プレスリリース

2000年4月4日

平成12年度経営計画(概要)

 当社は、今回の中期経営方針の策定にあたり、従来の経営指標に加えて、企業価値向上を目的とした新たな収益性指標を導入することといたしました。

【新たな経営指標導入の理由】
○電力自由化が始まり、資本市場の当社を含む電力会社に対する見方が大きく変化していることを受け、改めて株式会社として、当たり前の経営を実践するという認識に立ち、お客さまならびに株主の皆さまをはじめとする資本市場のご期待に応えることにより、当社の「企業価値」の一層の向上を図る目的で、新たな指標を導入するものです。

○当社は平成11年度より、他電力に先駆けて全社に管理会計を導入し、事業分野、支店、さらに現場第一線の事業所等において、収益性指標等を用いた経営管理を行ってきておりますが、今回新たな指標の導入を導入することに より、こうした「企業価値」の観点を全社に徹底し、一層の経営効率の向上を進めてまいりたいと考えております。

【指標のポイント】
○当社の財務上の課題から、「資産効率性」「資本コスト」「キャッシュフロー」をキーワードと捉え、資本コストを意識した資産効率性指標として総資産事業利益率(以後ROA)と当社独自の指標「PCA(Profit after Cost of Asset:資産コスト差引後利益)」を、キャッシュフロー指標として「フリーキャッシュフロー」を設定致しました。以下、当社独自の指標「PCA」について概要を説明いたします。

【PCA(Profit after Cost of Asset)の概要】
○PCAとは「Profit after Cost of Asset(資産コスト差引後利益)」の略で、資本市場から求められる必要最低利益を「資産コスト」として認識し、資産コスト差引後の付加価値を示す当社独自の指標で「税引後事業利益-資産コスト」で求めます。資産コストとは、資本コスト(WACC)を資産ベースに読み替えたものです。

○資本市場の求めるコストを差し引いた後の付加価値を表わすという意味では、EVA〔経済的付加価値〕と同じ考え方ですが、EVAがあくまで負債・資本ベースであるのに対し、PCAは資産ベースに置き換えてある点が大きな違いといえます。これは、全社への浸透を考え、より現場等が実感しやすい資産ベースとしたもので、いわば実践面から EVAを改良したものです。

○なお、資本コスト(WACC)については、一般事業会社並みのパフォーマンスを目指すという観点からベータ値を「1」、また資本構成は株主資本比率を30%程度と設定した結果、今回の計画策定に際しては4%と設定し、資産ベースに読み替えた資産コストレートは3.5%としております。

【PCAとステークホルダー】
○PCAの導入は「収益性の向上」「資産効率性向上」を一義的なねらいとしたものでありますが、その向上を図ることで、資本市場のみならず、全てのステークホルダーの期待に応えることにつながると認識しております。

【経営管理への活用】
○平成11年度より当社が導入している管理会計に組み込み、PCAとキャッシュフローを社内の経営管理における共通言語といたします。これにより、社内の各組織が資本市場と同じ視点で収益性向上、資産効率向上を推進し、全社としての企業価値を向上させることをねらいといたしております。
またこれまでの総括原価方式による経営資源枠の設定という考え方から、市場からの収入と資本市場が求めるリターンにより経営資源枠を設定するという考え方に改めてまいります。

【ROAの再定義】
○PCAの導入にあたり、従来当社の経営指標に設定しておりましたROAの定義を、以下の様に再定義いたします。

従来:当期利益÷総資産 → 今回:税引後事業利益÷総資産

○これは、単に資産の効率性を追求するだけでなく、資本市場が求める水準(資産コスト)をその目標として比較するねらいから、支払利息等は資産コストの側で認識すべきと考えたためです。

○また、企業の本質的な事業パフォーマンスを表すのは、資本構成によって影響を受けない事業利益であること、さらに上記のステークホルダーの考え方から「税金もコスト」と認識すべきこと等をも併せ考え、ROAを総資産事業利益率と定義したものです。

○この再定義により、ROAの数値自体は従来の定義によるものより大きな値となります。

   (例) 平成10年度の当社のROA
          旧定義(総資産当期利益率):0.75%
          新定義(総資産事業利益率):2.8%

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