2022-12-14

「「自分も大切にする」子育てで、家族にゆとりを」
  • Yaala(ヤーラ)株式会社は、関西電力グループの社内ベンチャー制度である「かんでん起業チャレンジ」から、2022年6月に設立された会社。
  • 同社の代表であり、2児の母でもある井上裕子さんが、ご自身で経験した子育て中の苦労や悩みをもとに起業。「新たな家族のスタートをもっと特別な時間に」というコンセプトのもと、乳児を持つ家族向けに、産後サポート事業を開始しました。利用者となるご家族に、Yaalaが提供する施設「Yaalaの家」に一定期間滞在してもらい、それぞれの家族に合わせたサポートサービスを提供します。
  • 起業してから約半年がたった今でも、「まさか自分が起業するなんて!」と思うという井上さん。そんな井上さんに、事業開始以降の育児に関する気づきや、ご自身のご家族とのこと、これからの展望についてお伺いしました。

PROFILE

井上 裕子(いのうえ ひろこ)
Yaala株式会社 代表取締役社長

関西電力に入社後、火力発電所の運用や計画業務といった業務に従事。
2022年6月、自身の子育て経験をもとにYaala(株)を設立。
代表取締役社長として、日々、事業内容の検討から営業活動、関係者との対応等、幅広い業務をこなす傍ら、小学生と保育園児の2児の母として、自身の子育てにも向き合っている。

「育児への想いを『ゆるめて』もらいたい」 Yaalaのこだわり

-井上さんご自身の経験から生まれた産後サポート事業ということですが、特にこだわっている点はありますか?

井上氏
こだわりは、「ゆるめること」です。Yaalaのサービスは、元々、私が産後に感じた不安や悩みをもとに事業構想をしました。自分が初めての出産・育児を迎えたとき、常に「全然がんばれていない」という想いに駆られてしまって、正直しんどいな、と感じる時間が多くて。でも、友人と話をするうちに、その感情は多くの家族に共通するものなんじゃないか、と感じるようになりました。実際、Yaalaに来てくれるご家族も、「手を抜きながらやっているので、全然頑張っていないですよ」と謙遜する人が非常に多いです。でも実際に聞いてみると、かなり頑張っている。育児に関する様々な情報が溢れている時代で、あれもしなきゃこれもしなきゃと設定して、それに縛られ、追い詰められている家族が非常に多いように感じます。そんな中で、まずはご家族に、「もう十分頑張っているんだよ」「無理しなくていいよ」と、たくさん伝えてゆるめてもらう。自分を追い詰めすぎずにゆとりをもってもらうことを大切にしています。


<Yaalaの家のリビングは、部屋から海も見えて開放的です>

「家族だけだと気を遣いすぎる」 育児に第三者が入る強み

-今、Yaalaとして力をいれている取組みはありますか?

井上氏
今は、モニターキャンペーンを実施中で、通常より短い期間や、価格を抑えた形でサービス利用してもらい、そこで多くの意見をもらうことで、サービス内容の改善等に繋げたいと考えています。
Yaalaは新しい産後サービスということもあり、お客さまがイメージしづらい点もあるかと思うので、まずは興味を持っていただき、直接お話しして、魅力を分かってもらえたらと考えています。

-実際にモニター利用した方からはどんな意見をいただいているのでしょうか?

井上氏
利用した方からは好評をいただいています。「Yaalaの家に来たことで、自宅では話せないことを夫婦で話せた」、「特別な時間を過ごせた」というお声をいただき、滞在型である魅力を実感してもらえた自信はあります。また、産後すぐの育児期間に、第三者がいることも大きなポイントです。育児は「家族で行うもの」というイメージが根強いかと思うのですが、家族って、意外と自分達だけだと気を遣いあって生活しているんですよね。言いたいことを我慢したり、逆にあえて伝えていなかったり。産後すぐは、ライフスタイルが変わり、夫婦関係も変わり、コミュニケーションが本当に大切になる時期です。そういう時期に第三者が橋渡しをすることで、夫婦同士でも、「相手がそんなこと言ってくれてたんだ」、「そんな風に思ってるなんて知らなかった」と、いう気付きがあるんですよね。実際にそういった感謝のお声をいただいたときは、起業して本当によかったと思えます。


<赤ちゃんとゆったり過ごせる個室へ案内いただきました>

「家事の分担はそのままで」 育児真っただ中での起業

-井上さん自身が、まさに育児の真っただ中の時期に事業を開始していますよね。
 起業したいと家族に相談したときの反応はいかがでしたか?

井上氏
夫からは、「やってみたいならいいんじゃない」というような反応で、猛烈な反対も、熱烈な応援があったわけでもなかったです(笑)。元々、家事も育児も分担していたので、お互いのペースを崩さない範囲で、好きなことをするというスタイルができていたのかなと思います。

-ご家族との時間やプライベートはどのように確保していますか?

井上氏
ライフスタイルはほとんど変わっていませんが、プライベートと仕事の境目がなくなって、常に頭の片隅に事業のことを考えてしまう、という変化はあるかなと思います。ですが、家族の時間を確保するために、「夕食は家族みんなで」をモットーにしています。夫と私で帰宅時間がバラバラな日もありますが、なるべく仕事の時間を融通していますね。それと、休日は起業前と変わらず、子供と公園で遊んだり、家でゆっくり過ごしたりと、楽しむときは楽しんでいます。あとは、今はクラフトビールにはまっていて、家にも常備してよく飲んでいます。夫はハイボールが好きなので、それぞれ好きなお酒を楽しんでリフレッシュしています。

<2階のベランダは人工芝になっていて、海と町を一望できます>

「夢は海外リゾート」 自分も大切にする育児を目指して

ーYaalaの今後の展望はどうでしょうか?

井上氏
まずは、Yaalaをもっと多くのお客さまに知ってもらって、利用してもらえるよう活動していきたいです。Yaalaの家に滞在していただく期間は限られますが、子育てはずっと続くものなので、Yaalaで出来た習慣がご自宅に戻っても続くように、1つひとつの家族に寄り添ったサービスを提供していきたいと思っています。そのためには今のサービス内容にこだわらないことも大事だと思います。例えば、産後だけではなくて産前からサポートしたり、Yaalaの拠点を増やしたりもしてみたいです。海外で、リゾート気分で産後生活を過ごすのも魅力的かも!(笑)。そんな風に、自分のことも大切にする時間を、様々な視点で作ることができたらと思います。そうすることで、子育てにもゆとりを持って、楽しんで向き合ってもらえるようなサービスに育てたいです。


(聞き手)
関西電力株式会社 広報室 宮田、岩田

【参考Yaala(株)公式ホームページ:https://www.yaala.info/