プレスリリース

2010年5月7日
関西電力株式会社

高浜発電所4号機の原子炉起動および調整運転の開始について

高浜発電所4号機 第19回定期検査の概要

1.今回の定期検査を利用して実施した主要な工事
(1)1次冷却材ポンプの供用期間中検査 図−1参照

 1次冷却材ポンプの供用期間中検査として、C号機の主フランジ締め付け部やケーシング内表面について、外観目視点検や超音波探傷検査を行ない、健全性を確認しました。

(2)低圧タービン取替工事 図−2参照

 国外で発生した低圧タービン円板の翼溝部の応力腐食割れ事象に係る予防保全対策として、低圧タービン(3基)について、熱処理によって従来より耐食性を向上させた低合金鋼と、発生応力が低減される構造(翼溝と翼根の大型化)を採用したものに取り替えました※1

  • ※1 当該工事に伴い、タービン性能が向上することにより、定格熱出力一定運転において電気出力が約1.5〜3.0%上昇する。
(3)600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る予防保全工事
図−3参照

 国内外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器出入口管台について超音波探傷検査を、原子炉容器炉内計装筒の内面及び管台溶接部については、渦流探傷試験や外観目視点検を行い、健全性を確認しました。
 また、予防保全対策として、原子炉容器炉内計装筒の内面及び管台溶接部について、表面の残留応力を低減させるため、ウォータージェットピーニング工事※2を施工し、加圧器サージ管台、安全弁管台、逃がし弁管台、スプレイライン管台について、600系ニッケル基合金で溶接された管台から耐食性に優れた690系ニッケル基合金で溶接された管台に取り替えました。

  • ※2 金属表面に高圧ジェット水を吹き付けることにより、金属表面の引っ張り残留応力を圧縮応力に変化させる。
(4)格納容器再循環サンプスクリーン取替工事  図−4参照

 1次冷却材喪失事故時に、格納容器再循環サンプスクリーンが異物混入により機能低下することを防止する観点※3から、スクリーンをより表面積が大きいものに取り替えました。

  • ※3 国外BWRプラントでの非常用炉心冷却系統ストレーナの閉塞事象を踏まえた原子力安全・保安院の指示を受け、格納容器再循環サンプスクリーンの有効性を評価した結果、設備上の対策が必要であると評価された。なお、設備上の対策を講じるまでは、閉塞事象発生時対応マニュアルの整備などの暫定対策を講じており、安全上の問題が生じることはない。
(5)1次系小口径曲げ配管取替工事 図−5参照

 国外BWRプラントにおいて、芯金を使用して曲げ加工した配管の内面で応力腐食割れが発生した事象を踏まえ、予防保全として、1次冷却材系統につながる曲げ配管のうち、芯金を使用して曲げ加工したものを、芯金を使用せずに曲げ加工した配管に取り替えました。

(6)高サイクル熱疲労割れに係る対策工事 図-6参照

 国内外PWRプラントにおける高サイクル熱疲労割れ(温度ゆらぎによる熱疲労)を踏まえ、安全注入系統の補助注入ライン高温側2箇所、低温側1箇所に弁を追加しました。また、作業時の作業性を考慮し、対象となる部分周辺の配管の一部を取り替えました。

(7)原子炉保護装置取替工事 図−7参照

 原子炉保護装置※4の電子部品が製造中止になったことから、今後の保守性を考慮して、一部を最新設計のものに取り替えるとともに、1次冷却材系統の圧力・温度等を測定する検出器について、信頼性向上のため、現在3台のものを4台に変更し、原子炉停止信号や工学的安全施設作動信号の発信に用いられている信号を増やしました。

  • ※4 1次冷却材系統の圧力・温度信号などからプラントの異常を検出して、原子炉トリップしゃ断器および工学的安全施設を動作させるための信号を送る装置。
(8)原子炉照射試験片取出工事

 中性子照射による原子炉容器の材料特性変化を定期的に把握するため、原子炉容器内部に設置している照射試験片を取り出しました(今回で4回目)。

2.設備の保全対策について
(1)2次系配管の点検等  図−8参照

 当社の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系配管726箇所に14箇所を追加した合計740箇所について超音波検査(肉厚測定)を行った結果、必要最小厚さを下回る箇所および次回定期検査までに必要最小厚さを下回ると評価された箇所はありませんでした。
 また、過去の点検において減肉が確認された部位3箇所、今後の保守作業を考慮した部位170箇所、合計173箇所を耐食性に優れたステンレス鋼もしくは低合金鋼の配管に取り替えました。

3.蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果 図−9参照

 蒸気発生器3台のうち、A、B、C−蒸気発生器伝熱管全数(既施栓管を除きAは 3,247本、Bは3,249本、Cは3,261本、合計9,757本)について渦流探傷検査を実施した結果、C−蒸気発生器の伝熱管1本で高温側管板※5部に、有意な信号指示が認められました。
 原因は、過去の調査結果から、蒸気発生器製作時に当該伝熱管を管板部で拡管する際、伝熱管内面で引張残留応力が発生し、これが運転時の内圧と相まって、伝熱管内面から応力腐食割れが発生し、今回の検査で検出されたものと推定されました。
 対策として、当該伝熱管を使用しないこととし、閉止栓(機械式栓)を施工しました。

  • ※5 蒸気発生器内の伝熱管が取り付けられている部品。伝熱管と管板で、1次冷却材と給水 (2次側水)の圧力障壁となる。

平成22年3月16日 3月23日お知らせ済み]

4.燃料集合体の取替

 燃料集合体全数157体のうち81体(うち60体は新燃料集合体)を取り替えました。
 燃料集合体の外観検査(32体)を実施した結果、異常は認められませんでした。

5.次回定期検査の予定

 平成23年 夏頃

 なお、定期検査の作業工程については、別紙を参照下さい。

以 上

本文へ戻る

プレスリリース