2022-9-28

「誰もができる、誰でも同品質」を目指して 株式会社かんでんエルハート

  • (株)かんでんエルハートは、関西電力(株)の特例子会社として1993年に設立され、あらゆる障がい者が活躍出来る仕事を創造し、お客さまにご満足頂ける良質なサービスを届け続けることをミッションとしている。
  • 今回は、2年前に同社が行う中古パソコン(以下PC)のリファービッシュ事業の立ち上げに携わった豊氏に話を伺った。

PROFILE

豊 眞澄(ゆたか ますみ)
(株)かんでんエルハート ビジネスアシストセンター リーダー

2008年、派遣社員として同社に入社。2年後正社員となり、メールサービス事業等を経験。2020年の異動により、現在の仕事に。

ラッキー!クリエイター気質とオタク気質を持つ私に、もってこいの仕事

私は元々、クリエイター気質というか、0から何かを創りあげることが好きです。これまでにない新しい仕事、と聞くと燃えるタイプ。2年前の異動で上司から「PCリファービッシュ事業を始めることにしたから、その立ち上げを任せたい」と告げられた最初の感想は「ラッキー!」でした。PCリファービッシュ事業とは、簡単に言うと、企業等でリース期間が終了あるいは廃棄予定の中古PCを、パーツ交換やクリーニングを施し、再製品化することです。実は私、かつては自分でパーツを買いそろえ、自分好みのPCを作り上げるほど、オタク気質も持ち合わせています。私には、もってこいの仕事じゃないか!と俄然やる気がでました。

当社がリファービッシュ事業を行うことになった経緯は、使用済パソコンの再生・販売事業を手掛けるベンチャー企業として、2019年に設立された株式会社ポンデテック(2022.4から関西電力グループ)さんからお声掛けいただいたことがきっかけです。ポンデテックさんが中古PCを仕入れ、当社でPCの再製品化作業を実施、販売はポンデテックさんが担う、というスキームです。ポンデテックさんとは、「一緒にこの事業を成長させよう」という、同士のような感覚でいます。

部品にニックネーム「Hくん」。専門用語は使いません!

私のモットーは、「仕事は楽しく」。モチベーションが低下すると、ミスが起こりやすく、効率も低下します。当社は身体障がい・知的障がいをはじめ、様々な障がいのある方が作業をしていますが、中には、難しい専門用語に拒否反応を示したり、モチベーションを下げてしまったりすることも。そこで、例えばH型のパーツには“Hくん”というように、部品にニックネームをつけ、「次はHくんをこっちにくっつけてあげようか」等、出来るだけ楽しい雰囲気になるよう心掛けています。

また、障がいの特性は各人で異なるので、それぞれの特性にあった声掛けや指示をすることが重要です。一方で、仕上がりは誰が作業しても同品質を担保する必要があり、毎日試行錯誤しています。例を挙げると、こだわりが大変強くでる特性の人は、クリーニング作業のやめ時がわからなくなることがあります。商品としてのレベルを十分に満たしているのに、僅かな汚れが気になり、ずっと磨いてしまうのです。時間や磨く回数を決めてしまうことも考えましたが、PCの状態も千差万別であるため、一概には決められず、判断が必要となります。現在はこうした判断が苦手な方には別の工程を担当していただくなど、人員配置を工夫することで対応していますが、何かしらの工夫でルール化し、「誰もができる、誰がやっても同品質」を目指していきたいです。

躊躇なくすすむ作業の様子
<躊躇なくすすむ作業の様子>

成長の実感と、お客さまの声が何よりうれしい

私は指導・指示する立場ですが、厳しく教えこむのではなく、運用を工夫することで、自然と「誰もができる、誰がやっても同品質」となるのが理想と考えています。初期の頃は全てが手探りで、専門家もいない中、“手を動かしながらルールを作っては、問題点を見つけ改善する”を繰り返していました。ルール・マニュアルの整備や伝え方の工夫によって、これまで躓いていた工程が出来るようになる姿を目の当たりにすると、その方も、そして自分も成長できたと実感でき、やりがいを感じますね。

また、私たちの仕事は、お客さまの声を知ることができます。ポンデテックさんが運営するECサイトで、実際に私たちが作業したPCを購入した方のレビューを確認できるのです。「綺麗にクリーニングしてあって嬉しい」「この品質で、このお値段でいいのかしら」等といったレビューを目にすると、本当に嬉しいです。私たちの手がける商品の品質は高い、と秘かに自負しています(笑)

<ECサイト:https://pcnext.shop/

届いたPCの埃をはらう作業
<届いたPCの埃をはらう作業>

一つひとつの工程を丁寧に確認しながら進める様子
<一つひとつの工程を丁寧に確認しながら進める様子>

自分のミスで苦情に発展。チェック体制の抜本的見直しへ

もちろん失敗の経験もあります。私が担当した梱包により、お客さまから厳しい苦情を頂いたことがありました。まだ事業開始して間もない頃でプロセスが曖昧だったことや、梱包方法変更についての連携不足、納期への焦りからダブルチェックを怠り送付してしまった等、様々な要因が重なり、お客さまに大変不快な思いをさせてしまい、販売者であるポンデテックさんにも迷惑をかけてしまいました。当然落ち込みましたが、その経験から、チェック体制を徹底的に見直し、他の工程も含め、チェックを受けないと次に進めないように変更しました。また、メンバー間の情報共有の機会も増やし、ミーティングの場ではもちろん、普段から何でも相談・報告するよう呼び掛け、実践するようにしています。

リファービッシュ課立ち上げが私の野望

もっともっと運用を改善することで、「誰もができる、誰がやっても同品質」が実現できれば、作業に当たる人の幅を増やすことができます。当社の理念である障がい者活躍を一層進めることができますし、もちろん収益にもつながります。さらには当社だけではなく、全国の障がいのある人がこの仕事で活躍できたらいいなという思いのもと、ポンデテックさんと一緒に、特例子会社を持つ企業を中心に、社外にも輪を広げる活動もしています。

私の野望は、この仕事に参加できる人を増やし、いずれは当社にリファービッシュ課を立ち上げることです。課長の座も狙いましょうかね(笑)

休日は推しのお笑いライブに馳せ参じてます!

リフレッシュ方法は、大好きなお笑い。NGK(なんばグランド花月)に自転車で20分のところに住んでいることもあり、月に何回かは推しのコンビのライブを観に行きます。売れ出す前の、ちょっとマイナーなコンビの中からお気に入りを見つけて応援することが好きですね。

そのほか、コロナ禍以前は、毎年沖縄の波照間島へ旅行に行っていました。そこから見える星空は、圧倒されるほど綺麗です。何もしない贅沢を味わいに行くのですが、実際はどうしてもあくせく動いてしまいます・・(笑)ですが、早くまた行きたいです!

あとは料理も好きで、気まぐれに色々作っています。日によって居酒屋風に小鉢をたくさん揃えたり、ベトナム料理もどきを作ったり・・・その日の気分にあわせて色々考えるのも楽しいですね。

(聞き手)

関西電力株式会社 広報室 村上、大西