インタビュー|「実は」で楽しむ 舞台の裏側【紅ゆずる】
余話一話
2022.2.15

インタビュー|「実は」で楽しむ 舞台の裏側【紅ゆずる】

元宝塚歌劇団星組トップスターで、現在は女優として活躍する紅ゆずるさんに宝塚の魅力や舞台への思いを聞きました。

紅さん自身も相当な宝塚ファンだったそうですが、演者だったからこそ伝えたい宝塚の楽しみ方は?

ファン時代は、綺麗、カッコいいとひたすら思っていましたが、実は舞台裏がすごいんです!上手に引っ込んだと思ったら、凄い速さで着替えて出てくる。通の人はご存知かと思いますが、ステージの後ろでは多くのスタッフが動いており、早変わりは全スタッフの協力なしには絶対できない。衣装だけでなく、より美しく出るためにアクセサリーや髪型、口紅も色を変えたりしているので、注目して頂きたいです。

衣装は、早変わりしやすいよう、美しい衣装の中に沢山の仕掛けがあり、陰で支えてくれるスタッフの汗と涙がたくさん詰まっています。

タカラジェンヌだったからこそ知っている宝塚の秘密を教えて

知る人ぞ知る話を挙げると、娘役の髪飾りなどは基本、娘役自身の手作り。娘役は細かい作業も稽古の合間にこなし、職人顔負けの技術。男役のカフスや指輪などアクセサリーも、演者本人のこだわりが詰まっていて、舞台の時代背景なども考えながら、アクセサリーを決めています。退団後の舞台では、全てのアクセサリーが衣装から出ることに衝撃を受けました。

また、私は関西出身ですが、タカラジェンヌは全国から集まってきているお陰で、劇団内では関西弁に共通語が入った柔らかな関西弁が飛び交っていました。これを「宝塚弁」と呼んでいました。これはタカラジェンヌしか知らない宝塚歌劇の秘密かもしれませんね。

宝塚を退団し、男役から女優になり意識が変わった点は?

役づくりの段階で、大きく変わったことはありませんが、男役は本当の男性ではなく、「男役」という生き物です。宝塚時代は、男役ならよりキリっと素敵に見えるよう、娘役はより可憐に見えるよう目指していましたが、女優になり、よりリアルに女性の感情が湧きやすいな感じました。男性とセリフを交わすときに、相手が男性なので必要以上に可憐に見えなきゃという必要はない。とはいえ宝塚歌劇団出身なので、宝塚歌劇で磨き、築いた美意識を生かしながら進化させていきたいです。

今後挑戦したい役は?

宝塚歌劇で悲劇経験から涙をぼろぼろ流す役も魅力的ですが今後はコメディを追求したいです。コメディの魅力はお客さまの笑い声がダイレクトに感じられ、その笑い声が間となりお客さまと舞台を一緒につくっているような感覚になれる。その時のお客さまと作る舞台、もう一度同じことをやろうとしてもできない、一期一会。見ていただいたお客さまが、また明日頑張ろうと前向きな気持ちになってくださるような楽しい舞台をつくっていきたいです。

紅 ゆずる
紅ゆずる くれない ゆずる
大阪府出身。2002年、宝塚歌劇団に第88期生として入団し、初舞台を踏む。
16年に星組トップスターに就任。19年『GOD OFSTARS―食聖―』『Éclair Brillant』をもって退団。
現在は舞台、テレビで活躍中。
https://www.shochiku-enta.co.jp/actress/kurenai
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