プレスリリース
2008
2008年7月25日
関西電力株式会社
美浜発電所2号機の原子炉起動および調整運転の開始について
美浜発電所2号機 第24回定期検査の概要
1. | 主要な工事等について |
(1)1次系小口径配管継手部取替工事 | (図−1参照) |
1次系小口径配管の信頼性向上の観点から、通水時に母管と共振する可能性のある安全注入系統の分岐配管部のうち、原子炉補助建屋内のベント管やドレン管、圧力計取出し管の9箇所について、溶接部での応力集中が小さい形状(突合せ溶接)に変更しました。 |
(2)耐震裕度向上工事 | (図−2参照) |
設備の耐震性を一層向上させるため、格納容器冷却水クーラ2台の支持構造物を強化しました。また、安全注入系などの配管や、格納容器排気系などのダクトの支持構造物の強化について、追加で実施しました。 |
(3)原子炉容器管台溶接部等の応力腐食割れに係る予防保全工事 | |
(図−3、図-6参照) |
国内外PWRプラントでの応力腐食割れ事例を踏まえ、予防保全として溶接部表面の残留応力を低減させるため、600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器の冷却材出入口管台、安全注入管台、炉内計装筒管台の各溶接部について、ウォータージェットピーニング※1を施工しました。また、A−蒸気発生器の出口管台溶接部、B−蒸気発生器の出入口管台溶接部については、ショットピーニング※2を施工しました。
なお、A−蒸気発生器の入口管台溶接部については、ショットピーニング施工前の渦流探傷試験で応力腐食割れによる傷が認められたことから、セーフエンド部を新品に取り替え、耐食性に優れた690系ニッケル基合金で溶接を行いました。(3(1)参照) |
|||||
|
(4)高圧給水加熱器取替工事 | (図−4参照) |
美浜発電所2号機で過去に発生した、高圧給水加熱器伝熱管の応力腐食割れ事象を踏まえ、予防保全として、高圧給水加熱器2基について、伝熱管を銅合金製から耐食性に優れたステンレス鋼製に変更した新しいものに取り替えました。 |
2. | 保全対策について |
(1)2次系配管の点検等 | (図−5参照) |
![]() |
当社の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配管1,236箇所について超音波検査(肉厚測定)等を行いました。
その結果、必要最小厚さを下回る箇所および次回定期検査までに必要最小厚さを下回る可能性があると評価された箇所はありませんでした。(超音波検査 1,203箇所※、内面目視点検33箇所) |
|||||||||
|
||||||||||
![]() |
今定期検査開始時には95箇所の配管取替えを計画していましたが、配管取替えの作業性や今後の保守作業を考慮して42箇所を追加し、合計137箇所の配管を取り替えました。 |
3. | 定期検査中に発生した安全協定に基づく異常事象 |
(1)A−蒸気発生器入口管台溶接部での傷 | (図−6参照) |
今定期検査において、蒸気発生器(全2台)の1次冷却材入口および出口管台の600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れ予防保全工事としてショットピーニング工事を計画していました。事前に当該溶接部内面について、渦流探傷試験を実施したところ、A−蒸気発生器の入口管台溶接部で有意な信号指示が13箇所で認められました。有意な信号指示が認められた箇所について、超音波探傷試験を実施し、傷の深さを確認したところ、最大深さが約13mmと評価されました。
詳細調査の結果、溶接部では、応力腐食割れに特有の結晶境界に沿った割れが認められ、応力腐食割れが発生する可能性がある引張り残留応力が確認されたことから、応力腐食割れが発生・進展したものと推定されました。また、セーフエンド部については、粒界に沿って枝分かれした割れが認められ、高い引張り残留応力が確認されたことから、引張り残留応力による影響の可能性が高いと推定されました。 対策として、セーフエンド部を新品に取り替え、溶接部を耐食性に優れた690系ニッケル基合金で溶接を行いました。 |
(2)A−余熱除去ポンプ軸封部の不調について | (図−7参照) |
原子炉起動準備中の7月21日11時29分、A−余熱除去ポンプ室のサンプ(水溜め)水位の上昇を示す警報が発信しました。直ちに現場を確認したところ、停止中のA−余熱除去ポンプ軸封部(メカニカルシール)から、配管を介してサンプに回収されている軸封水の量が、運転時の管理基準値※を超えて漏れ出ていることが確認されました。
当該ポンプの軸封部は、軸に固定されている回転リング(タングステン製)に対して、固定リング(カーボン製)をその背面からベローズ(蛇腹状のバネ)で押さえつけることで止水(シール)する構造となっている。この軸封部を分解点検したところ、固定リングと接触している固定リング表面の摩耗量が円周上で均一ではなく、また、ベローズで押されている固定リング背面の一部で、水平面が確保されていない部分があり、この部分で表面側の摩耗量が小さく、かつ漏えいの痕跡も認められました。 これらのことから、回転リングに対して固定リングの押しつける力が全周にわたって均一でなかったことから、ポンプ運転時において固定リング表面の摩耗量に差が生じる状態となり、ポンプ停止後の温度変化等の影響で、押しつけ力の弱いところで漏えいに至ったものと推定されました。 対策として、ベローズの押しつけ力が均一になるよう、固定リング背面の水平面が全周にわたって確保されていることを確認した新しい軸封部に取り替えた。今後は、回転・固定リングタイプの軸封部を取り替える際には、固定リング背面が全周にわたって水平であることを確認します。 |
|||
|
4. | 蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果 |
2台ある蒸気発生器のうち、A−蒸気発生器伝熱管全数(3,382本)について、渦流探傷検査を実施した結果、異常は認められませんでした。 |
5. | 燃料集合体の取替え |
燃料集合体全数121体のうち、45体(うち36体は新燃料集合体)を取り替えました。
燃料集合体の外観検査(25体)を実施した結果、異常は認められませんでした。 |
6. | 次回定期検査の予定 |
平成21年 春頃 |
以 上