プレスリリース
2011
2011年12月15日
関西電力株式会社
美浜発電所2号機の定期検査開始について
美浜発電所2号機 第27回定期検査の概要
- 1.主要工事等
-
(1) 耐震裕度向上工事 (図−1参照) 既設設備の耐震性を一層向上させるため、格納容器スプレ系統や余熱除去系統などの配管、中央制御室空調系統のダクト、原子炉盤の機器などの支持構造物を強化します。
- (2) 加圧器安全弁、加圧器スプレ弁および加圧器逃し弁他取替工事
(図−2参照) 保守性向上の観点から、加圧器安全弁、加圧器スプレ弁および加圧器逃し弁を輸入弁から部品調達の容易な国産弁へ取り替えます。
また、作業性や今後の保守性を考慮し、各弁に接続する配管の前後一部を取り替えます。(3) 化学体積制御系統小口配管他取替工事 (図−2参照) 国外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、1次冷却材の流れのない配管(高温環境で溶存酸素濃度が高い)の溶接部について、計画的に対策工事※2を実施しており、今回は化学体積制御系統2箇所について溶接形状と材料を変更します。
また、取替時の作業性を考慮し、対象箇所周辺の配管の一部および弁を取り替えます。
※2:応力集中の小さい溶接形状への変更と耐食性に優れた材料への変更(4) 1次系強加工曲げ配管取替工事 (図−2参照) 国外BWRプラントにおいて、芯金を使用して曲げ加工した配管の内面で応力腐食割れが発生した事象を踏まえ、予防保全として、1次冷却材系統につながる曲げ配管のうち、芯金を使用して曲げ加工したものを、管継手に取り替えます。
また、取替時の作業性を考慮し、対象箇所周辺の配管の一部を取り替えます。(5) 原子炉保護装置取替工事 (図−3参照) 原子炉保護装置※3について、電子部品が製造中止になったことから、今後の保守性を考慮して、原子炉安全保護計装盤を最新設計のものに取り替えます。
- ※3:1次冷却材系統の圧力・温度信号などからプラントの異常を検出して、原子炉トリップしゃ断器および工学的安全施設を動作させるための装置。
(6) 安全系計器用電源装置取替工事 (図−4参照) 安全系計器用電源装置の構成部品が製造中止となったことから、今後の保守性を考慮し、最新の電源装置に取り替えます。
(7) 2次系熱交換器取替工事 (図−5参照) 復水器伝熱管からの海水漏えいを防止するため、伝熱管を銅合金製から耐食性に優れたチタン製に取り替えます。
A−第2低圧給水加熱器の伝熱管支持板部の一部の管穴に腐食が認められることから、予防保全として、A−第2給水加熱器を耐食性に優れた材料※4を使用した新品に取り替えます。- ※4:管支持板部は炭素鋼から低合金鋼、伝熱管は銅合金からステンレス鋼へ変更する。
(8) 1次冷却材ポンプ供用期間中検査 (図−6参照) 1次冷却材ポンプの供用期間中検査として、A号機の主フランジ締め付け部やケーシング内表面について、目視点検や超音波探傷検査を行い、健全性を確認します。
(9) 原子炉容器供用期間中検査 (図−6参照) 原子炉容器の供用期間中検査として、原子炉容器溶接部等の超音波探傷検査を行い、健全性を確認します。
- 2.設備の保全対策
-
(1)発電機固定子コイルおよび発電機励磁機取替工事 (図−7参照) 発電機固定子コイル、発電機励磁機回転子および固定子コイルの絶縁材料が劣化傾向にあることから、予防保全として、発電機固定子コイルを新しいものに取り替えるとともに、発電機励磁機を新品に取り替えます。
(2)2次系配管の点検等 (図−8参照) 当社の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配管 826箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施します。
(超音波検査 797箇所、内面目視点検 29箇所)
また、過去の点検において減肉が確認された部位4箇所、配管取替時の作業性を考慮して取り替える部位4箇所、今後の保守作業を考慮した部位86箇所、合計94箇所を耐食性に優れたステンレス鋼もしくは低合金鋼の配管に取り替えます。
- 3.燃料集合体の取替
- 燃料集合体全数 121 体のうち、41 体(うち36体は新燃料集合体)を取り替える予定です。
-
4.福島第一原子力発電所事故を踏まえた特別点検等※5 (図−9参照) 非常用炉心冷却系統や格納容器スプレリングの健全性確認および使用済燃料ピットの温度計の電源を非常用電源に変更するとともに、さらなる監視強化のため、非常用電源に接続した使用済燃料ピットの広域水位計および監視カメラを設置します。
また、非常用炉心冷却系統の耐震サポートおよび屋内外タンク基礎ボルト等の点検を行います。
※5:使用済燃料ピット冷却系統ポンプの分解点検は実施済。
- 5.その他
-
- (1) A−加圧器スプレ弁グランドリークオフ流量増加の原因調査
- 美浜発電所2号機は、11月9日頃からA−加圧器スプレ弁※6のグランド部から1次冷却水をドレンタンクに回収する配管の温度が若干高めであったことから、当該配管内の流量等の監視を行っていたが、配管内の流量が液体廃棄物処理設備の処理能力を超える可能性があったことから、12月7日20時から出力降下を開始し、12月8日3時15分に発電を停止、4時に原子炉を停止しました。
なお、格納容器内の放射線モニタや加圧器水位等の運転パラメータに変化はなく、格納容器内の監視カメラによる点検で漏えいは認められていません。
この事象による周辺環境への放射能の影響はありません。[平成23年12月7日 お知らせ済み]
原子炉停止後、当該弁の外観目視点検を実施したところ、1次冷却水の系統外への漏えい等の異常は認められていません。
今後、定期検査で予定している燃料取出しを行った後、系統の水抜きを行い、当該弁を取り外して原因調査を行います。- ※6:加圧器の圧力が設定値(15.59MPa)を超えて高くなった場合に、加圧器内に水を拡散し、圧力を調整する弁。
- (2) 原子炉の起動については、福島第一原子力発電所事故に対する安全対策の実施状況を踏まえ、地元のご理解を得ながら計画します。
以 上