プレスリリース

2006年12月6日
関西電力株式会社

大飯発電所3号機の原子炉起動および調整運転の開始について

1. 今回の定期検査を利用して実施した主要な工事
 (1)原子炉容器上部ふた取替工事 (図−1参照)
   平成16年5月に発生した大飯発電所3号機原子炉容器上部ふた管台からの一次冷却材漏えい事象に鑑み、長期的な設備信頼性を確保する観点から、管台および溶接材料を600系ニッケル基合金から耐応力腐食割れ性を向上させた690系ニッケル基合金に改良した原子炉容器上部ふた(制御棒駆動装置含む)に取り替えました。 

 (2)原子炉容器管台溶接部等の応力腐食割れに係る点検・予防保全工事
  (図−2参照)
   国内外PWRプラントにおける、600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れ事例に鑑み、溶接箇所に600系ニッケル基合金が使用されている原子炉容器冷却材出入口管台、蒸気発生器冷却材出入口管台について、外観目視点検や超音波探傷検査を実施し異常がないことを確認しました。また蒸気発生器冷却材出入口管台については、溶接部表面の残留応力を低減させるためのショットピーニングを施工しました。
  ショットピーニングとは、機械的振動によって、ショット(直径約4mmの金属球)を往復運動させて出入口管台溶接部に衝突させ、金属表面に塑性変形を与えて、表面近傍の引張残留応力を圧縮応力へ改善する。


2. 今回の定期検査中に実施した保全対策
 (1)2次系配管の肉厚検査等 (図−3参照)
  美浜発電所3号機事故を踏まえ、1,079箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施しました。(超音波検査1,032箇所※1、内面目視点検47箇所:今回で未点検箇所の点検を終了)
 その結果、計算必要厚さを下回る箇所、および余寿命評価で次回定期検査までに計算必要厚さを下回る可能性があると評価された箇所はありませんでした。
   
※1   今定期検査開始時の計画では、2次系配管836箇所について超音波検査(肉厚測定)を実施する計画でしたが、下記のとおり計画を見直し、1,032箇所について超音波検査を実施した。
   ・スケルトン図と現場との照合結果による変更・・・・・・・・・・ 15箇所増
   ・他プラントおよび類似系統の減肉事象を踏まえた変更・・・・・・ 189箇所増
   ・今定期検査において追加で配管を取り替えた箇所・・・・・・・・ 8箇所減
合計196箇所増
     
  過去の点検結果から減肉が確認された部位56箇所、保守性・作業性を考慮して取り替える部位308箇所、合計364箇所※2についてステンレス鋼、低合金鋼、もしくは同種材料(炭素鋼)の配管に取り替えました。
   
※2   定期検査計画当初は、347箇所を取替する計画でしたが、保守性・作業性の観点から17箇所を追加した。


3. 蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査(ECT)の結果
   4台ある蒸気発生器のうち、AおよびC−蒸気発生器伝熱管(計6,764本: 3,382本×2台)について、健全性を確認するため渦流探傷検査(ECT)を実施した結果、有意な信号は認められませんでした。

4. 燃料集合体の取り替え
   燃料集合体全数193体のうち97体(うち64体は新燃料集合体)を取り替えました。なお、今回取り替えた新燃料集合体64体のうち、60体は集合体最高燃焼度55,000MWd/tの高燃焼度燃料です。
 また、燃料集合体の外観検査(41体)を実施した結果、異常は認められませんでした。

5. 次回定期検査の予定
   平成19年度 冬頃

6. その他
  ・過去に製作した配管の刻印管理の確認結果
   美浜発電所3号機主復水管修繕工事に係わる不適切な取扱い(刻印問題)について、大飯発電所3号機では、4箇所に不適切な取り扱いが発生している可能性があり、実機点検が必要と三菱重工業株式会社から報告を受けていました。(平成18年2月21日 当社ホームページに掲載)
 実機評価が必要とされた4箇所について今定期検査で点検を行った結果、配管刻印は材料検査記録と合致しており、消失・打ち変え等の不適切な取扱いがないことを確認しました。

以  上

<参考資料>
大飯発電所3号機 原子炉容器上部ふた取替工事概要
  別紙
  図−1
  図−2
  図−3
大飯発電所3号機 第12回定期検査中の保全品質情報等について
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