余話一話
2025.11.28
失われたものを数えるな。残されたものを最大限に生かせ」。パラリンピックの父、グットマン博士の言葉だ。パラスポーツ選手はこの言葉を胸に競技に打ち込んでいる。
今年9月に開催されたニューデリー2025世界パラ陸上選手権大会では、5000m金メダルを皮切りに、計14個のメダルを獲得。特に長距離種目において日本はトップレベルにある。オリ・パラの選手同士の交流も進んでおり、100mで9秒台の記録を持つ山縣亮太選手(セイコー所属)は、パラアスリートの高桑早生選手(NTT東日本所属)と共に練習することで、体の使い方を学び記録に繫がったと話している。互いに学び合い、記録を伸ばす。パラ陸上のレベルアップは陸上界全体のレベルアップにも繫がっている。

パラ陸上の魅力は「一体感」だ。全盲クラスのトラック種目やマラソンでは、選手を誘導するガイドランナー(伴走者)がつく。輪になったロープを互いに持って走るが、腕を振るタイミング、歩幅、スピードまで完璧に合わなければ好タイムは期待できない。練習を重ねた2人がフィニッシュラインに向かってスパートをかける時には、腕の振り、足の運びまでシンクロ。この姿は芸術的ですらある。フィールド競技で印象的なのは、走り幅跳び。選手は、コーラーと呼ばれるガイドの声や手拍子に合わせて助走、踏切のタイミングをとって跳躍する。2人の信頼関係とコンビネーションが記録を生む瞬間は心が震える。
さまざまな障がいのある選手が生き生きとパフォーマンスする姿が見られるパラスポーツ。2026年3月には障がいの有無に関わらず誰もが参加できる「オール陸上」が東京で開かれ、メダリストも多数出場する。ぜひ、パラ陸上の一体感を会場で感じてほしい。
