プレスリリース

2007年2月9日
関西電力株式会社

高浜発電所1号機の原子炉起動および調整運転の開始について

高浜発電所1号機 第24回定期検査の概要

1. 今回の定期検査を利用して実施した主要な工事
 (1)原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事 (図−1参照)
   海外での損傷事例を踏まえ、溶存酸素濃度が高く応力腐食割れの可能性がある安全注入系統の配管分岐部を、耐食性に優れた材料で応力集中が小さい溶接形状のものに変更しました。

 (2)1次冷却材管内構造物流体振動対策工事 (図−2参照)
   流体振動に関する新しい技術基準を踏まえ、配管内に設置されている円柱状構造物の評価を行った結果、流体振動が発生する可能性がある1次冷却材系統のサンプルノズル2本について、1次冷却系配管への差込部の隙間をなくし、流体振動の発生を回避した剛構造のものと取り替えました。
 
※: 当社は、国内での損傷事例(平成7年)を踏まえ、配管内に設置されている温度計ウェルなどについて、当時の知見をもとに評価を行い流体振動が発生しないことを確認していましたが、その後、日本機械学会において、「配管内円柱状構造物の流力振動評価指針」として整備され、平成18年1月より技術基準として適用されたことを受けて、改めて保守的な評価を行いました。

 (3)原子炉容器周辺遮へい体設置工事 (図−3参照)
   原子炉運転中に機器の点検で立ち入る原子炉格納容器周辺建屋屋上の放射線量を低減させるため、原子炉容器の上部に遮へい体を追加設置しました。


2. 保全対策について
 (1)2次系配管の点検等 (図−4参照)
  1 美浜発電所3号機事故を踏まえ、1,331箇所※1について超音波検査(肉厚測定)を実施しました。(今回で未点検箇所の点検を終了)
 その結果、必要最小厚さを下回る箇所、および余寿命評価で次回定期検査までに必要最小厚さを下回る可能性があると評価された箇所はありませんでした。
   
※1   今定期検査開始時の計画では、2次系配管1,307箇所について超音波検査(肉厚測定)を実施する計画でしたが、下記のとおり計画を見直し、1,331箇所について超音波検査を実施しました。
   ・点検範囲見直しに伴う変更・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3箇所増 
   ・他プラントの減肉事象を踏まえた変更・・・・・・・・・・・・・・・・ 6箇所増 
   ・配管取替範囲見直しによる点検部位の変更・・・・・・・・・・・ 15箇所増 
合計24箇所増加
     
  2 過去の点検結果から減肉が確認された部位27箇所、保守性の観点から取り替える部位等343箇所、合計370箇所※2についてステンレス鋼、または低合金鋼の配管に取替えました。
   
※2   定期検査計画当初は、330箇所を取替えする計画でしたが、保守性、作業性の観点から40箇所を追加した。

 (2)発電機固定子コイル取替工事 (図−5参照)
   発電機固定子コイルの絶縁物材料が劣化傾向にあることから、予防保全として、耐久性に優れた絶縁物材料を用いた発電機固定子コイルに取り替えました。

 (3)1次系電動弁取替工事
   化学体積制御系統に設置された海外製弁1台を、保守性向上の観点から部品調達が容易な国産弁に取り替えました。


3. 定期検査中に発生した異常事象 
  原子炉補助建屋(管理区域)での水漏れ (図−6参照)
     1月14日14時頃、原子炉補助建屋内で、充てん/高圧注入ポンプ入口連絡弁取替工事の耐圧漏えい試験終了後の復旧作業として、試験のために設置した閉止フランジの取外し作業を行っていたところ、当該部より漏えいが発生しました。この漏えいにより協力会社作業員4名に水がかかりましたが、測定の結果、身体に放射能の汚染はありませんでした。漏えい量は約370リットルと評価され、放射能量は6.9×10Bqと推定されました。
 調査の結果、原因は原子炉保修課において、発電室の承認が得られていない状態で、水抜き操作中に閉止フランジの取り外し作業を行ったため、水抜き操作として実施した弁開放に伴い、系統内に残留していた圧力が開放され、系統内の水が押し出されて、取り外し作業中のフランジから漏えいしたものと推定されました。
 対策として、作業着手前に系統状態を発電室に確認することや、計画の変更について発電室の承認を得ることなどの基本ルールの遵守や基本動作の徹底について、全原子力発電所員に文書で周知しました。また、原子炉保修課をはじめとする作業担当課全員を対象に再教育を速やかに実施いたします。
 また、閉止フランジなどの仮設機器について、隔離明細書の中で発電室の管理対象の機器であることを明確にし、発電室の許可を得ずに閉止フランジの取り付け・取り外し作業ができないよう社内ルールを変更するとともに、発電室と原子炉保修課等の作業担当課との間や、課内での連絡・調整が確実に実施されるよう、業務の手続きや連携の在り方を検討し、社内ルールに反映します。
[平成19年1月15日1月30日お知らせ済み]


4. 蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT)
   3台ある蒸気発生器のうち、B−蒸気発生器伝熱管(3,382本)について、健全性を確認するため、渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、有意な信号は認められませんでした。


5. 燃料集合体の取り替え
   燃料集合体全数157体のうち、73体(うち48体は新燃料集合体)を取り替えました。
 また、燃料集合体の外観検査(12体)を実施した結果、異常は認められませんでした。

6. 次回定期検査の予定
   平成20年春頃

以  上

本文へ戻る

プレスリリース