
出典:英国・『エコノミスト』誌
大阪にはさまざまな顔がある。最先端都市の姿を持つ「うめきたエリア」や水の都・中之島。活気溢れるミナミ、ディープな下町の雰囲気に満ちた新世界周辺からコリアタウンまで、エリアごとに多様な魅力がある。そんな大阪の強みは、商業都市としての1500年の歴史だろう。食、娯楽、歴史・文化など多種多彩なコンテンツが揃い、人と人の交流が多く元気や活力がある。おもてなし、思いやりの気質に満ちている。
しかし、東洋のマンチェスター・大阪と呼ばれた繁栄の時代から約100年。経済的に地盤沈下しているのも事実だ。そこで大阪観光局が掲げた未来の姿が、2030年「アジアNo.1の国際観光文化都市」をめざすというもの。世界中から質の高いヒト・モノ・カネ・情報が集積し、雇用をはじめ経済効果が生まれる。結果的に住んでいる人が誇りを持つ。そんな街になることが理想だ。
2025年の大阪・関西万博も、そのビジョンを実現する流れの中で捉えることが必要だ。「アジアNo. 1の国際観光文化都市」には、大阪が率先して東京一極集中を解消し、北海道から沖縄まで、バランスの良い日本全体の地域発展をめざすという想いも込めた。万博では、大阪が日本の観光のショーケースとなり、食、温泉、祭り、城郭など、日本各地の魅力あるコンテンツへとインバウンド客を誘いたい。
歴史的に見れば日本は今年、戦後80年を迎える。その年に世界150カ国が集まる場で、世界平和・世界協調を促し主導する役割を担うべきだろう。環境や多様性に配慮し、SDGsの観点からもトップランナーとしての姿を示すべきだ。
大阪は、英国の経済誌エコノミストの調査で「世界で最も住みやすい都市ランキング」に6年連続してトップ10入りしているが、それは2030年ビジョンに向けた取り組みの1つの成果と言えるだろう。この結果に満足せず、課題の残る教育や住環境などをさらに充実させていく必要がある。万博が終着点ではない。その先のゴールは、大阪が「住んで良し」「働いて良し」「学んで良し」「訪れて良し」、そんな魅力満載の街になることだ。