1.今回の定期検査を利用して実施する主な工事等
- (1)原子炉容器上部ふた取替工事 (図ー1、図ー2参照)
- 中長期的な保守性、経済性等を総合的に勘案し、将来的な健全性維持を図るという予防保全の観点から、既設の原子炉容器上部ふたを撤去し、新しい型の原子炉容器上部ふたに取替えます。
なお、新上部ふたには、平成11年1月29日に発生した大飯発電所2号機での制御棒落下事象を反映し、工場にてあらかじめラッチアセンブリに保護被膜を形成して、腐食を予防するものとします。
- (2)原子炉冷却系統設備小口径配管他取替工事 (図-3参照)
- 海外における原子炉冷却系統設備の損傷事例等に鑑み、将来的な健全性維持を図るという予防保全の観点から、原子炉冷却系統他の配管の一部について、材質等を変更した新しい配管に取り替えます。
- (3)原子炉キャビティシール改造工事 (図-4参照)
- 定検作業の効率化のため、キャビティシールを現状の脱着平板型から、蛇腹型のものに変更し、恒設化します。
- (4)原子炉補機冷却水系統他改造工事
- 原子炉補機冷却水系統(放射性機器冷却水系統、非放射性機器冷却水系統)、及び1次系海水系統において、大飯発電所2号機と共用している箇所を分離することにより、運転操作性及びさらなる設備信頼性の向上を図ります。今定期検査では、分離工事に備え海水系統ストレーナの取替工事を行います。
2.燃料集合体の取替え
- 燃料集合体全数193体のうち97体を取替える予定です。
(取替用燃料集合体のうち80体は、新燃料集合体。)
3.今後の予定
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- 原子炉起動、臨界:平成12年10月 下旬
調整運転開始 :平成12年10月 下旬 本格運転再開 :平成12年11月 下旬
4.その他
- (1)敦賀発電所2号機 1次冷却材漏えいに関する再発防止対策
- 日本原子力発電敦賀発電所2号機における再生熱交換器配管からの1次冷却材漏えい事象を踏まえ、プラント運転中に原子炉冷却材系統と同温、同圧の1次冷却材が流れる再生熱交換器と原子炉冷却材系統間の配管の一部について、超音波探傷検査(UT)を行い、健全性を確認します。
また、海外プラントで発生した熱疲労事象の反映として、類似箇所について超音波探傷検査(UT)を実施し、健全性を確認します。(図-5参照)
- (2)燃料集合体漏えいの疑いに伴う燃料集合体検査
- 定格出力運転中の平成12年5月19日、定例の1次冷却材中よう素濃度
(I131)のサンプリング分析(3回/週)を行った結果、通常値(0.6〜0.8Bq/cm3)を上回る値(7.8Bq/cm3)が確認され、その後、1次冷却材中の放射能濃度測定頻度を増加して監視を強化していましたが、その濃度はほぼ一定で推移しているものの通常値を上回るレベルであったことから、燃料集合体に漏えいが発生した疑いがあると推定されました。
そのため、今定期検査において燃料集合体全数に対し燃料集合体シッピング検査を行い、漏えい燃料集合体の有無を確認します。なお、漏えい燃料集合体が確認された場合には、漏えい燃料集合体の外観検査を行います。
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