新たな取り組み
石炭火力発電所では、世界各国から輸送されてきた石炭をサイロで一旦貯蔵した後、ボイラで燃焼しています。一方で石炭の組合せによってサイロでの混載やボイラでの混焼ができない等の制約があるため、熟練技術者が長年の経験やノウハウに基づいて、それらの制約を考慮した運用スケジュールを作成しております。また複数のサイロ、ボイラの運用を状況変化に応じて都度見直す必要があるため、スケジューリング業務に大きな労力を要しておりました。
そこで株式会社ALGO ARTIS※1(以下、ALGO ARTIS)と共同で、熟練技術者による燃料運用のスケジューリング作業の自動化を目指し、関西電力が設定した課題や運用条件に基づいて、ALGO ARTISが一般的にゲームAIに用いられる、膨大な組合せの中から最適なものを探索する技術を導入し、アルゴリズム※2を構築しました。
その結果、従来の1/10以下の時間で、かつ、より長期のスケジュールを自動作成できる最適化システムの開発に成功しました。経験の浅い技術者でも容易に扱うことができ、スケジュール案を同時に複数作成することで、さまざまな運用条件でのシミュレーションが可能となり、年間数千万円の運用コスト削減効果が期待できます。
本サービスは、原材料受入から製品生産までのプロセスを持つ幅広い分野でのスケジューリングへの適用が期待できるため、他社への展開・導入を両社共同で進めてまいります。
※1: 株式会社ディー・エヌ・エーから、最適化ソリューション事業を独立させた会社
※2: 数学、コンピューティングなどの分野において、問題を解くための手順を定式化した形で表現したもの