コラム|注目ワードから紐解く 2023年トレンド大予想【牛窪 恵】
余話一話
2022.12.21

コラム|注目ワードから紐解く 2023年トレンド大予想【牛窪 恵】

2023年のトレンドを予想する上で、注目ワードの1つは「イミ消費」。社会貢献や環境問題解決につながるような「意味」を持つものへの消費がZ世代を中心に進み、コロナ禍を経て幅広い世代に広がっている。「意味」として、代表的なものがサステナビリティやSDGs。2025年大阪・関西万博の大屋根が木造になると発表されたが、森林資源の循環利用を図る木造建築への注目が高まっている。ゼネコン大手も木造マンションやビルの建設に力を入れはじめた。フードロスや衣服ロスを減らすという点で、持たない・捨てないライフスタイルへの移行も見られる。23年も幅広い分野で、循環型のシェアサービスやサブスクリプションが出てくるだろう。

もう1つの注目ワードは「ニューレトロ」。Z世代の若者たちは、昭和や平成など古き良きものを「エモい」と感じ、強く惹かれる。仮想空間で売買されるデジタルアートには、意外にも、手づくりのぬくもりが感じられるものが多い。宮城県のお母さんたちが手作りしたソックスモンキー「おのくん」がデジタルアート化され、話題になったことも。ただ懐かしむのではなく、レトロなものと最新技術を融合させたサービスや商品が、今後も生まれてきそうだ。

私は阪神タイガースファンだが、いまや「推し活」は世界規模に。試合や練習風景は全国どこでも動画配信で見ることができ、SNS上でも世界中のタイガースファンとつながれる。立命館大学のカナダ人講師による阪神戦実況ブログは、助っ人外国人選手の自国の家族にも好評だそうだ。

コロナ禍で多くの人が、自分にとって大切なものを問い直した。社会や環境への意識、人とのつながり、古き良きものの価値を再発見する傾向が、トレンドにも反映されそうだ。

牛窪 恵
牛窪 恵 うしくぼ めぐみ
世代・トレンド評論家
1968年東京都生まれ。トレンド、マーケティング関連の著書多数。「おひとりさま」(05年)、「草食系」(09年)は、新語・流行語大賞に最終ノミネート。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」、毎日放送「よんチャンTV」などでコメンテーター等を務める。
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