プレスリリース

2000年2月21日

世界初の超低損失12.3kV-SiCダイオードを開発

 当社は、この度、米国CREE社と共同で、画期的な高性能をもつ12kV級の高耐圧超低損失ダイオードを世界で初めて開発しました。

 昨年、当社とCREE社は、世界で初めて6.2kV-SiCダイオードの開発に成功し(平成11年1月28日お知らせ済み)、その後も、電力用途への実用化を目指して、研究を進めてきました。


【開発の概要】
 ○主な改良点

  1. 結晶欠陥の低減、エピタキシャル膜厚の増大と不純物濃度の低減、電極形成条件の改良
  2. 低オン電圧・高耐圧素子構造の開発、表面保護膜の改良、高耐圧高温実装技術の開発

 ○特徴
 電力変換設備の小型化、高効率化が可能

  1. 負荷電圧の向上(6.2kV→12.3kV)
     ⇒電力変換器の構成素子数を低減できる(Siの約1/2)
  2. 高温下における特性の維持(約150℃→約300℃)
     ⇒冷却装置が簡素化できる(水冷式→空冷式)
  3. 漏れ電流の低減(10μA)、オン電圧の低減(4.9Vat 100A/cm2:Si
    の約1/3)リカバリー時間の短縮(約20ns at 100A/cm2:同約1/10)
     ⇒通電時、電圧阻止時、交直切換時の電力損失の低減
     (Siの約1/5以下)

【今後の取組】
 CREE社との共同研究は、当面のところ1998年から2000年までの3年間であり、今回開発した高耐圧低損失技術を利用して、できるだけ早く超高耐圧SiCスイッチングパワー半導体素子を開発し、回路検討のうえ、電力用途への適用見通しをつけたいと考えています。


【将来の展望】
 ○供給信頼度の向上
 BTB〔Back To Back〕(交直変換装置)等の電力会社間で電力を融通しあう系統間連系装置や、SVG〔Static Var Generator〕(無効電力発生装置)等の系統安定化装置に適用することで、超高圧送電線における事故等による周波数変動の影響範囲を最小限にくい止め、電力そのものの高品質を保持できます。
 ○分散型電源との連系
 大型バッテリー(燃料電池、マイクロタービン等)との連系用インバータ装置等に適用できます。
 ○電気事業用途以外への活用
 開発技術は磁気浮上列車や電気自動車用インバータ、X線源等の各種高耐圧電源やCRTディスプレーの駆動装置、テレビやモービル通信用電波発信装置への活用も有望視されています。

以 上  

<参考資料>


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