プレスリリース

2008年12月3日
関西電力株式会社

大飯発電所4号機の原子炉起動および調整運転の開始について

大飯発電所4号機 第12回定期検査の概要

1. 主要な工事等について
 (1)1次冷却材ポンプ供用期間中検査工事   (図−1参照)
   4台ある1次冷却材ポンプのうちD号機について、主軸や羽根車の目視検査や浸透探傷検査を実施するとともに、供用期間中検査として、主フランジ部の漏えい検査を実施し健全性を確認しました。

 (2)耐震裕度向上工事 (図−2参照)
   既設設備の耐震性を一層向上させるため、原子炉冷却系統、安全注入系統、余熱除去系統、主蒸気系統の配管支持構造物29箇所の強化工事を実施しました。

 (3)600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る点検・予防保全工事
(図−3参照)
   国内外PWRプラントにおける600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れ事象を踏まえ、蒸気発生器出入口管台の溶接部について、渦流探傷試験を実施するとともに、予防保全工事として溶接部表面の残留応力を低減するため、ショットピーニング工事※1を実施しました。
 また、大飯発電所3号機の原子炉容器出口管台溶接部で傷が確認された事象を踏まえ、原子炉容器の出口管台溶接部について、超音波探傷検査を実施し、異常のないことを確認しました。


 
※1: 溶接部に金属の玉を高速で叩き付けることにより、溶接部表面の引張り残留応力を圧縮応力に変化させる。

 (4)亜鉛注入装置設置工事 (図−4参照)
   作業員の被ばく低減を図るため、コバルト-60等の放射性物質が機器や配管内表面へ付着するのを抑制する効果がある亜鉛を1次冷却材中に注入する装置を化学体積制御系統に設置しました。

 
※2: 1次冷却材中に放射化しにくい亜鉛を注入して、機器や配管内表面に被膜を形成させることにより、コバルト-60等の放射性物質が機器・配管内表面へ付着することを抑制し、1次冷却材系配管等の線量を低減する。亜鉛注入は国内プラントでの実績がある。


2. 保全対策について
 (1)高サイクル熱疲労割れに係る対策工事 (図−5参照)
   国内外PWRプラントにおける高サイクル熱疲労割れ事象(温度ゆらぎによる疲労)を踏まえ、AおよびB余熱除去冷却器バイパスライン合流部の配管2箇所について、応力集中が小さい溶接形状のものに取り替えました。

 (2)2次系配管の点検等  (図−6参照)
  1 当社の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配管989箇所について超音波検査(肉厚測定)等を行った結果、必要最小厚さを下回る箇所および次回定期検査までに必要最小厚さを下回ると評価された箇所はありませんでした。
(超音波検査947箇所、内面目視点検42箇所)
     
  2 今後の保守性を考慮して、115箇所の配管を耐食性に優れたステンレス鋼もしくは低合金鋼に取り替えました。


3. 燃料集合体漏えいに伴う燃料集合体検査の結果 (図−7参照)
   定格熱出力一定運転中の平成20年8月19日、1次冷却材中のよう素(I−131)濃度の上昇傾向(約0.6Bq/cm3から約1.1Bq/cm3)が認められたことから、燃料集合体に漏えい※3が発生した疑いがあるものと判断しました。

※3: 燃料ペレットを収納している燃料被覆管から漏えいがあると、燃料被覆管内のよう素が1次冷却材中に放出される。このため、1次冷却材中のよう素濃度の変化から、漏えいの有無を判断している。

 漏えい燃料集合体の特定のため、燃料集合体全数(193体)について、シッピング検査※4を行った結果、設計燃焼度55,000MWd/t(取り出し時の燃焼度は37,562Mwd/t(2サイクル使用))燃料集合体1体で放射性物質の漏えいが認められました。さらに、漏えい燃料棒の特定のため、超音波による調査※5を実施した結果、燃料棒1本で漏えいが認められました。漏えいが認められた燃料集合体、および燃料棒について外観目視点検を実施したところ、傷等の異常は認められませんでした。

※4: 燃料集合体から漏れ出てくる気体および液体に含まれる核分裂生成物(キセノン-133、よう素-131等)の量を確認し、漏えい燃料集合体かどうか判断する。
※5: 漏えいが発生した燃料棒の内部に漏えい孔から浸入した水が存在すると、健全な燃料棒に比べて、燃料被覆管を伝播する際の超音波が減衰する。これを検出することで、漏えい燃料棒を特定する。

 検査の結果、今回の漏えいは燃料棒に偶発的に発生した微小孔(ピンホール)によるものと推定しました。
 本事象を踏まえ、当該燃料集合体1体については再使用せず、1年間程度使用済燃料ピットで冷却および放射能を低減させた後に、試験研究施設に搬出し、知見拡充のための詳細な調査を実施する予定です。
 この事象による環境への放射能の影響はありませんでした。


 

4. 蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果
   蒸気発生器4台のうち、BおよびD−蒸気発生器伝熱管全数(3,382本×2台、計6,764本)について渦流探傷検査を実施し、異常のないことを確認しました。

5. 燃料集合体の取り替え
   燃料集合体全数193体のうち73体(うち60体は、55,000MWd/t高燃焼度の新燃料集合体)を取り替えました。
 また、燃料集合体の外観検査(67体)を実施した結果、異常は認められませんでした。  

6. 次回定期検査の予定
   平成21年度冬頃  

以  上

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