プレスリリース

2012年2月17日
関西電力株式会社

原子力発電所の外部電源の信頼性確保に係る実施項目のうち鉄塔基礎の安定性評価等に関する実施状況報告書の提出について

添付資料

原子力発電所の外部電源の信頼性確保に係る実施項目のうち鉄塔基礎の安定性評価等に関する実施状況(概要)

1.鉄塔基礎の安定性評価

 平成23年5月16日の報告で、鉄塔基礎の安定性評価については、鉄塔周辺の地盤変状の影響による被害の要因として「盛土の崩壊」、「地すべり」および「急傾斜地の土砂崩壊」の3項目としており、今回、それぞれの評価を行った。

2.対  象

 原子力電源線の鉄塔 893基

1盛土の崩壊に対する基礎の安定性評価
【抽出方法】

 盛土の抽出に当たっては、東北地方太平洋沖地震で倒壊した東京電力の「夜の森線」周辺で発生した盛土崩壊箇所と同程度の規模以上の盛土を対象とした。更に安全性の観点から、それよりも小規模な盛土についても対象とした。
 対象箇所の抽出については、送電線ならびにその周辺の地形状況が記載されている実測平面図等を使用して、人工的に土地の改変が加えられた箇所を抽出した。また、送電線周辺で発生した盛土に関する送電線の保守記録も確認し、漏れの無いよう盛土箇所を抽出した。更に車両、ヘリコプター巡視で直接現地状況を確認した。

【結果】

 対象鉄塔893基のうち3箇所が該当したため、その3箇所について評価を行った結果、Cランク2箇所、Dランク1箇所であった。

電圧・線路名・鉄塔No. 対象 評価結果
500kV 青葉線 No.68 当社新綾部変電所の斜面盛土
275kV 美浜線 No.53 当社嶺南変電所の斜面盛土

※評価ランクの最上位のみ記載

<参考:評価ランク>

(原子力発電所の外部電源の信頼性確保に係る実施状況報告書抜粋)

Aランク: 早急に地質調査を行い、安定検討、対策工設計を実施する。
Bランク: 地質調査、安定検討を行い、必要に応じて対策工設計を実施する。
Cランク: 巡視点検時に盛土に変状がないことを確認。
Dランク: 通常管理

 青葉線No.68および美浜線No.53の現地踏査の結果、盛土が崩壊すると鉄塔に土砂が到達する可能性があるが、現状では盛土自体やその周辺に変状はなく、のり面保護工を施工しており、地震動に対して盛土の安定性を損なわせる要因は認められないと判断し、Cランクとした。
 なお、盛土地盤の地下水の有無については、現地確認等で盛土に影響を及ぼすような比較的浅い位置にないものと判断している。今後は巡視点検時に盛土に変状がないことを確認していく。

2地すべりに対する基礎の安定性評価
【抽出方法】

 地すべり防止区域(地すべり防止法)、地すべり危険箇所(地方自治体指定)、地すべり地形分布図((独)防災科学技術研究所)に示される範囲および、その近傍に設置している鉄塔を抽出し、さらに空中写真判読により、鉄塔との位置関係などを確認した。

【結果】

 対象鉄塔893基のうち78基が該当したため、その78基について現地踏査および評価を行った結果、Bランク3基、Cランク14基、Dランク61基であった。

電圧・線路名・鉄塔No. 対象 評価結果
500kV 青葉線 No.7 地すべり地形の近傍
500kV 高浜線 No.10、11 地すべり地形内

※評価ランクの最上位のみ記載

<参考:評価ランク>

(原子力発電所の外部電源の信頼性確保に係る実施状況報告書抜粋)

Aランク: 早急に地質調査を行い、安定検討、対策工設計を実施する。
Bランク: 地質調査を行い、点検監視レベル、計測による点検監視レベル、対策実施レベルを判定する。
Cランク: 巡視点検時に地すべりが静止していることを確認。
Dランク: 通常管理

 Bランクの3基については、地形上の制約等からやむを得ず、地すべり防止区域内または、近傍を経過しているが、地点の選定に当たっては、個別に詳細調査を実施し、安定した地盤であることの確認あるいは、特殊基礎を採用しており、基礎の安定性を確認している。また、地すべり防止区域に指定された当初から行政が現地調査および集水ボーリング孔等の対策を実施しており、当社においても平成19年4月からGPSで地形の変位測定を24時間体制で実施しており、観測開始から鉄塔に影響を及ぼすほどの地形の変位は観測されていない。
 上記のとおり、当該箇所においては、既に対策が完了していることや点検監視レベルを上げていることから今後も現状の監視を継続する。

3急傾斜の土砂崩壊に対する基礎の安定性評価
【抽出方法】

 急傾斜地の土砂崩壊については、鉄塔周辺の斜面の最大傾斜角が30度以上かつ逆T字基礎かつ建設時に詳細な地質調査を実施していないものを抽出した。

【結果】

 対象鉄塔893基のうち497基が該当したため、その497基について現地踏査および評価を行った結果、Aランク3基、Bランク48基、Cランク402基、Dランク44基であった。

電圧・線路名・鉄塔No. 評価結果
77kV 小浜線 No.61、106
500kV 大飯幹線 No.25

※評価ランクの最上位のみ記載

<参考:評価ランク>

(原子力発電所の外部電源の信頼性確保に係る実施状況報告書抜粋)

Aランク: 早急に地質調査を行い、安定検討、対策工設計を実施する。
Bランク: 地質調査を行い、表層の厚さ、点検監視レベル、対策実施レベルを判定する。
Cランク: 巡視点検時に斜面が安定していることを確認。
Dランク: 通常管理

 Aランクの小浜線No.61、No.106および大飯幹線No.25については、 過去に土砂崩壊を確認しているが、いずれの鉄塔も既に応急対策として、のり面保護(シート養生)および地質調査を実施済みであり、現時点で鉄塔基礎の安定性に影響を及ぼすものではない。
 現在、恒久対策として、小浜線No.61は鉄塔を移設、小浜線No.106、大飯幹線No.25については、のり面保護工[法枠工+鉄筋挿入工]の工事を計画しており、速やかに対応していく。

3.長幹支持がいしの免震対策の実施状況

 77kV送電線の長幹支持がいしの免震対策については、ロックピン式の免震金具(一部上向きに電線を把持している箇所は皿バネ式の免震金具を使用)を設置することとし、現在、対策工事を実施している。(H24.3末完了予定)

ロックビン式・免震金具 ハネ式・免震金具

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