プレスリリース

2009年11月24日
関西電力株式会社

美浜発電所1号機の定期検査状況について(発電機出力上昇操作中の不具合による発電停止の原因と対策)

 美浜発電所1号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力34万キロワット、定格熱出力103万1千キロワット)は、定期検査中の平成21年11月12日19時40分から約20%出力に向けて出力上昇操作を始めましたが、タービンに送る蒸気の量を制限している弁(蒸気加減弁)の制御スイッチ(ロードリミッタスイッチ)を出力上昇側に1回操作※1したところ、発電機出力が急激な上昇傾向を示しました。その後の出力降下操作により、出力は同日22時頃には約6%の出力で安定に推移する状態となりました。
 原因調査として、ロードリミッタスイッチや弁の制御回路等について点検しましたが、異常は認められなかったことから、詳細な点検を行うため発電を停止することとし、11月13日7時00分に出力降下を開始し、7時8分に発電を停止しました。
 なお、本事象による原子炉熱出力の変動は、17万9千600キロワット(定格熱出力の17.4%)から6万3千キロワット(同6.1%)までとなっています。
 この事象による周辺環境への放射能の影響はありません。

平成21年11月13日 お知らせ済み]

  • ※1:ロードリミッタスイッチを1回上昇操作すると、結果として電気出力が約0.1%上昇する程度の蒸気量が増える。(弁が開側になる)
1.調査結果
(1)蒸気加減弁およびロードリミッタ(負荷制限器)※2等の調査
 蒸気加減弁の開度は、ロードリミッタ(以下「負荷制限器」という)の信号によって弁の開度を制御する油圧信号が変化することで制御されています。
 発電停止後、負荷制限器および蒸気加減弁について外観点検や動作試験等を行った結果、異常は認められませんでした。
 詳細調査として、事象発生時における負荷制限器の油圧信号を調査したところ、油圧信号の変化量が、通常(約0.15kPa程度)より大きい値(約7kPa)を示していたことを確認しました。
 このことから、負荷制限器内で一時的に異常が発生した可能性があると判断し、負荷制限器部分を制御油圧系統から取り外して詳細に点検しました。
 その結果、構成部品であるピストンやカップ弁等の構成部品に傷等の異常は認められませんでしたが、内部の制御油を回収したところ、微小な異物を確認しました。分析の結果、異物は負荷制限器を制御油圧系統に取り付ける際の接続面(合わせ面)に用いるペースト状ガスケット※3の成分と一致することを確認しました。
  • ※2:蒸気加減弁の開度を調整する油圧制御機構の一部。制御機構は主ガバナ、補助ガバナ、油圧ブースタおよび負荷制限器から構成される。
  • ※3:機密性を高めるために部品と部品の合わせ面に塗布しているシール材。
(2)異物混入の調査
 負荷制限器は定期検査作業に制御油圧系統から取り外し、油が通る開口部は布ウエス※4で塞ぎ、合わせ面に塗布しているペースト状ガスケットは除去しています。
 これらの作業過程から、ガスケットの微小な残片等がウエスに付着するなどして開口部に混入した可能性が否定できないと判断しました。
  • ※4:機械の油の拭き取りなどに用いる布
(3)異物混入時の動作再現試験
 負荷制限器の内部には、それぞれ独立して上下に動くピストンと、弁の開閉を制御する油圧を発生させているカップ弁があり、負荷制限器スイッチからの信号により、カップ弁の位置が微小に動き、ピストンとの隙間が変化しますが、この隙間を一定に調整するように油圧が変化することで弁の開度が制御されます。
 ガスケットの微小片(異物)が、上下に動くピストンの外面にはさまった場合の再現試験を行った結果、ピストンが動く際に、異物による抵抗力が働くため、油圧と釣り合う位置が通常と異なり、油圧の変化量が通常と比べ大きくなることを確認しました。
2.推定原因
 今回の定期検査時の負荷制限器の取外し・取り付け作業に伴い、微小なガスケットの残片が負荷制限器内の油系統に混入し、出力上昇時にピストン外側に噛み込んだことにより、蒸気加減弁の開度制御油圧の変化量が大きくなった結果、発電機出力が大きくなり、原子炉熱出力も追従して変動したものと推定しました。
3.対 策
 今回不具合が認められた負荷制限器については、工場にて点検・調整を行った後、発電所にて油圧系統に取り付け、蒸気加減弁が正常に動作することを確認しました。
 また、今後、定期検査時に負荷制限器を油圧系統から取り外す際には、合わせ面の開口部に専用の閉止プラグを取り付けるとともに、作業場所をクリーンエリア(異物の侵入を防ぐエリア)に設定し、異物管理を強化することとします。

 美浜発電所1号機は今後、平成21年11月24日17時頃、調整運転を再開(発電再開)し、12月中旬に経済産業省の最終検査を受けて本格運転を再開する予定です。

以 上

(経済産業省によるINESの暫定評価)
基準1 基準2 基準3 評価レベル
0− 0−
INES:国際原子力事象評価尺度