プレスリリース
2005
2005年2月14日
関西電力株式会社
美浜発電所1号機の原子炉手動停止について
(湿分分離加熱器加熱蒸気室ドレン抜き栓からの漏えいの原因と対策)
美浜発電所1号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力34万キロワット、定格熱出力 103万1千キロワット)は、定格熱出力一定運転中のところ、2月4日11時50分頃、当社運転員の巡回点検において、タービン建屋1階の床面に水溜りを発見するとともに、上方から水が滴下していることを確認しました。
その後、同建屋2階の滴下場所上方にある湿分分離加熱器2台のうちA-湿分分離加熱器※1 の保温接合部付近から、わずかに水が滴下(約5秒に1滴程度)していることを発見するとともに、加熱蒸気室ドレン抜き栓からの漏えいであることを確認しました。
水の滴下量はわずかであり、運転パラメータ等に変化は認められず、ただちに運転に支障のあるものではありませんが、原子炉を計画的に停止して点検を行うこととし、同日13時30分から出力降下を開始しました。
なお、本事象による環境への影響はありません。
※ 1: | 湿分分離加熱器 高圧タービンで仕事をした蒸気に含まれる湿分を取り除くとともに、高圧タービンの手前で取り出した主蒸気により再度加熱する機器。 |
[平成17年2月4日 お知らせ済み]
2月4日、20時40分に発電を停止、21時31分に原子炉を停止した後、2月5日からA-湿分分離加熱器加熱蒸気室の保温材を取り外し、漏えいが確認された加熱蒸気室ドレン抜き栓(以下、「当該栓」)の詳細調査等を実施しました。
1.調査結果(1)締め付けトルク値の測定結果 ・ 当該栓を取り外す前に、当該栓を閉止方向に回して、締め付けトルク※2 値を測定した結果、7N・m以下であることを確認しました。
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(2)外観観察等の結果 ・ 当該栓を取り外し、目視点検や浸透探傷検査(PT)を実施した結果、当該栓のねじ部(雄ねじ)や蒸気室ドレン穴ねじ部(雌ねじ)には、き裂や変形等の異常は認められませんでした。また、当該栓およびドレン穴の各部の寸法等を測定し、当該栓が規格に則った標準品であることを確認しました。 ・ 当該栓や加熱蒸気室ドレン穴のねじ部表面に付着物が確認されたことから、成分分析を行った結果、付着物は当該栓を取り付ける際にねじ部(雄ねじ)に巻きつけた、漏れ防止のためのシールテープ(テフロン製:フッ素と炭素の化合物)であることが確認されました。 |
(3)保守経歴の調査結果 関係者への聞き取り調査を実施した結果、以下のことが分かりました。 ・ 当該栓は、湿分分離加熱器の製作段階の水圧試験終了後、加熱蒸気室内に残留したドレンを抜くために使用され、発電所への出荷の際には、当該栓ねじ部にシールテープを巻きつけた状態で取り付けられたこと。 ・ 第6回定期検査(昭和59年)の工事報告書から、当該栓をドレン抜きとして使用していないことを確認したこと、また、現在、当該栓は使用されておらず、作業員がマンホールから湿分分離加熱器内に立ち入り、ドレンを拭き取る運用を行っていることから、当該栓は相当期間使用していない可能性が高いこと。 |
(4)締め付けトルク値の推定(取り付け時) |
(5)シールテープ劣化に関する調査結果 |
2.推定原因(メカニズム)
当該湿分分離加熱器の製作時もしくは運転初期に、当該ドレン抜き栓は、締め付けトルク値が低い状態で取り付けられましたが、ねじ部に巻きつけられたシールテープのシール力により、漏えいは発生しませんでした。
その後、プラントの運転開始から長い期間が経過し、シールテープの重量や体積が減少しシール力が低下したことにより、漏えいに至ったものと推定されました。
(1)当該栓を新品に取り替えるとともに、今後使用する予定がないことから、シール溶接を実施します。 |
以 上