現場取材|電力需給を支える火力のいま! 赤穂発電所
かんでん Update
2022.1.14

現場取材|電力需給を支える火力のいま! 赤穂発電所

社会や暮らしを支えるライフラインを預かる企業として、関西電力では一人ひとりが情熱を持って安定供給を支え続けている。需給逼迫は起こさない、という使命感で行動する赤穂発電所員を追った。

ピーク電源からフル稼動へ

関西電力 赤穂発電所 佐藤 智幸

関西電力 赤穂発電所 佐藤 智幸

2020年度冬、関西電力は需給逼迫を乗り切るため、通常はピーク時のみに使用する火力電源もフル稼動させて対応した。赤穂発電所もそのひとつだ。

兵庫県赤穂市にある赤穂発電所は、石油火力発電所として1987年に営業運転を開始。以来30年以上にわたって関西地域の電力需要を支えてきたが、近年は調整用電源として、待機状態に置かれることが多かった。しかし昨冬は2基(各60万kW)とも高出力運転を行うこととなり、燃料油の受入れ、設備の監視、休日夜間にも及ぶ不具合の保修作業などに、発電所を挙げて取り組んだ。

11年の入社以来、赤穂発電所に勤務する佐藤智幸も、発電課の一員として昨冬は緊急対応に尽力した。火力発電所では排ガス、温排水などの数値について地元自治体と環境保全協定を結んでおり、緊急運転であろうと協定値の遵守は必須だ。

燃料受入れ業務を行う佐藤

燃料受入れ業務を行う佐藤

「例えば復水器で発生した温排水は、総放出量に加え取水と放水の温度差も決められている。これを守ったうえで、どれだけ高出力を維持できるか。事前に検証を重ね、これまで機械に任せていたところを一部手動に切り替えて微調整したり、監視を強化して逐次制御できる体制を取ったり。運転員それぞれが知恵を絞り、協定遵守と供給力確保の両立を図った」

縁の下の力持ちとして

燃料受入れの様子

燃料受入れの様子

需給逼迫が落ち着いた21年2月、佐藤は発電課内の運営係という新たな業務に就いた。発電所の窓口として燃料受入れや、発電機を停止して行うメンテナンス、保安テストを進める調整役だ。冬期の需要ピークを控えた21年秋からは、燃料受入れ頻度は週3〜5回程度に増加。また、メンテナンス作業の調整においても業務が輻輳するなか、確実に対応している。

「LNG価格の高騰もあり、今の赤穂発電所はベース電源に近い位置づけ。今冬も2基とも連続稼動しているが、運転開始から30年以上経つ発電所なので、不具合は起きやすい。それがシビアな事態になる前に、かつ電力供給に支障ないタイミングで直さないといけない」

メンテナンスの時期や内容は、保修担当部署はもちろん、火力事業本部やエネルギー需給本部など、さまざまな関係部署と需給状況をにらみながら調整していく。現場窓口としては苦労も多そうだが、佐藤はその点にこそ仕事の醍醐味を感じているようだ。

「発電所の運営には、運転操作を担う当直、設備保修を担う保修、燃料調達、協力会社の方々など、本当に多くの人が関わっている。その一端を担い、社会インフラを支える仕事に携われるのは大きなやりがい。まだまだ先輩に教わることも多いが、今後もスキルを磨き、縁の下の力持ちのような存在として電力の安定供給に貢献していきたい」。社会や暮らしを支える使命を果たすため佐藤の奮闘は続く。

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