プレスリリース

2008年9月9日
関西電力株式会社

大飯発電所4号機の定期検査開始について

大飯発電所4号機 第12回定期検査の概要

1.主要な工事等について
(1) 1次冷却材ポンプ供用期間中検査工事
図−1参照
   4台ある1次冷却材ポンプのうちD号機について、主軸や羽根車の目視検査や浸透探傷検査を実施するとともに、供用期間中検査として、主フランジ部の漏えい検査を実施します。
 
(2) 耐震裕度向上工事
図−2参照
   既設設備の耐震性を一層向上させるため、原子炉冷却系統、安全注入系統、余熱除去系統、主蒸気系統の配管の支持構造物を強化します。
 
(3) 600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る点検・予防保全工事
  図−3参照
   国内外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、600系ニッケル基合金が使用されている蒸気発生器出入口管台の溶接部について、渦流探傷試験を実施するとともに、予防保全工事として溶接部表面の残留応力を低減するため、ショットピーニング工事※1を実施します。
 また、大飯3号機の原子炉容器出口管台溶接部で傷が確認された事象を踏まえ、原子炉容器の出口管台溶接部について、超音波探傷検査を実施します。


  ※1: 溶接部に金属の玉を高速で叩き付けることにより、溶接部表面の引張り残留応力を圧縮応力に変化させる。
 
(4) 亜鉛注入装置設置工事
図−4参照
   作業員の被ばく低減を図るため、コバルト-60等の放射性物質が機器や配管内表面への付着を抑制する効果がある亜鉛を1次冷却材中に注入する装置を化学体積制御系に設置します。

  ※2: 1次冷却材中に放射化しにくい亜鉛を注入して、機器や配管内表面に被膜を形成させることにより、コバルト-60等の放射性物質が機器・配管内表面へ付着することを抑制し、1次冷却材系配管等の線量を低減する。亜鉛注入は国内プラントでの実績がある。
 
2.保全対策について
(1)高サイクル熱疲労割れに係る対策工事 図−5参照
   国内PWRプラントにおける高サイクル熱疲労割れ事象(温度ゆらぎによる疲労)を踏まえ、AおよびB余熱除去冷却器バイパスライン合流部の配管2箇所について、応力集中が小さい溶接形状のものに取り替えます。
 
(2)2次系配管の点検等 (図−6参照)
   当社の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配管989箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施します。
 (超音波検査947箇所、内面目視点検42箇所。)
 また、今後の保守作業性を考慮して115箇所の配管を耐食性の優れたステンレス鋼もしくは低合金鋼に取り替えます。
 
3.燃料集合体の取り替え
   燃料集合体全数193体のうち73体(うち68体は新燃料集合体)を取り替える予定です。
 なお、今回取り替える新燃料集合体68体は、全て集合体最高燃焼度 55,000MWd/tの高燃焼度燃料です。
 
4.今後の予定
 
 原子炉起動、臨界:平成20年11月下旬
 調整運転開始:平成20年11月下旬
 本格運転再開:平成20年12月中旬
   
5.その他
  燃料集合体漏えいの疑いに伴う燃料集合体検査
 定格熱出力一定運転中の平成20年8月6日、定例(3回/週)の1次冷却材中のよう素(I−131)濃度測定を行った結果、前回の測定値(約0.6Bq/cm)を若干上回る値(約0.8Bq/cm)を確認しました。その後の測定でも、よう素濃度の上昇(約1.1Bq/cm)が認められたことから、8月19日に燃料集合体に漏えい※3が発生した疑いがあるものと判断しました。よう素濃度は、運転上の制限値(40,000 Bq/ cm)に比べて十分低く、発電所の運転および環境安全上の問題はないと判断されることから、1次冷却材中の放射能濃度測定頻度を上げて監視を強化し、運転を継続しました。
 この事象による、環境への放射能の影響はありませんでした。
8月19日、お知らせ済み]

 このため、今定期検査において漏えい燃料集合体を特定するため、燃料集合体全数(193体)について燃料集合体シッピング検査※4を行います。なお、漏えいが確認された燃料集合体については外観検査を行い、今後は使用しないこととします。

  ※3: 燃料ペレットを収納している燃料被覆管から漏えいがあると、燃料被覆管内のよう素が1次冷却材中に放出される。このため、1次冷却材中のよう素濃度の変化から、漏えいの有無を判断している。
  ※4: 漏えい燃料集合体から漏れ出てくる核分裂生成物(キセノン133)を検出し、バックグラウンドと比較することにより、漏えい燃料集合体かどうかを判断する検査。

以  上

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