余話一話
2022.11.30
自分と向き合い完成度を高める書道と異なり、書道パフォーマンスは、曲にのって大きな紙にダイナミックに書き上げていくライブ感が魅力。構図を考え、塗料を選び、練習でスピード感を体に叩き込む。準備を重ね、ステージにあがり、お客さまから「かっこいい!」と言ってもらえたときは、本当にうれしい。
書道パフォーマンスを始めたのは大学生のとき。部員2人と廃部寸前の書道部を立て直すため、とにかく目立とうと始めた。大会に出たり、学内外のイベントで披露し、部員は一気に増加。私自身もメディアに呼ばれるなど活動の幅が広がった。書道パフォーマンスは私が書道家として身を立てるきっかけになったもので、いわば私のルーツだ。
2022年11月に開催した個展でVR書道パフォーマンスを行った
撮影編集:オレンジ/メタバース撮影技術者
大好きな書道に興味を持ってほしい。その思いは年々高まる。X(旧Twitter)やInstagramで書道作品を投稿しているのも多くの人に書の魅力を知ってほしいから。11月の個展ではVRを使った書道パフォーマンスを披露し、作品はYouTubeにもアップ。テクノロジーと融合させた書の新しい魅せ方を模索している。
パソコンやスマホの普及で書くことが減り、手書きに苦手意識を持っている人も増えていると感じる。きれいな文字にこだわらず、もっと自由に楽しんでほしい。楽しい気持ちを伝える書体、少し落ち込んだときの書体、感情を載せた文字こそ人の心を掴む。