プレスリリース

1999年2月8日

美浜発電所1号機の高経年化対策の実施について

1.高経年化に関する基本的な考え方
 本検討は、国の評価方針として1996年4月「高経年化に関する基本的な考え方」に基づき美浜発電所1号機を対象に実施した。

2.高経年化に関する技術評価
 美浜発電所1号機のプラントを構成する系統・構築物・機器について、部位まで展開し、部位毎に想定される経年変化事象に対して長期健全性評価及び現状保全の妥当性評価を実施し、高経年化対策について総合的に評価を行った。

 また、耐震性については、想定される経年変化事象に対して耐震安全性評価を実施し、高経年化対策に反映すべき課題の有無を検討した。
 仮定する運転期間としては、国の「高経年化に関する基本的な考え方」と同様60年間とした。
 評価の結論は、以下のとおりである。

    大部分の機器については、現状の保全を継続することにより、今後長期間の運転を想定しても安全に運転を継続することは可能である。
    一部の機器については、現状保全に加え、検査の充実等が必要である。

3.高経年化に関する具体的対策
(1)上記の技術評価結果を基に、高経年化対策上充実すべき課題及びその対策について長期保全計画としてとりまとめた。主要な結果は以下のとおり。

    長期健全性評価の妥当性確認
    • 疲労評価の想定過渡回数に対する実過渡回数の確認
    • ケーブル、電気品、基礎ボルト等の実機サンプリング調査によるデータ拡充
    • ケーブル周囲温度等の実機環境の確認
    • コンクリートの非破壊試験等による評価の妥当性確認

    検査の充実

    • 高温・高溶存酸素配管溶接部の応力腐食割れに対する検査
    • 蒸気加減弁弁体ボルトの応力腐食割れに対する検査
    • 高低温流体合流部等の疲労割れに対する検査
    • 復水器真空ポンプシール水クーラ伝熱管の腐食に対する検査

    海外トラブル部位の検査の充実

    • 1次冷却材ポンプ熱遮へいハウジング等の熱疲労割れに対する検査
    • 炉内構造物ボルト等の照射誘起型応力腐食割れに対する検査

(2)上記の評価結果を基に、今後更に充実すべき技術開発課題についてとりまとめた。主要な結果は、以下のとおり。

    経年変化評価技術
    • 原子炉容器中性子照射脆化の上部棚領域の靱性低下に関する評価技術の整備
    • 応力腐食割れ等に対する材料データの拡充

    検査、モニタリング技術

    • 低圧ケーブルの非破壊劣化診断技術の開発

    補修・取替技術

    • 炉内構造物の補修・取替技術の開発

4.今後の取り組み
 運転開始後28年を経過した美浜発電所1号機について、高経年化対策に関する技術評価の結果、現状保全の継続及び点検・検査の充実等を行うことにより、プラントを安全に長期間運転することが可能との見通しを得た。
 今後は、この長期保全計画に基づき、実機に具体的に反映し、定期検査時等に実施していく。

 また、今回の評価は、現在の最新知見に基づき実施したものであるが、今後、この高経年化対策に関する評価を定期安全レビューに組み込み、運転経験と新たな知見を踏まえて、継続的に再評価し、検査の充実等を図り、原子力プラントの安全性・信頼性の向上に努めていく。

以 上  

プレスリリース