プレスリリース

2007年10月26日
関西電力株式会社

大飯発電所3号機プラント排気筒からの僅かな希ガスの放出の原因と対策について

 大飯発電所3、4号機(ともに加圧水型軽水炉 定格電気出力118万キロワット、定格熱出力342万3千キロワット)は、定格熱出力一定運転中のところ、本年10月24日12時30分頃、当社社員が4号機体積制御タンクの水位が若干低下傾向にあることを確認しました。
 関連パラメータおよび操作実績を確認した結果、同日9時20分から1次冷却材の定期試料採取を実施していたことが確認されたため、試料採取室を点検したところ、試料採取フード内のシンク(流し台)に、4号機Dループ高温側試料採取ラインから試料採取水が流れていることが判明しました。また、その際、試料採取ラインの弁が開いていることを確認しました。
 このため、直ちに試料採取ラインの弁を閉止し、同日13時00分頃、試料採取水の停止を確認しました。流出した試料採取水(320リットル)は全てドレン系統で回収されており、環境への放出はありません。
 当該弁のある試料採取フード内の気体は3号機プラント排気筒から連続放出されているため、当該弁が開状態であった期間中、4号機の1次冷却材中に含まれる希ガスが環境に放出されたものと評価しました。排気筒モニタの指示値から、環境への希ガス放出放射能量は約5.0×10Bqと評価され、保安規定に基づく放出管理目標値(3.9×1015Bq/年)に比べ約780万分の1以下であることを確認しています。
 なお、発電所敷地内および周辺のモニタリングポストの指示値は平常と変わりなく、環境への影響はありません。


  ※体積制御タンク:1次冷却材系統の水の量を調整するためのタンク。
[平成19年10月24日 お知らせ済み]


<調査状況>
(1)試料採取員への聞き取り調査結果
当日は、1次冷却材定期試料採取(4回/週)として、3号機の1次冷却材の試料採取を実施した後、4号機の1次冷却材の試料採取を実施していました。
3号機での試料採取後には試料採取ラインからの流水が停止したことを目視確認していましたが、4号機での試料採取後には、空気圧で動作する試料採取弁の操作スイッチの閉止操作を行った際に、弁閉止時の空気排出音が聞こえた気がしたことから、弁が閉止したものと思い込み、弁からの流水が停止したことや弁開閉表示灯での確認を実施していませんでした。
 
(2)当該弁および操作スイッチの点検結果
当該弁の開閉動作はスムーズであり、弁の固着や配管部からの空気漏れなどの異常は認められませんでした。
操作スイッチについても開閉操作を実施した結果、確実に弁が開閉され、異常のないことを確認しました。
 
2.推定原因
試料採取員が4号機の試料採取弁を閉止しなかったため、試料採取弁から1次冷却材の流出が継続し、その中に含まれる希ガスが3号機プラント排気筒から放出されたものと推定されました。
試料採取弁を閉止しなかった原因は、試料採取員が弁操作スイッチの閉止操作を行った際に、弁閉止時の空気排出音が聞こえた気がしたことから、弁が閉止したと思い込んだものと推定されました。
また、弁開閉表示灯が試料採取フード上部の見上げる場所に位置しており見づらいこと、弁操作スイッチに開閉位置表示がついておらず位置確認が難しいことといった設備上の問題点も明らかになりました。
 
3.対 策
原子力事業本部長および発電所長が、発電所員全員に対し、機器操作時の自問自答、指差呼称の確実な実施等の基本動作を再徹底するよう訓示します。また、試料採取員全員に対し、基本動作の再訓練を計画的に実施します。
試料採取を行う際の基本事項の実施・確認について、注意喚起表示を行います。
試料採取をフード内にて行う弁について、操作スイッチの開閉位置表示を速やかに取り付けます。
また、試料採取をフード内にて行う弁について、今後以下の設備改善を検討し、実施します。
弁開放により流水がある場合は、試料採取者への注意喚起を音や光等にて行う。
見やすい開閉表示灯とする。
操作ミスをしても設備面でバックアップできるように、弁からの流水が長時間継続しないようにする。
なお、本事象について第3者を加えたヒューマンファクター分析を実施し、発生要因のさらなる検討を行い、得られた結果を踏まえ対策の充実を図ります。

以  上

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