プレスリリース

2004年9月7日

高浜発電所4号機の定期検査状況について(蒸気発生器伝熱管の渦流探傷検査結果並びに原因と対策)

 高浜発電所4号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力87万キロワット、定格熱出力266万キロワット)は、平成16年8月10日から第15回定期検査を実施していますが、蒸気発生器伝熱管の健全性を確認するため、3台ある蒸気発生器の伝熱管全数(既施栓管  49本を除く10,097本)について、検出精度および深さ測定精度を向上させたマルチコイル型(インテリジェント)ECT*1を導入し渦流探傷検査(ECT)を実施しました。

[蒸気発生器伝熱管全数の渦流探傷検査(ECT)結果]  
 渦流探傷検査(ECT)の結果、A-蒸気発生器の伝熱管112本、B-蒸気発生器の伝熱管122本、C-蒸気発生器の伝熱管105本の合計339本に判定基準*2を超える信号(有意な信号指示)が認められました。

(1) 有意な信号指示は、伝熱管外表面の減肉指示で、平成2年まで旧振止め金具*3が取り付けられていた位置に確認され、新しい振止め金具が取り付けられている位置や、これまでに応力腐食割れが確認されている高温側管板拡管部等には確認されませんでした。
(2) 有意な信号指示が認められた部位について、従来型ECT(DF-ECT*4)による検査を行い、過去の検査結果(平成2年の旧振止め金具取り外し直後の検査結果と、前回定期検査時の検査結果)とデータを比較したところ、信号レベルに経年変化はなく、進展がないことを確認しました。
(3) 全ての信号指示は、先行してマルチコイル型(インテリジェント)ECTによる蒸気発生器の伝熱管検査を実施した高浜3号機第15回定期検査(平成15年12月~16年3月)での信号指示と同様の特徴を示していました。なお、高浜3号機においては、有意な信号指示が認められた伝熱管1本を抜管調査した結果、旧振止め金具が取り付けられた位置の伝熱管外表面の摩耗減肉であることが確認されております。

 以上のことから、今回認められた有意な信号指示は、過去に発生した旧振止め金具が取り付けられていた位置の伝熱管外表面の減肉であると推定しました。
 なお、今定期検査で有意な信号指示が認められた原因は、これまで実施していた従来型ECT(DF-ECT)では、判定基準内としていたものが、今回から導入した検出精度および深さ測定精度を向上させたマルチコイル型(インテリジェント)ECTでは、判定基準を超える有意な信号指示として検出されたものと推定されます。
 対策として、有意な信号指示が認められた伝熱管339本については、機械式栓にて施栓を実施し、使用しない予定です。
 なお、この事象による環境への放射能の影響はありませんでした。

*1: マルチコイル型(インテリジェント)ECT
全周に対して渦電流の発生と検出を別々のコイルを用いた24組のコイルで伝熱管の欠陥による渦電流の変化を信号として検出する装置。 
*2: 判定基準
伝熱管肉厚の20%減肉以上の信号指示。
*3: 旧振止め金具の減肉
 高浜3号機の第4回定期検査(H元.10〜H2.2)での蒸気発生器伝熱管渦流探傷検査において、23本の伝熱管に、伝熱管外表面の減肉指示が確認され、調査の結果、製作時から取り付けられている振止め金具(旧振止め金具)と伝熱管との間にすき間があったことから、外表面を流れる流体の力により伝熱管が振動し、旧振止め金具と接触・摩耗し、減肉したものと推定された。 同形式の蒸気発生器を有する高浜4号機では、第4回定期検査(H2.2〜6)において検査の結果、21本の伝熱管に有意な信号指示が確認され、施栓を行うとともに、製作時から取り付けられていた旧振止め金具を取り外し、別の位置に材質や構造等を改良した新しい振止め金具を取り付けた。 なお、高浜3号機については、第5回定期検査(H3.2〜6)にて、振止め金具の取り替えを行っている。
*4: DF-ECT(従来型)    
全周に対して渦電流の発生と検出と同じコイルを用いた1組のコイルで伝熱管の欠陥による渦電流の変化を信号として検出する装置。

以 上

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