プレスリリース

2000年4月4日

平成12年度経営計画(概要)

1.経営目標

収益性、公益性、成長性について以下の経営目標を掲げ、企業価値を高めていく。特に収益性については、PPS、自家発に対して競争優位を確保できる料金水準を実現しつつ、財務体質の向上を図る。

【経営目標】



経 常 利 益 平成12~14年度の経常利益は、年平均1300億円以上(平成11年度推定実績1,700億円程度)
R O A
(*1)
平成12~14年度のROAは、年平均2.3% (平成11年度推定実績2.8%程度)
株主資本比率 平成16年度末を目途に株主資本比率は20%を達成(平成11年度推定実績16.7%程度)
有利子負債 平成16年度を目途に有利子負債残高を4兆円以下に削減(平成11年度推定実績4.7兆円程度)


安定供給 エネルギーセキュリティや環境問題に配慮した上で、需給動向に応じた設備形成を行い、今後とも原子力を基軸に高品質な電気の安定供給に努める。
環  境 国内の電力会社の中で最も低いレベルにあるCO2排出原単位を今後とも維持し、2010年度における使用量当たりのCO2排出原単位を0.3kg-CO2/kWh程度とする。


グループ経営 グループ会社の収益重視経営の徹底と新規事業領域の拡大により、今後10年を目途に、グループ事業の売上高(当社グループ外に対する売上高)、利益を共に現状の1.5倍とする。

関西電力 経営指標の推移

平成12年度より新たに経営管理指標として「PCA(*2)」と「フリーキャッシュフロー」を導入する。PCA管理のための資産コストレートを3.5%とし、成果把握単位ごとの収益管理を行う。

新たな経営指標「PCA」(関西電力版EVA)の導入について

*1 ROAは総資産事業利益率
*2 PCAとは「Profit after Cost of Asset (資産コスト差引後利益)」の略。資本市場から求められる必要最低利益を「資産コスト」として認識し、資産コスト差引後の付加価値を示す指標。
EVAと類似した考え方の当社独自の指標である。
PCAを経営管理システムに展開することにより、社内の各組織が資本市場と同じ視点で収益性向上、資産効率向上を推進することをねらいとする。


2.お客さまに選択していただくための取り組み
【販売計画】

平成14年度時点の販売電力量は、平成10年度に対し61億kWh増の1,449億kWh、平成10年度から21年度までの年平均伸び率(気温影響補正後)は1.7%を計画。

物 件 目 標(増分)
H11年度推実 H12~14年度の3ヵ年
全電化住宅 13,500戸 70,000戸
蓄熱式空調システム 520件 2,500件

【販売活動】

エネルギーに関してそれぞれのお客さまの抱える課題をお客さまと一緒に考え、解決していく「ソリューション(課題解決型)営業」を推進する。

○エンジニアリングスタッフをはじめとする販売体制の強化

・ One To Oneによる販売体制
(大口営業グループにお客さま担当制を導入し、一貫したサポートを実施)

・販売スタッフの増員
(平成11年度の100名以上の増員に加えて、今後さらに増員)

・専門知識、資格を有するエンジニアリングスタッフの投入
(電気主任技術者、建築士、エネルギー管理士等)


○新商品・サービスメニューの充実

・非自由化分野を含むサービスメニューの拡充
「はぴeタイム」、「はぴeプラン」、「業務用空調システム契約」等

・蓄熱受託制度の拡充
エコアイスに加えて給湯熱源設備等への受託範囲の拡大など、お客さまニーズに応えてサービス内容を充実。

AIGISによる総合生活サービスの提供
高低圧のお客さまの電力量計をゲートウエイ化し、生活の様々な場面で、お客さまをサポートするサービスを実施予定。
第1ステップとしてPHSを活用した遠隔検針のフィールドテストを実施中。

・魅力ある商品開発
新型ヒートポンプ式給湯器、薄型床暖房、レドックスフロー蓄電池

・情報提供サービス
平成12年度より、大口のお客さまへ雷情報などを提供。

○お客さまサービスレベルの向上

・ワン・ストップ・サービスシステムの全社展開
(今年度中に41の全営業所に展開完了)

・インターネットなどを活用したお客さまサービスレベルの向上
平成12年3月よりインターネット上で引越に関連する電気の使用開始・停止の受付、電気の使用量・料金照会などのサービスを開始。


3.設備形成の取り組み(3/27発表済)
【最大電力】

平成10年度から平成21年度までの最大電力の年平均伸び率(気温影響補正後)は、販売電力量を下回る1.4%と計画。

【電源開発計画】

環境保全や電力の安定供給ならびにエネルギーセキュリティの確保に努めるとともに、新規電源については、需要動向に応じて運転開始時期の繰り延べを行うなど、コスト競争力の強化を目指し、効率的な設備形成を図る。

【電力需給計画】

長期に亘り安定した需給の維持を図るとともに、原子力の高稼働運転の維持に努めるなど、効率的な設備運用を図る。

小容量火力については、燃料費・補修費等の総合的なコストダウンおよび要員の効率的活用を目的として、平成12年度から、当面の間、10ユニットを停止する。


【電力流通設備】

流通設備については、信頼度レベルを維持しつつ、徹底した設備の有効活用を進めるとともに、地域の需要動向に応じて建設時期を弾力的に見直すなど、効率的な設備形成を図る。


4.経営効率化の推進(3/27発表済)
【設備形成の効率化】

  • 計画を1年前倒しして、平成12年度から、設備投資額を自己資金内に抑制し、平成12~16年度の5年間の設備投資額を平均で 5,000億円以下とする。

  • 平成12年度の設備投資額を、5,678億円とする。

【設備運用・保全の効率化】

○ 原子力発電所の高稼働の維持
平成12年度以降についても引き続き、原子力利用率80%台の定着を図る。

○ 設備保全の効率化
販売電力量当たりの修繕費を、平成10年度以降5カ年平均で、
2.5円/kWh以下に抑制する。

【効率化に資する料金メニューの充実】

○選択約款メニューの拡充
オフピーク時にさらに電気を使いやすくすることにより、エネルギーの効率的利用を図る料金メニューを設定。

○ 自由化分野における料金メニュー
自由化対象のお客さまに向けたオプションメニューにより、お客さまのニーズにお応えすると同時に経営効率化を図る。

【負荷率の改善】

平成21年度の年負荷率は55.0%を目指す。

【業務運営の効率化】

平成15年度末の従業員数を、平成10年度末から1,000人程度削減。


5.グループ全体での競争力強化

  • コア事業である電力供給を柱に当社の強みや資源を活かして、サービスの領域をエネルギー全般に拡げるとともに、情報通信、生活関連といったソリューションサービスを提供する「総合生活基盤産業」を目指す。
    • 総合エネルギーサービス化の推進
    • 生活アメニティ、地域開発分野での高付加価値サービスの提供
    • 通信ネットワークを活用した総合的な情報通信サービスの提供

  • グループ会社の経営革新を推進し、収益重視経営を徹底するとともに、グループ事業体制を再構築します。

【グループトータルでの戦略的事業展開】

[エネルギー分野]
ガス供給に取組むなどエネルギー選択肢を拡大し、お客さまのニーズに応じたエネルギーを提供する総合エネルギーサービス化を推進する。
  (検討例:ガス事業、エネルギーソリューション事業)
[生活アメニティ分野・地域開発分野]
お客さまが生活し活動する空間をより快適、便利、安全なものとするサービスを展開し、またそのような空間を直接に提供する事業を推進する。
  (検討例:介護・給食事業、ホームセキュリティ事業)
[情報通信分野]
当社の通信ネットワーク資源を活用した事業を展開し、あわせて当社グループの事業全般において、高いレベルのサービスを提供するよう、ITを積極的に活用していく。
  (検討例:光ファイバ賃貸ビジネス、お客さまIPネットワーク提供)

【さらなる収益重視経営の徹底】

  • グループ会社に対する経営革新等を支援し、収益重視経営を徹底する。
    ○「関係会社経営革新支援システム」の構築
    平成12年度から13年度にかけて、グループ会社55社に順次導入。
    各社における経営管理を高度化し、業績を定量的に把握。
    ○「キャッシュ・マネジメント・システム」の導入
    グループの資金効率の向上を図るため、平成12年4月より導入し、グループ資金の運用・調達を一元化。

  • 収益性等の事業効率を再検討し、グループトータルでの利益最大化に向けて、グループ事業体制の再構築に取り組む。


6.環境問題への取り組み

  • 従来の「地球環境アクションプラン新中期計画」に代わる新たな行動計画として「エコ・アクション2000」を策定。

 <「エコアクション2000」の主な取り組み>

○CO2問題への先進的対応
・CO2クレジットの獲得が可能な海外事業の展開
・CO2分離回収、有効利用技術の開発の推進
○原子力の推進
○ 資源有効利用の推進
・産業廃棄物等の再資源化、グリーン購入
○草の根活動の新展開
・「みんなのエコ・フレンドリー活動」
○新エネルギーの普及促進の支援
○ 環境管理システムの充実(ISO14001への対応)
・一部発電所での取り組みを、電力所、営業所にも展開
○ 環境会計の導入に向けた取り組み


7.ビジネス構造改革・人づくり
【ITを原動力としたビジネス構造改革】

(1)ビジネス構造改革の推進
・経営管理システムを用いた戦略性、自律経営推進機能の強化
・電子取引の推進等、先進的な資機材調達の実現に向けた取り組みの推進

(2)知識創造基盤の再構築
・グループウェアの高度化
・個の活力を高めるワークスタイルの革新

(3)オープン・高速で柔軟なIT基盤の構築
ERPパッケージの導入
データウェアハウスの構築
・高速IPネットワークの整備

【自律的業務運営の推進】
[経営管理システム]

平成11年度から運用開始した管理会計システムにより、事業所単位で作成される損益計算書、貸借対照表を用いて、各事業所が自律的に計画の策定と執行を行う新たな経営管理システムを導入。

 ○新財務指標の浸透と展開
今年度は、新たな経営指標である「PCA」や「フリーキャッシュフロー」の考え方を事業所まで浸透。平成13年度からは、各事業所毎の目標展開を実施し、現場第一線も投資家の目線で業務が遂行できるように取り組む。

 ○間接部門への拡大
現行の管理会計では、支店、業務機関など直接部門のみの収支管理を実施。今後、社内サービスを提供する間接部門についても、社内取引価格を導入した収支管理を検討。

【組織改正の方向性】

 経営会議等の新設
  • トップダウンによるグループ大戦略の迅速な展開を図るため、副社長以上で構成する「経営会議」を新設。経営会議の下に、全社横断的な戦略に即し、「お客さま戦略」「財務・コスト」「グループ事業戦略」「原子力・地球環境」「経営改革・IT戦略」の各委員会を設置。また、確固たる品質・安全体制の確立に向け、社外の委員をも含めた「品質・安全委員会」を設置。
    (経営会議、委員会は4月1日付で設置済)

 ○本店組織の再編
  • 本店組織を「お客さま部門」、「事業部門」、「共通サービス部門」、「コーポレート戦略部門」の4部門に区分し、組織ミッションを明確化。
  • 「お客さま部門」および「事業部門」は、現在運用中の経営管理システムのもとで、損益および資産を管理し、自律的に事業を遂行。
  • 「コーポレート戦略部門」は、機能を絞り込んでスリム化。「共通サービス部門」は、サービス内容の高品質化を目指すとともに、将来的にはグループ企業へのサービス提供や事業化も視野に。

 ○支店組織の再編
  • 地域経営拠点としての位置付けを強化。組織編成や人事、予算に係る権限を委譲し、地域実態を踏まえた自己完結型の事業運営を推進。

 ○職位階層の半減
  • 職位階層を抜本的に短縮し、意思決定の迅速化と従業員の役割と責任の範囲を拡大。(担当者から社長までの10階層を半減)

 ○IT推進組織の新設(「経営改革・IT本部」)
  • これまでの電力事業運営にとらわれない、新たなビジネスモデル、企業モデルを追求、具現化する拠点組織として本店に新設。

【人事制度】
  ○従業員の選択肢の拡大
  ○個々の従業員の役割に応じた評価・賃金制度の導入
  ○従業員の価値を高める人材育成の推進

<参考資料>


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