関西電力は、再生可能エネルギー分野で大規模洋上風力発電を中心に、2040年までに新たに国内で500万kWの電源開発を進めていく。原子力発電所土木部門から再生可能エネルギー事業本部に異動し、洋上風力発電の事業化に向け奔走する辻 拓馬に話を聞いた。
再生可能エネルギー事業本部 辻 拓馬
洋上風力発電の事業化に向けて、風況、地盤等の調査計画策定、構造物設計、建築計画の検討など、技術業務を担当しています。主な担当分野は土木・建築ですが、洋上風力発電の事業化には、機械や電気、さらには政策動向や契約法務、ファイナンスまで幅広い知識が求められます。部門内には専門スキルを持つメンバーが揃っているので、協力・連携しながら専門知識を吸収しています。
洋上は陸上に比べ、強い風が吹くことが多く、障害物がなく安定した風を得られるため、比較的安定した発電が期待できます。陸上風力の適地が限られるなか、洋上風力はゼロカーボン化の主力電源の1つと有望視されており、政府は2030年までに1000万kW、2040年までに最大4500万kWの導入を目指しています。
2017年に入社し、高浜発電所土木建築工事グループで安全性向上対策工事の施工管理を約4年間担当。40年超運転に向けた大きな仕事を任せてもらい、とても充実していました。しかし、入社当初から興味があった再生可能エネルギーに関わりたい、新しいことに挑戦したいという思いが強くなり、社内公募「e-チャレンジ制度」を活用して21年4月に異動してきました。
従業員自らが多様なキャリアや幅広いフィールドに自発的にチャレンジできる社内公募プログラムです。他部門をはじめ幅広い領域に挑戦する「キャリアチャレンジ」、特定プロジェクトに従事する「デュアルワークチャレンジ」、大学進学を目指す「アカデミックチャレンジ」から成り、私はキャリアチャレンジを活用しました。
洋上風力は、ヨーロッパが先行していますが、日本には前例が少なく、現時点で関西電力の自社電源として稼動しているものはありません。ノウハウが蓄積されている原子力発電分野とは違い、対応や判断に迷うこともありますが、苦労している分、プロジェクトが前進したときは大きなやりがいを感じます。
現在は事業化に向けた調査を行っている段階なので、前部門での施工管理経験を直接活かせる機会は多くありませんが、今後プロジェクトが進み設計や建設のフェーズに入っていけば、高い安全性が求められる原子力発電所での経験を活かしていきたいと考えています。
まずは洋上風力事業開発の技術担当として社内で頼られる存在になれるよう、専門スキルを着実に身に付け、力をつけていきたいと考えています。将来的には、洋上風力の経験を活かして再エネ部門全体を牽引し、ゼロカーボンの達成に貢献できる人財になれるよう努力を重ねていきます。