容量市場と需給調整市場について

VPPを活用できる電力市場として、「将来の供給力(kW)」を取引する容量市場、電気の需要と供給を一致させるために必要な電力「調整力(⊿kW)」を全国的に取引する需給調整市場などがあります。
  • 容量市場
  • 需給調整市場

容量市場とは

 容量市場とは、従来の卸電力市場で取引されている「電力量(kWh)」ではなく、「将来の供給力(kW)」を取引する市場です。
将来必要な供給力(電源)を効率的に確保するために、諸外国で広く導入されている容量市場が2020年度に創設されました。
具体的には発電所等の供給力に対し、長期的な投資回収の予見性を持たせることで、市場原理により適切な電源構築を行い、中長期的に必要な供給力等を確保するための仕組みです。

容量市場が創設されることになった背景

 電力自由化やFIT制度の導入による再生可能エネルギーの拡大により、電力会社をとりまく環境は大きく変化しましたが、引き続き、安定供給を維持するには多様な電源(発電所)を持ち、供給力を安定化させることが必要です。

電力自由化前~電力自由化後~どう変わった? 電力自由化前~電力自由化後~どう変わった?

 電源の新規建設やリプレースを行うためには、長い期間が必要ですが、先行きの見通しが立たないと事業はなかなかすすみません。この状態を放置すると電源への投資が適切に行われず、安定供給が損なわれ、それにともなう電気料金の高騰が起きる可能性があります。
そこで、

  • ① あらかじめ必要な供給力を確実に確保すること
  • ② 電気の市場価格の安定化を実現することで、電気をご使用いただくお客さま全体へもメリットをもたらすこと
を目的に容量市場は創設されることになりました。

参加対象となる電源

 容量市場のオークションには様々な電源が参加することができます。
お客さまの既存設備を活用したデマンドレスポンスや、廃棄物発電所を含む発電設備(一部)も、発動指令電源としてご参加いただけます。

オークション参加対象となる電源等の概要

オークション参加対象となる電源等の概要 オークション参加対象となる電源等の概要

容量市場の全体スケジュール

 現在、調整力公募(電源Ⅰ’)にご参加いただくお客さまの場合、容量市場においても同様にご参加いただけます。デマンドレスポンスでご参加いただいているお客さまは、2023年度までは調整力公募、2024年度からは容量市場への参加により報酬を受け取ることが可能です。
調整力公募は例年、次年度向きの募集が前年度にございますが、容量市場は長期的な予見性確保の観点からメインオークションは4年前、電源の実効性を確認するテストは2年前に行うことになるため、容量市場は調整力公募に比べ、お客さまと参加に向けての合意を早期に行う必要がございます。

容量市場スケジュール 容量市場スケジュール

容量市場の仕組み

 容量市場は、電力広域的運営推進機関(広域機関)が実需給年度の4年前に全国で必要な供給力を一括で入札により確保します。

容量市場の取引時のお金の流れ(イメージ)

容量市場の取引時のお金の流れ(イメージ) 容量市場の取引時のお金の流れ(イメージ)

容量市場の落札価格

 約定価格は、原則として落札された電源のうち最も高い応札価格とし、応札価格が単一の約定価格となるシングルプライス方式で決定されます。

オークションの落札イメージ

容量市場スケジュール 容量市場スケジュール
  • 応札価格が低い順に、すべての電源等区分の応札情報を並べ、供給曲線を作成します。
  • 全国の需要曲線と全国の供給曲線の交点となる応札情報の応札価格を約定価格とします。
  • 約定価格以下で応札している電源等を落札電源とします。なお、応札容量が部分的に落札されることはありません。

需給調整市場とは

 需給調整市場とは、「調整力(⊿kW)」を取引する市場です。停電や設備機器への支障を発生させないように、電気は常に需要と供給を一致させる必要があります。この需要の変化に合わせて発電所等で需要と供給を一致させるために必要な電力を「調整力」といいます。この「調整力」を使い安定供給を担う役割を各地域の一般送配電事業者(TSO)が担っています。

需給調整市場創設

 2016年4月のライセンス制導入に伴い、各TSOが公募入札により調整力を調達してきました(調整力公募)。
2021年4月からは、この調整力を「需給調整市場」という全国一体的な市場で取引する制度が開始されます。様々な事業者が一つの市場に参加することで、価格競争が促進され、調整力を確保するための費用の低減が期待されています。
また、需給調整市場においては、需要側であるお客さまのエネルギーリソースを活用したDRを取引できる商品区分も用意されています。

需給調整市場で取引される商品

 需給調整市場で取引される商品区分は大きく5つあり、応動時間の最も遅い三次調整力②が2021年4月から取引が開始され、順次、より応動時間の速い調整力へ商品が拡大されていく予定です。
需給調整市場の制度検討状況についてはこちら▼
(送配電網協議会HP)https://www.tdgc.jp/jukyuchoseishijo/outline/
出所)2020年8月7日 第18回 需給調整市場検討小委員会 資料4を基に作成

VPP・DRを活用して需給調整市場に参入する意義

 お客さまが保有するエネルギーリソースを用いたVPP・DRで需給調整市場に参入することは、 系統安定化コストの低減や再生可能エネルギーの導入促進への貢献といったSDGsにつながるものであり、また、お客さまのエネルギーリソース価値の最大化にもつながるものとして、社会的に取引の活性化が期待されています。

■系統安定化コストの低減

 VPP・DRは、本来別の目的を持ったお客さまのエネルギーリソース(例えば、蓄電池の場合、ピークカットや太陽光等の再エネの自家消費の拡大、BCP対策等)の余力を活用するため、 系統安定化のために従来型の火力発電や揚水発電などの電源と比べ、設備投資等を抑制することができ、 中長期的には系統安定化コストの低減に貢献するものと期待されています。

■再生可能エネルギーの導入促進

 太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、天候などの影響によって短い時間のなかで発電量が急激に変動するため、導入促進には、導入量に見合った調整力を確保する必要があります。
そこで、今後、さらなる再生可能エネルギーの導入拡大に向けて、VPP・DRの調整力としての重要性は高まってきます。

■お客さまのエネルギーリソース価値の最大化

 関西電力はアグリゲーターとして、需給調整市場への参入を含め、 DRの買い手や取引メニューを増やすことで、お客さまのエネルギーリソース価値を最大化できる最適なサービスをご提案してまいります。