発電所名 |
美浜発電所2号機 |
発 生 日 |
平成22年11月 1日 |
件 名 |
原子炉格納容器空気再循環ファン定期試験における保安規定の運転上の制限の逸脱について
(添付図1) |
(概要)
定期検査中の美浜発電所2号機は、定格熱出力で調整運転中の11月1日13時45分頃、原子炉格納容器内の空気を循環させて冷やす系統の定期試験のため、空気再循環ファン1台を起動したところ、ファンは正常に起動しましたが、ファン起動に伴い自動で開くはずの空気冷却装置の冷却水入口弁と出口弁のうち、出口弁が開きませんでした。このため、同日14時00分、保安規定の運転上の制限を満足していないものと判断しました。
調査の結果、定期試験時に当該弁を開閉するモータに電源を供給する電気回路を構成するスイッチの一つに電気的な接触不良が生じ、モータへの電源が供給されなかったため、当該弁が開かなかったものと推定しました。
対策として、当該スイッチを新品に取り替えることとしました。
この事象による周辺環境への放射能の影響はありません。
その後電気的な接触不良が生じたと推定されるスイッチを取り替えた上で、11月4日21時35分、運転上の制限の逸脱からの復帰を宣言しました。
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事象概要
および
対 策 等 |
美浜発電所2号機は、10月26日に発生した高圧給水加熱器ドレン水切替操作時の電気出力変動の対策を終え、10月28日19時に電気出力約30%からの出力上昇操作を始め、10月31日6時30分に定格熱出力に到達し、調整運転中のところ、11月1日13時45分、原子炉格納容器空気再循環系※1の定期試験として、原子炉格納容器空気再循環ファン(以下「再循環ファン」)の1台(待機中のD号機)を起動したところ、再循環ファンは正常に起動しましたが、起動信号を受けて自動で開くはずの格納容器循環空調装置冷却コイルの冷却水入口弁と出口弁のうち、出口弁が開きませんでした。
13時51分に中央制御室から当該出口弁の操作スイッチを開操作しましたが、開きませんでした。
このため、14時00分に、原子炉格納容器空気再循環系は、保安規定の運転上の制限※2を満足しないものと判断しました。
他の3台の再循環ファンについては正常に運転しており、格納容器内の温度および圧力は安定しています。
この事象による周辺環境への放射能の影響はありません。
その後電気的な接触不良が生じたと推定されるスイッチを取り替えた上で、11月4日21時35分、運転上の制限の逸脱からの復帰を宣言しました。
- ※1 原子炉格納容器空気再循環系は、通常運転中は格納容器内の温度調整を行い、1次冷却材喪失事故時には格納容器内の圧力上昇を抑え、放射性物質の除去を行う。このための設備として、再循環ファン4台(1系統に2台)、空気を冷やす冷却コイル4台(1系統に2台)、放射性物質を除去するフィルタ4台(1系統に2台)からなる。
- ※2 保安規定上は、運転中に2系統が動作可能であることを求めている。1系統が動作不能の場合、他の1系統が動作可能であることを速やかに確認した上で、10日以内に正常な状態に復旧することを求めている。
- 1.調査結果
現場にいた運転員に、聞き取り調査を行った結果、弁を開閉するモータが動作していないことがわかったため、モータおよびモータに電源を供給する電気回路について電気的な導通試験を行いましたが、異常は認められませんでした。
このため、現場で当該弁を手動操作し、弁の開閉動作に引っかかり等の異常がないことを確認した上で、定期試験を模擬した再現試験を行った結果、当該弁の開動作中にモータへの電源電圧が瞬時低下する事象が発生しました。
電圧低下は、電気回路を構成するトルクスイッチ※3で発生していることを確認し、トルクスイッチを取り外して外観点検した結果、接点部に茶色の皮膜があることを確認しました。
- ※3 弁の開閉動作時、規定値以上の駆動力が加わった際に、電源回路を切断し、動作を自動停止するスイッチ。
- 2.原 因
当該弁を開閉するモータに電源を供給する電気回路のトルクスイッチの接点部に形成された皮膜により電気的な接触不良が生じ、モータへの電源が供給されなかったため、定期試験時に当該弁が開かなかったものと推定しました。
- 3.対 策
当該トルクスイッチを新品に取り替えた後、弁の開閉試験を行い、正常に動作することを確認します。
また、取り外したトルクスイッチを工場にて詳細に点検します。
[発生については、平成22年11月1日、当社ホームページ上でお知らせ済み]
[原因対策については、平成22年11月4日、お知らせ済み]
[逸脱からの復帰については、平成22年11月4日、当社ホームページ上でお知らせ済み]
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発電所名 |
高浜発電所3号機 |
発 生 日 |
平成22年11月19日 |
件 名 |
高浜発電所3号機ディーゼル発電機室内での発火にかかる原因と対策について
(添付図2) |
事象概要
および
対 策 等 |
高浜発電所3号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力87万キロワット、定格熱出力266万キロワット)は、第20回定期検査中(10月13日開始)の11月19日13時39分、3Aディーゼル発電機室内地下(非管理区域)で、協力会社社員が発火を確認し直ちに消火器を用いて消火活動を行うと同時に、室内の火災報知器が発報しました。
13時41分に消火するとともに、当社社員が119番通報を行いました。
その後、現場に到着した消防により、14時30分に鎮火が確認され、15時51分に火災であったと判断されました。
当時、3Aディーゼル発電機室内地下において、配管の支持構造物を工具(グラインダ)で切断する作業を行っていました。
本件において負傷者は発生しておらず、環境への放射能の影響はありません。また、延焼もなく、周辺設備に影響はありませんでした。
- 1.調査結果
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- (1)作業状況
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- 3Aディーゼル発電機室内では、当日の午後から非常用ディーゼル定期点検工事(以下、定検工事)として、燃料油手動ポンプ(※)を配管から取り外す作業を実施しており、火災発生前にはポンプの取り外し作業を終え、その際に滴下した油のウエスによる拭き取りを終了した状態でありました。その後、油の拭き取りが終了したことから、同室内で実施していた配管他修繕工事(以下、修繕工事)において、配管を移設するため、防炎シートで養生された区画内で、グラインダを用いて支持構造物を切断する作業を行った際、区画外の近くの側溝から発火しました。
- (※)ディーゼル発電機の燃料油を貯蔵している地下のタンクから、燃料油を移送するために設置されている燃料油移送ポンプが故障した際に使用するためのポンプ。
- (2)作業環境
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- 修繕工事の防炎シートによる養生について確認したところ、側溝内に配管等があったことなどから、配管と側溝の底面の間に、防炎シートで養生しきれていない隙間があったことがわかりました。また、側溝内には、埃、ヘドロ等が蓄積していることを確認しました。
- 2.推定原因
修繕工事の作業員が配管の支持構造物を取り外すためグラインダを使用した際、火花が側溝内の防炎シートの隙間から飛散しました。
一方で、燃料油手動ポンプの取り外し作業により側溝内に滴下した油を、堆積した水分を含んだ埃、ヘドロがある状態で拭き取ったため、油が側溝内に薄く広がった状態となり、気化しやすくなった状態のところへグラインダの火花が飛び、油に引火したものと推定しました。
修繕工事側においては床面の養生、定検工事側においては油の処理と側溝の埃やヘドロの清掃などの防火対策が不十分でした。
- 3.対 策
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- ・ディーゼル発電機室内での火気取扱い作業では、ブリキ板や難燃性シート等により床面に隙間のない養生をするよう徹底します。また、油取扱作業時にも油が確実に回収できる養生を実施します。
- ・油を取り扱う可能性があるディーゼル発電機室内や燃料タンク内などの場所では、火気取扱い作業前に、側溝なども含めた作業場所の清掃を行います。また、油の拭き取り、片付け作業で用いたウエスについては、使用後速やかに、不燃性の密閉容器に入れることとします。
[平成22年11月19日、25日 お知らせ済み]
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