プレスリリース

2008年7月7日
関西電力株式会社

高浜発電所1号機の原子炉起動および調整運転の開始について

高浜発電所1号機 第25回定期検査の概要

1. 主要な工事等について
 (1)耐震裕度向上工事 (図−1参照)
   既設設備の耐震性を一層向上させるため、内部スプレクーラや安全系機器用変圧器、格納容器排気筒などのダクト、化学体積制御系統などの配管の支持構造物を強化しました。

 (2)600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る予防保全工事
  (図−2参照)
   国内外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器冷却材出入口管台、炉内計装筒の溶接部について、渦流探傷試験や目視点検を実施し、異常がないことを確認するとともに、予防保全対策として、溶接部表面の残留応力を低減させるため、ウォータージェットピーニング工事※1を実施しました。
※1: 溶接部に高圧ジェット水を吹き付けることにより、金属表面の引張残留応力を圧縮応力に変化させる。

 (3)昇圧変圧器取替工事 (図−3参照)
   昇圧変圧器※2のコイル絶縁性能が低下傾向にあることから、予防保全として昇圧変圧器を新品に取り替えました。
※2: 発電機で発生した電力を送電するにあたり、電圧を500kVに昇圧する変圧器。

 (4)原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事  
   今定期検査において、応力腐食割れの予防保全対策として安全注入系統の溶接部16箇所について溶接形状を変更する工事を計画していましたが、熟練作業員の確保が困難となったことから次回定期検査に延期することとしました。
 なお、延期するにあたり、取替工事を計画していた溶接部について超音波探傷検査を行い、異常がないことを確認した。


2. 保全対策について
 (1)高サイクル熱疲労割れに係る対策工事 (図−4参照)
   国内外PWRプラントにおける高サイクル熱疲労割れ事象(温度ゆらぎによる疲労)を踏まえ、AおよびB余熱除去冷却器バイパスライン合流部の2箇所について、温度ゆらぎが抑制できる合流部形状に変更するとともに、応力集中が小さい溶接形状に変更しました。

 (2)2次系配管の点検等 (図−5参照)
  1 当社の定めた「2次系配管肉厚の管理指針(平成19年3月改正)」に基づき、2次系配管1,752箇所※3について超音波検査(肉厚測定)等を行いました。(超音波検査 1,732箇所、内面目視点検 6箇所、内面目視点検および超音波検査 14箇所※4
 その結果、次回定期検査までに、必要最小厚さを下回る可能性があると評価された部位が1箇所確認されました。当該箇所については、耐食性に優れたステンレス鋼の配管に取り替えました。
   
※3: 今定期検査開始時には1,749箇所について超音波検査(肉厚測定)を実施する計画でありましたが、このうち17箇所を保守性の観点から配管取替部位に追加したことから、合計1,732箇所について超音波検査を実施しました。
※4: 高圧排気管直管部20箇所について、配管内面から目視点検を実施した結果、14箇所に減肉が認められたため、配管外面から超音波検査を追加で実施しました。その結果、必要最小厚さを下回る部位はありませんでした。
     
  2 今定期検査開始時には442箇所の配管取替を計画していましたが、次回定期検査までに、必要最小厚さを下回る可能性があると評価された部位1箇所、および保守性の観点から取り替える17箇所を追加して、合計460箇所の配管を取り替えました。


3. 燃料集合体漏えいに伴う燃料集合体検査の結果 (図−6参照)
 今定期検査開始前の平成20年1月9日に、1次冷却材中のヨウ素131濃度の上昇が認められたことから、燃料集合体に漏えい※5が発生した疑いがあるものと判断しました。
 このため、今定期検査において、燃料集合体全数(157体)のシッピング検査※6を実施した結果、2体の燃料集合体で漏えいが確認されました。当該燃料集合体2体について詳細調査を実施した結果、燃料棒に偶発的に微小孔(ピンホール)が発生したものと推定されました。
 当該燃料集合体2体は、再使用しません。
 この事象による、環境への放射能の影響はありませんでした。
※5: 燃料ペレットを収納している燃料被覆管から漏えいがあると、燃料被覆管内のヨウ素が1次冷却材中に放出される。このため、1次冷却材中のヨウ素濃度の変化から、漏えいの有無を判断している。
※6: 燃料集合体から漏れ出てくる気体および液体に含まれる核分裂生成物(キセノン-133、ヨウ素-131等)の量を確認し、漏えい燃料集合体かどうか判断する検査。

[平成20年1月9日3月18日5月16日 お知らせ済み]



4. 蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT)
   蒸気発生器3台のうち、AおよびC−蒸気発生器伝熱管全数(3,382本×2台、計6,764本)について、渦流探傷検査を実施し、異常のないことを確認しました。


5. 燃料集合体の取替え
   燃料集合体全数157体のうち、77体(うち56体は新燃料集合体)を取り替えました。
 再度使用する燃料集合体の外観検査(10体)を実施した結果、異常は認められませんでした。


6. 次回定期検査の予定
   平成21年 夏頃

以  上

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