プレスリリース

2009年5月26日
関西電力株式会社

電力の安全・安定供給のための新たな技術開発について

 当社は、将来にわたる電力の安全・安定供給につながる研究開発を積極的に推進していますが、今回、ダムおよび超高圧送電線の点検について、安全を最優先に、正確かつ効率的に実施することができる技術を開発しました。
 具体的には、以下のとおりです。

【ダム表面の遠隔点検システムの開発】

 ダムの点検は、外観から異常の有無を確認する巡視・点検や、変形などの計測のほか、定期的にダム表面の詳細な点検を実施しています。この詳細点検は、ロープアクセスや仮設足場の設置等で、点検員が至近距離からダムの表面状態の点検を行っており、長時間、高所で作業を行う必要があるといった課題がありました。

※重力式コンクリートダムで実施
…重力式コンクリートダムとは、コンクリートで作られたダムで、貯水池からの水圧をダム自体の重量で支える形式のダム。コンクリートダムとしては最も一般的なもの。

 当社は、株式会社環境総合テクノス、および株式会社ニコンシステムと共同で、ダム表面を遠隔から容易に撮影し、点検することができる新たなシステムを、電力会社で初めて開発しました。
 本システムの導入で、より安全な作業環境を確保できるとともに、正確かつ効率的な点検が行えます。今回開発したシステムの特長は、以下のとおりです。

1ダムの形状や立地条件に関係なく表面状態を正確に把握
・デジタルカメラの画像と測量技術を組み合わせ、遠隔から撮影したダムの曲面や斜め角度の画像を正面画像に変換・補正することで、細かなひび割れなど、ダムの表面状態を正確に把握する。
2高効率な画像処理技術の開発
1で行う正面画像への変換・補正作業を、より効率的に行うことのできる画像処理技術を開発。
3ダムの表面状態履歴の蓄積
・撮影したダムの表面状態画像の電子データを蓄積でき、経年変化のより確実な管理が可能。

詳細別紙1参照

 平成19年度から20年度にかけて、実際の重力式コンクリートダムで実証試験を実施しており、今後、その結果の検証を行い、本格導入に向け準備を進めるとともに、将来的には、アーチ式ダムや他のコンクリート構造物などへの適用も目指します。

【超高圧送電線の活線点検ロボットの開発】

 超高圧の架空送電線は、ヘリコプターや徒歩での巡視のほか、点検員が電線に宙乗りして行う外観点検を行っていますが、この外観点検は停電が必要となり、電力の安定供給に支障をきたさないように行う必要があります。
 また、送電線に関するその他の作業(がいし取替えや電線張替え工事等)も含めると、電力需要が少なく、停電作業を行いやすい時期(春、秋)に作業が集中するといった課題がありました。

 当社は、東京工業大学、株式会社かんでんエンジニアリング、株式会社ハイボット、株式会社ジェイ・パワーシステムズ、および財団法人電力中央研究所と共同で、遠隔操作でカメラを用いて正確に外観点検できる、超高圧送電線の活線点検ロボットを開発しました。
 本ロボットの導入で、より安全な作業環境を確保できるとともに、無停電での外観点検が可能となり、より安定した電力系統の運用に繋がります。また外観点検を、停電作業が集中する時期を避けて行うことで、送電線関係作業の集中の緩和にも寄与できます。超高圧送電線の活線点検ロボットの開発は、世界でも初となります。
 今回、開発したロボットの特長は、以下のとおりです。

150万Vの送電状態で正常に作動
・ロボットの主要部分を高電圧から保護するため、表面を導電率の高い金属シールドで覆うなどの対策を施し、超高圧の条件下でも正常に作動。
2障害物を乗り越え、人間と同等以上の作業能力
・今回開発したバランス制御システムにより、径間スペーサや、鉄塔から電線を支持するがいし装置などの障害物をかわしながら、複数の送電線径間を連続で点検。
・人間と同等以上の作業能力(速度毎分20m、登坂能力30度)を確保。
※超高圧の送電線は1相を2本ないし4本の電線で構成(多導体)しており、その電線間隔を保持するため、電線の径間に「径間スペーサ」を設置している。
3電線の状態履歴の蓄積
・撮影した電線画像の電子データを蓄積でき、経年変化のより確実な管理が可能。

詳細別紙2参照

 今後、点検データの分析システムの調整等、本格導入に向けた準備を進め、平成22年度から一部実線路に試験導入、その結果を踏まえて平成23年度から 本格導入する予定です。

 当社は引き続き、将来にわたる電力の安全・安定供給につながる研究開発を積極的に推進し、お客さまの暮らしや産業の基盤を支えていけるよう、取り組んでまいります。

以 上