2022-5-11

130年以上の歴史 ~電柱広告の新たな挑戦~

※写真左から、中氏、寺内氏、吉永氏、津田氏

関電サービス株式会社

 130年以上の歴史がある広告媒体「電柱広告」。近年、スマホやカーナビの普及に加え、屋外広告物の規制強化も相まって需要創出が年々難しくなっています。
 このような状況の中、従来の「道案内」という役割にプラスとなる、新たな役割を模索する必要がでてきました。
 今回は電柱広告について、1985年から続いている、関電サービス株式会社の「電柱広告デザインコンクール」の取り組みを紹介します。コンクール開催に向けた課題や新たな取組みにチャレンジする奮闘ぶりなど、電柱広告デザインコンクールのプロジェクトメンバーに話を伺いました。

◆プロジェクトメンバー紹介

  • 寺内リーダー:総監督。各種窓口への交渉やオープニングセレモニーの企画を担当。
  • 中  氏  :チームのブレイン。予算関係やARゲームの企画を考案。
  • 津田 氏  :ディレクター。プロジェクトに係る制作物全般のデザインを担当。
  • 吉永 氏  :唯一の20代メンバーでチームの元気印。SNS関連の新規施策を担当。

そもそも、電柱広告ってなに?コンクールの目的は?

寺 内
電柱広告とは、その名のとおり電柱に掲げる屋外広告のことで、公道上に設置できる数少ない媒体です。昔から地域密着型の「道案内」として親しまれており、海抜表示や避難場所誘導表示などの防災面においても活用されています。
 中 
その電柱広告の魅力度・認知度アップや、広告制作会社の技術向上等を目的に、当社ではこれまで36回コンクールを開催してきました。従来のコンクールは、屋内施設で審査会を実施していたのですが、前回からは、一般の方々へのPRや企業・店舗、自治体関係者様に対して広告の価値を再認識いただければと思い、実際の電柱に作品を展示し、屋外で開催しました。

「トライ&エラー」を合言葉に、新たな挑戦へ

吉 永
昨年度はコロナ禍での開催ということもあり、中止も視野にいれながらの運営で非常に苦労しました。そのような状況の中、新たな取り組みにも挑戦しようと考え、当初はメンバー同士で意見がぶつかり合うことも多々ありましたが、「トライ&エラー」を合言葉に、試行錯誤しながら開催することができました。
津 田
メンバー間で新たな取り組みを模索する中、「開催地である新今宮エリアの地元のみなさんとのつながりを大事にしたい」との方向性で一致しました。そのため、『地元店舗とタイアップしたイベント』や『地元をテーマにしたAR謎解きゲーム』、『インフルエンサーを活用した地元PR』等、地元と連携した企画をたくさん準備した結果、現地に訪れていただいた方や地元のみなさんの反応も上々でした!

地元の方々の協力が成功要因の1つ

寺 内
今回、開催場所を新今宮にした理由としては、大阪市浪速区と西成区の共同企画である「新今宮ワンダーランド」という賑わい創出施策があると知ったからです。調べていくと、新今宮北側は大手ホテルの参入や駅前開発など、近年めまぐるしく環境が変わってきており、今後注目されるエリアだということが分かりました。また、具体的にプロジェクトを進める中で、町会・商店会・振興町会などの地元のみなさんが、コンクールの開催に前向きな意見をいただき、「このエリアでやってみたい」という決め手になりました。
 中 
コロナ禍の影響により営業自粛で閉店している店舗が多い中、タイアップ参加店舗の募集に苦労したのですが、土産物店の店長から「他の店舗にも参加するようにお願いしておくよ!」と温かいお言葉をいただいたり、地元自治会、商店会の会長、副会長の積極的な働きかけにより、たくさんの店舗にご賛同いただきました。これは、決して当社だけで実現したものではなく。地元の方々の多大な協力があったからこそだと思っており非常に心強い存在でした。みなさんには感謝の気持ちでいっぱいです。

地域と連携しながら、関西をもっと盛り上げたい!

津 田
前回のコンクールでは、地域との連携・つながりを深めていくことを意識して取り組んできたので、今後も「地元密着・地域貢献」を意識していきたいですね。その上で販売促進につながるよう努めていきます。関係者の方々から「来年はうちで開催してよ」と言っていただけるようなコンクールにしたいです。
寺 内
今年も実施する方向で検討をすすめていますが、前回トライした企画をさらにブラッシュアップしたいと考えています。関西から電柱広告業界・屋外広告業界全体を盛り上げていけるようなイベントにしたいです!

電柱広告の新たな可能性の模索は続く・・・

吉 永
引き続き、電柱広告の新たな活用方法を模索していくことも課題として残っており、「地域とのつながり」は1つの鍵になると考えています。現在、各自治体様にご協力いただき地域のマスコットキャラクターをデザインした「コラボ電柱広告」は、お店のPRと共に地域貢献による企業・店舗のイメージアップに繋がる商品として販売中です。また、京都・木津川市で想定浸水深を表示するにあたり、青色のラッピングを電柱に巻き付けました。これは実際に川が氾濫した場合に浸水する深さを実感し、防災意識を高めてもらうことを目的に実施したものです。遠くからでも非常によく目立つため、視認性は抜群だと思います。
寺 内
広告媒体の中でもお手頃な料金で利用できる電柱広告は、店舗や自治体に限らず新たなターゲットを模索中です。これまでの既存の取り組みや常識にとらわれることなく、どんどん新しいことにチャレンジしていきます!

(聞き手)
関西電力株式会社 広報室 村上、宮田