プレスリリース
2008
2008年10月3日
関西電力株式会社
高浜発電所4号機の定期検査状況について(蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査における有意な信号指示の確認結果の原因と対策について)
高浜発電所4号機(加圧水型軽水炉、定格電気出力87万キロワット)は、平成20年8月23日から第18回定期検査を実施していますが、3台ある蒸気発生器(SG)の伝熱管全数*1について渦流探傷検査(ECT)*2を実施した結果、C-SGの伝熱管1本の高温側管板*3部に、有意な信号指示が認められました。なお、A,B-SGの伝熱管については、有意な信号指示は認められませんでした。
今後、有意な信号指示が認められた原因について調査します。
本事象による環境への放射能の影響はありません。
今後、有意な信号指示が認められた原因について調査します。
本事象による環境への放射能の影響はありません。
[9月22日お知らせ済み]
*1: | 既施栓管を除きA-SGで3,247本、B-SGで3,249本、C-SGで3,262本、合計9,758本。 | |
*2: | 高周波電流を流したコイルを、伝熱管に接近させることで対象物に渦電流を発生させ、対象物の欠陥に起こった渦電流の変化を電気信号として取り出すことで欠陥を検出する検査。 | |
*3: | 蒸気発生器内の伝熱管が取り付けられている部品。伝熱管と管板で、1次冷却材と給水(2次側水)の圧力障壁となる。 |
1. | 原因調査 | |||||
有意な信号指示が認められた原因を調査するため、過去の検査結果との比較や、運転履歴等の調査を実施しました。 | ||||||
(1) | 過去の検査結果との比較 | |||||
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高浜4号機では、第11回定期検査(平成11年)において、初めて高温側管板部で有意な信号指示が確認され、抜管調査の結果、ローラ拡管*4部上端部付近に位置する伝熱管内面の軸方向に沿った割れが認められました。原因は、SG製作時に、伝熱管を固定する管板の管穴の穴径が部分的にわずかに広がったため、その後伝熱管拡管の際、管内面で局所的に引張り残留応力が生じ、この残留応力と運転時の内圧が相まって生じた応力腐食割れであると推定されました。 | |||||
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その後、表面の応力を改善するために、第13回定期検査(平成14年)でSG伝熱管の高温側管板部にショットピーニング*5を施工しました。 | |||||
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今回の有意な信号指示は、![]() ![]() |
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(2) | ショットピーニングの効果 | |||||
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伝熱管内面でのショットピーニングでは、内表面から一定の深さ(約0.2mm)までは引張り応力が圧縮応力となりますが、これより深い部分では、効果が小さいことが知られています。 | |||||
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このため、ショットピーニング施工時にECTの検出限界*6未満(約0.5mm)の傷が既に発生していた場合、時間の経過とともに傷が進展する可能性があり、これまでにも、ショットピーニング後の第14回定期検査で、有意な信号指示が確認されています。 | |||||
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(3) | 運転履歴調査 | |||||
運転開始以降、今定期検査開始に至るまでの期間について、1次系の主要な運転パラメータである温度、圧力、水質について調査を行った結果、過大な応力を発生させる温度、圧力の変化はなく、水質も基準値の範囲内で安定していたことが確認されました。 | ||||||
(4) | その他調査 | |||||
製造履歴調査、材料調査等の調査を行い、いずれも問題がないことを確認しました。 | ||||||
2. | 推定原因 | |||||
有意な信号指示が認められた原因は、過去の調査結果等から、SG製作時に当該伝熱管を管板部で拡管する際、管内面で引張残留応力が発生し、これが運転時の内圧と相まって、伝熱管内面から応力腐食割れが発生し、これが徐々に進展し、今回検出されたものと推定されました。 | ||||||
3. | 対策 | |||||
有意な信号指示の認められた伝熱管1本については、高温側および 低温側管板部で閉止栓(機械式栓)を施工し、使用しないこととします。 |
以 上
(経済産業省によるINESの暫定評価) | |||||||||
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INES:国際原子力事象評価尺度 |