プレスリリース

2011年4月7日
関西電力株式会社

高浜発電所1号機の定期検査状況について
(非常用ディーゼル発電機からの潤滑油漏えいに係る原因と対策について)

 高浜発電所1号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力82万6千キロワット、定格熱出力244万キロワット)は、第27回定期検査中(1月10日開始)の平成23年3月9日12時19分に、B−非常用ディーゼル発電機のディーゼル機関を起動し、分解点検後の試運転を実施したところ、4台あるクランク室安全弁※1の1つから潤滑油が吹き出したため、同日12時21分に当該ディーゼル機関を停止しました。これに伴い、潤滑油の漏えいも停止しました。
 今回の事象に伴い、12時22分にB−ディーゼル発電機室地下1階の火災報知器が発報しましたが、漏れた潤滑油が霧状となって拡散したことにより発報したものと推定されます。
 今回の事象については、消防署員による現場確認の結果、火災でないと判断されました。
 なお、本事象において、環境への影響はありません。

  • ※1:クランク室安全弁…クランク室内の圧力が上昇した時に、クランク室内の圧力を逃がす役割を持っている。

平成23年3月9日お知らせ済み]

1.調査結果
(1)クランク室安全弁の調査
  • ・クランク室安全弁4台を取り外し、外観点検を行った結果、すべての安全弁において、弁が動作し潤滑油が漏れ出した痕跡が認められました。
  • ・工場で弁の動作確認を実施した結果、すべての弁が正常に動作することが確認されました。
  • ・このことから、クランク室内の圧力が上昇したことにより、安全弁が動作したものと推定しました。
(2)クランク室内の圧力上昇に係る調査
  • ・ディーゼル機関の分解点検を行った結果、シリンダ内に燃料油を供給するため、クランク室入口に設置されている燃料油供給ポンプ駆動装置の駆動軸および軸継手の表面に変色が認められました。
  • ・工場で燃料油供給ポンプ駆動装置の詳細点検を実施した結果、変色は、駆動軸を保持する軸スリーブ近傍の駆動軸および軸継手の表面に認められ、その色調(褐色、青・紫色)から、試運転中の当該部の温度は250℃を超えていたものと推定しました。
  • ・また、駆動軸と軸スリーブの間には潤滑油が供給されて滑らかに動く構造となっていますが、駆動軸と軸スリーブの間に潤滑油の残渣※2が堆積し、潤滑油の流れが悪い状態であることを確認しました。
  • ※2:残渣…機関の摺動部から発生する剥離物と潤滑油が長期間のうちに油溝にたまったもの。
(3)燃料油供給ポンプ駆動装置の点検履歴
  • ・ポンプ駆動装置については、定期検査の試運転時に動作確認を行うのみで分解点検は実施していませんでした。
2.推定原因

 燃料油供給ポンプの軸スリーブ内面に加工された油溝に潤滑油の残渣が堆積していたことにより、潤滑油の流れが妨げられ、駆動軸と軸スリーブの摺動部の接触抵抗が大きくなりました。
 このため、駆動軸と軸スリーブの摺動部が高温となり、摺動部周辺の潤滑油が気化することにより、クランク室内の圧力が上昇し、クランク室安全弁が動作したものと推定しました。

3.対策
  • ・当該B−非常用ディーゼル発電機の燃料油供給ポンプ駆動装置の駆動軸、軸スリーブおよび軸継手を新しいものに取り替えます。
  • ・また、A−非常用ディーゼル発電機の燃料油供給ポンプ駆動装置についても、同様に駆動軸等の取替えを行います。
  • ・今後、ポンプ本体の分解点検(2定検に1回)に合わせて、燃料油供給ポンプ駆動装置の分解点検を行います。

以 上

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