プレスリリース

2003年12月18日

高浜発電所1号機および2号機の定期安全レビュー報告書のとりまとめならびに高経年化対策に関する報告書の提出について

 原子力発電所で発生する可能性がある異常事象を想定し、その後の事象進展の確率を設備構成や故障率等をもとに推定することにより、原子力発電所の安全性を定量的に評価しました。  
 今回実施した確率論的安全評価の結果、プラント運転時の炉心損傷頻度の平均値は3.4×10
-7/炉年であり、プラント停止時の炉心損傷頻度の平均値は6.1×10-7/炉年でした。プラント運転時および停止時の2つの状態を合わせて考慮しても、9.5×10-7/炉年となり、例えば国際原子力機関(IAEA)の基本安全原則が示す目標(既設炉に対して10-4/炉年以下、新設炉に対して10-5/炉年以下)を十分に下回るものであり、プラントの安全性が保たれていることを確認しました。


<プラント運転時における炉心および格納容器の健全性の維持に関する確率論的安全評価>

  • 炉心損傷、格納容器破損への寄与の大きい事故シーケンス*1、安全上の特徴の把握を行い、当該号機の基本的な安全機能が十分確保されていることを確認しました。
  • 平成12年度に整備が完了したアクシデントマネジメントによる炉心損傷、格納容器破損に至るシーケンスの発生頻度の低減効果の確認を行いました。これらの結果、本原子炉施設のプラント運転時における炉心損傷頻度の平均値は、アクシデントマネジメント整備前に比べ約6割低減していることを確認しました。また、格納容器破損頻度は、9.6×10-8/炉年となり、全体として約4割低減していることを確認しました。
  • 現状の十分低い炉心損傷頻度を更に改善あるいは維持する上で相対的な指標となりうる重要度を、システムごとおよび起因事象*2ごとに算出しました。
  • 国内機器故障率データを用いた評価を実施すると、炉心損傷頻度はさらに低減することを確認しました。これは、予防保全を主とした我が国の厳格な運転管理による良好な運転実績の現れであると考えていますが、データの信頼性を向上させるため、今後もデータの収集整理、見直しを行っていきたいと考えています。

<プラント停止時における炉心の健全性の維持に関する確率論的安全評価>

  • 当該原子炉施設のプラント停止時における炉心損傷頻度を評価し、停止時のプラントの安全性が十分確保されていることを確認しました。
  • 保安規定をベースとした感度解析結果からは、多様な定期検査工程を考慮しても、安全性を十分に確保できることを確認しました。
  • 現状の十分低い炉心損傷頻度を更に改善あるいは維持する上で相対的な指標となりうる重要度を、システムごとに算出しました。  

 以上から、当該号機の炉心および格納容器の健全性が脅かされる可能性は低く、基本的な安全機能は十分確保されていることが確認できました。

*1 事故シーケンス
 起因事象の発生に加えて、緩和設備の故障又は緩和操作の失敗が組み合わさると炉心損傷に至る可能性がある。こうした炉心損傷に至る故障等の組合せを事故シーケンスという。
*2 起因事象  
 通常の運転状態を妨げる事象であって、炉心損傷への拡大を防止するために緩和設備の作動を必要とする事象をいう。例えば、1次冷却材喪失や主給水喪失等がある。
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