プレスリリース

1999年4月16日
関西電力株式会社

大飯発電所2号機の点検状況について(制御棒落下事象の原因と対策)

 大飯発電所2号機(加圧水型軽水炉定格出力117万5千キロワット)は、平成10年8月29日からの第14回定期検査において、調整運転開始後の出力上昇中(約38%出力)の平成11年1月29日に制御棒1本が挿入され、電気出力が約35%まで低下したことから、点検調査を行うため出力降下し、発電機を解列しました。

 その後、原子炉停止に向けて、制御棒の挿入操作を行っていたところ、制御棒1本の挿入状態が他のものより下方に挿入されていたことが確認されたことから、原子炉を手動停止させました。

 なお、この事象による環境への放射能の影響はありません。

 原因調査として、制御棒駆動装置の動作確認や電気系設備の点検等を実施したところ、電気系設備については異常は認められていませんが、制御棒動作確認において、他の制御棒4本について新たに動作不良(落下、スリップ等)が認められました。

 これまで、現地で温度の低い状態において制御棒駆動装置の据え付け状態を確認するとともに、様々な温度条件で動作試験等を実施しました。この中で、温度の低い状態において前に動作不良を起こしている制御棒1本に動作不良が再現した他、温度の低い状態および高い状態においても可動つかみ磁極が上下する動作が若干緩慢である制御棒が認められました。

[平成11年1月29日、2月17日、3月11日 記者発表済]

  • 1.詳細調査結果

     原子炉容器上部ふたを開放し、動作不良のあったものを含む6本の制御棒駆動装置ハウジングを切断し、内部構成品(ラッチアセンブリ)の分解調査を実施したところ、動作不良及び動作が緩慢であったものの摺動部には、正常なものに比べ明瞭な摺動痕が認められ、付着物も多く認められました。
     また、リフト磁極下部のはさみ板及び固定つかみ磁極側面に腐食が認められました。

     大飯2号機は、今回の定期検査で原子炉容器上部ふた取替工事を行うために、新しい上部ふたを昨年11月28日、原子炉容器本体に設置しましたが、11月30日に発生した余熱除去ポンプ出口ドレン弁管台元弁取付部の損傷により、1次冷却材の水張りまでの期間としては通常約1週間の予定が48日間を要しました。
     このため工場において、実機相当のモデルにて実機保管環境を模擬して腐食を発生させたラッチアセンブリを使用し、動作試験を実施したところ、実機と同様な動作時間の遅れが認められました。

     一方、可動ラッチ支持管動作時の案内管との摺動及び固定つかみ磁極上部での水の流れを模擬した、付着物の混入の影響を把握するための試験を実施したところ、それぞれ摺動および水の抵抗が増加することが確認されました。

  • 2.原因の推定
     原子炉容器上部ふたは、原子炉容器本体に設置されると、原子炉容器内の1次冷却材により湿潤雰囲気下に置かれますが、今回この期間が長期に及んだため、はさみ板間などで腐食が発生し、その腐食生成物は、制御棒の動作に伴い拡散され、リフト機構の摺動部他に入り込んだと推定されます。
     その結果、摺動及び水の抵抗が増加してリフト動作時間に遅れが生じ、固定ラッチが制御棒駆動軸を不完全に保持した状態となり、可動ラッチが開放された際に制御棒の動作不良(落下、スリップ等)が発生したものと推定されます。
  • 3.対 策

     対策として、ラッチアセンブリを全数新品に取り替えます。なお、念のため今回の取替えに際しては、腐食を予防するため工場であらかじめ保護被膜を形成させたものを使用します。

     対策を実施した後、7月中旬頃に運転を再開する予定です。

     また、今後原子炉容器上部ふた取り替え工事に際しては、作業管理要領の充実を図り実施することとします。

以 上

(通商産業省によるINESの暫定評価)
INES:国際原子力評価尺度
基準1 基準2 基準3 評価レベル
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<参考資料>