年間15兆円。これはアメリカのシンクタンクが算出した寝不足による日本の経済損失額だ。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2020年)によると、30代~50代の男女、約半数が睡眠時間6時間未満と回答しており、睡眠時間が足りないと感じている、睡眠の質に満足できないと答えている。
出典:米ランド研究所, 2016
寝不足はミスやエラーを誘発し、クリエイティブ力も低下させる。これらが積もり積もって多額の経済損失を生んでいる。
「良質な睡眠は『時間』と『質』の掛け算」と話すのは睡眠コンサルタントの友野なお氏。高いパフォーマンスが発揮できるとされているのは7~8時間睡眠だが、睡眠時間をしっかり取っても午前中からぼんやりする場合は睡眠の質に問題があるのかもしれない。目安となるのは睡眠効率だ。「実際に眠っている時間」÷「ベッドにいる時間」×100で算出され、合格点は85点。30分以上寝つけない、夜中に何度も目が覚めてしまう人は合格点に達しないのではないだろうか。そんな人は一時的に「遅寝早起き」をするのがおすすめ。眠くなるまではベッドに行かず、起床時間は変えない。一時的に3~4時間睡眠になるが、深い眠りを体験できる。睡眠効率が85点を超えたら、ベッドに行く時間を15分ずつ前倒しし、徐々に7時間に近づけて行くとよい。
寝不足解消には昼寝も効果的だ。昼寝は脳の疲労を軽減し、パフォーマンス向上に役立つ。よい昼寝のポイントは ①15時までに ②15分~20分程度 ③座ったままの姿勢で眠ること。眠れなくても目を閉じているだけで情報がシャットダウンされ、リフレッシュできる。
心身ともに健康に、パフォーマンス高く仕事をするには睡眠の力が不可欠。寝不足の日本人だが、休むことと、よりよく働くことは同じベクトル上にあることを認識し、睡眠のとり方を見直してほしい。