プレスリリース
1999
1999年11月1日
原子力発電所コンピュータ2000年問題に対する「危機管理計画」の策定について
1.計画の目的
原子力発電所の計算機については、10月には全プラントの対策が完了したことから、2000年問題の影響を受けず、安全安定上問題はないが、電力は欠かすことのできないインフラとの認識のもと、対応に万全を期すため本計画を策定した。
2.これまでの取組状況
- (1)安全運転に欠かせない重要システム全てについて、ソフトウエア(絶対時間の使用、閏年処理の不十分さ)及びハードウエア(不適切なチップ)上の問題の有無を調査。
- (2)調査の結果、年表示の不具合等が発見されたシステムについては、10月までに全て改修・検証等を実施完了。
- (3)以上の内容は、通産省が審査を付託した「原子力発電所2000年問題調査委員会」(委員長:長谷川法政大学教授)において妥当との評価を受ける。
- (2)調査の結果、年表示の不具合等が発見されたシステムについては、10月までに全て改修・検証等を実施完了。
3.危機管理計画の概要
(1)2000年問題に起因した万一の不具合への対応

(a)発電所内部での事象
- 調査の結果、不具合が発見され改修を行ったシステム(具体的には、下記7システム)に万一、不具合が発生することを想定。
- 給水バックアップシステム
- コンデミ制御装置
- 2次系制御装置
- 1次系補機計算機システム
- 緊急時対策所計算機
- プラント計算機
- 緊急時データ伝送システム
- 発電所内部での事象に対する評価は、監視表示における年表示の不具合(日付入力不能、「1900年」の表示等)や閏年処理の不具合(2月29日の入力不能等)等が生じるが、これらは運転制御に直接関係はない。このことから、発電所の安全・安定運転に影響は及ぼさない。
(b)発電所外部での事象
- お客さまの設備等に影響が生じ、電力需要が大幅に増減した場合を想定。
- 発電所外部での事象に対する評価は、電力需要の増減は、火力・水力発電所の出力調整で対応できることから、原子力発電所の安全運転に支障を及ぼさない。
当該影響に対する対応策を策定。
- 万一、不具合が発生したとしても発電所の安全運転に万全を期すべく、下記の対策を実施。
(事前対策)
デジタル機器へのシール等の貼付/デジタル機器使用状況等調査資料の配布/
当日の対応マニュアルの作成/対応訓練の実施 など。
(当日の対策)
監視記録装置等の重点監視/プラント機器の状況確認 など。
その他の一般的対策
原子力発電所の運営に支障がでないよう、念のため下記の対策を実施。
- 環境への影響評価設備への対応
- 気体、液体廃棄物の最大限の受入量確保
- 測定機器の仮設、手分析での対応要員確保
- 要注意日に使用しなくても良い待機中機器の停止
- ユーティリティの確保(重油、純水・淡水、水素・窒素等ガスボンベ、薬品等)
- 貯蔵品、予備品の種類、数量、健全性等の確認
- 多様な通信手段の確保(社内・外電話、携帯電話、衛星通信等)
- Y2K対応マニュアルの作成 等
対応体制
- 12月28日~1月4日までの間は警戒本部、特に問題発生の可能性が高い12月31日~1月1日については非常災害対策本部を設置する。
- 12月31日~1月1日には通常の勤務体制に加え、全社で約1,500名の待機体制(それぞれの職場において)で臨む予定。
(2)原子力発電所の安全設計と安全管理
- 原子力発電所の安全設計は、十分に余裕のある設計、高品質な機器・材料の使用がなされており、更に国による安全審査において異常事象などに対しても問題のないことが確認されている。
- 安全管理は、国家資格を有した運転責任者による運転や巡回点検の実施からなる運転管理、定期検査の実施や予防保全に基づいた点検の実施からなる設備管理、トラブルが発生した場合に備えた種々の対策からなる危機管理などの日常からの保安活動により成り立っている。
- このことは、コンピュータ2000年問題に対しても十分有効に機能するものである。
以 上