概要
および
対 策 等

 美浜発電所2号機は、10月26日に発生した高圧給水加熱器ドレン水切替操作時の電気出力変動の対策を終え、10月28日19時に電気出力約30%からの出力上昇操作を始め、10月31日6時30分に定格熱出力に到達し、調整運転中のところ、11月1日13時45分、原子炉格納容器空気再循環系※1の定期試験として、原子炉格納容器空気再循環ファン(以下「再循環ファン」)の1台(待機中のD号機)を起動したところ、再循環ファンは正常に起動しましたが、起動信号を受けて自動で開くはずの格納容器循環空調装置冷却コイルの冷却水入口弁と出口弁のうち、出口弁が開きませんでした。
 13時51分に中央制御室から当該出口弁の操作スイッチを開操作しましたが、開きませんでした。
 このため、14時00分に、原子炉格納容器空気再循環系は、保安規定の運転上の制限※2を満足しないものと判断しました。
 他の3台の再循環ファンについては正常に運転しており、格納容器内の温度および圧力は安定しています。
 この事象による周辺環境への放射能の影響はありません。

  • ※1 原子炉格納容器空気再循環系は、通常運転中は格納容器内の温度調整を行い、1次冷却材喪失事故時には格納容器内の圧力上昇を抑え、放射性物質の除去を行う。このための設備として、再循環ファン4台(1系統に2台)、空気を冷やす冷却コイル4台(1系統に2台)、放射性物質を除去するフィルタ4台(1系統に2台)からなる。
  • ※2 保安規定上は、運転中に2系統が動作可能であることを求めている。1系統が動作不能の場合、他の1系統が動作可能であることを速やかに確認した上で、10日以内に正常な状態に復旧することを求めている。

平成22年11月1日当社ホームページ上でお知らせ済み]

1.調査結果

 現場にいた運転員に、聞き取り調査を行った結果、弁を開閉するモータが動作していないことがわかったため、モータおよびモータに電源を供給する電気回路について電気的な導通試験を行いましたが、異常は認められませんでした。
 このため、現場で当該弁を手動操作し、弁の開閉動作に引っかかり等の異常がないことを確認した上で、定期試験を模擬した再現試験を行った結果、当該弁の開動作中にモータへの電源電圧が瞬時低下する事象が発生しました。
 電圧低下は、電気回路を構成するトルクスイッチ※3で発生していることを確認し、トルクスイッチを取り外して外観点検した結果、接点部に茶色の皮膜があることを確認しました。

  • ※3 弁の開閉動作時、規定値以上の駆動力が加わった際に、電源回路を切断し、動作を自動停止するスイッチ。
2.原因

 当該弁を開閉するモータに電源を供給する電気回路のトルクスイッチの接点部に形成された皮膜により電気的な接触不良が生じ、モータへの電源が供給されなかったため、定期試験時に当該弁が開かなかったものと推定しました。

3.対策

 当該トルクスイッチを新品に取り替えた後、弁の開閉試験を行い、正常に動作することを確認します。
 また、取り外したトルクスイッチを工場にて詳細に点検します。

(3)保全品質情報等

なし

以 上

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