プレスリリース

2002年10月28日

送電線事故点標定システムの開発について



 当社はこの度、送電線への雷などの事故の発生した地点(事故点)を特定する当社独自の「送電線事故点標定システム」を開発し、平成14年度中に全社展開することとしました。

 送電線の事故とは、送電線に雷などにより異常電流が流れ、停電につながる可能性のある事象を指します。送電線の事故点の特定は、故障箇所の早期修復のため重要であり、特定できない場合は、広範囲の巡視が必要となります。

 当社はこれまで、送電線を流れる電流や電圧から事故点を特定する「フォルトロケータ」という装置を変電所等に設置し、事故点を特定していました。しかし、「フォルトロケータ」は設置費用が高いため、500kV送電線や長距離送電線など送電線線路数全体の約2割しか設置しておらず、ごく一部の事故しか特定できませんでした。また、送電線の事故全体の7割以上を占める雷事故については、従来から、落雷位置を把握する「落雷位置標定システム(LLS)」を活用していますが、落雷位置から事故点の特定を手作業で行うため、特に落雷が多発した場合など事故点の特定が困難でした。この結果、事故点の特定は、全事故件数643件の27%にあたる173件しか特定できず、広範囲の巡視により相当な時間と労力が必要でした。

 この度開発した「送電線事故点標定システム」は、元来、事故が発生したかどうか判定する目的で全変電所に取り付けられたオシロ装置を活用した「オシロデータ利用事故点標定システム」と、既存のLLSを改良した「LLS利用事故点標定システム」から成ります。

 「オシロデータ利用事故点標定システム」は、従来から変電所のオシロ装置で記録していた送電線の電流や電圧の変化の時間的推移を表すオシロデータを、電力所に伝送し、送電線の電流や電圧から事故点を特定するものです。一部の送電線で、検証しておりましたが、この度、適用範囲を拡大することとしました。

 「LLS利用事故点標定システム」は、LLSで把握している落雷位置と、送電線を支持する鉄塔の位置から、自動的に落雷に近い鉄塔を短時間で特定し、事故点を特定するものです。

 「送電線事故点標定システム」の導入により、送電線事故点の特定を94%に向上することができ、これまでに必要とした人件費を、全社で、年間5,500万円の削減が可能となります。また、オシロやLLSといった既存システムから開発したため、導入費用がほとんどかかりません。

 現在、本システムに関する特許を出願中であり、今後は、このシステムを社内で活用するだけでなく、他の電力会社等への外販も行っていきたいと考えております。

<参考資料>


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