2022-2-24

文系から「データサイエンス」の世界へ K4 Digital株式会社 濱田 慧

K4 Digital株式会社(以下、K4)は、2018年8月に関西電力とアクセンチュア株式会社が共同で設立した会社で、最新のデジタル技術を駆使した関西電力グループのDX化や新規事業創出を目的に、約90名の社員が業務に励んでいます。

そんなK4にて、データアナリストとして働く濱田慧氏。多くの業務経験を通して得た学びや知的好奇心を武器に奮闘されています。濱田さんに、困難を極めたプロジェクトの裏側やデータアナリストを目指したきっかけなどを伺いました。

PROFILE

濱田 慧(はまだ けい)

K4 Digital株式会社 ソリューションユニット データアナリスト
2011年に関西電力入社。
IT・広報を経て2019年4月にK4での勤務を開始。
データアナリストとして数々のプロジェクトに携わり、関西電力グループのDX化に貢献している。

相手のニーズを明確に把握する

これまで、関西電力の発電部門を中心に、各部門のDX化に携わってきました。具体的には、発電所内で発生する異常の早期検知、火力発電でのボイラ炉内ドローン点検、ガスの需要想定など多岐にわたります。

私たちの仕事は、部門からの要望をきっかけにスタートします。ただ、部門自身もDXに対する認識等が曖昧な場合もあり、「何に困っているのか」、「何が出来れば課題解決につながるのか」をきめ細やかに聞き取ることが大切です。調整においては、DXに係る専門用語を使わず、筋道立てて説明することも心掛けています。
最終的な着地点が明確でないままに作業を進めてしまうと、せっかくの成果物も期待した効果が得られない恐れがあります。そのため、最初のヒアリングで十分にコミュニケーションを図ることが最も肝だと考えています。

試行錯誤で挑んだ「熟練所員の経験のデータモデル化」

2020年8月に火力発電所でロボットが異常を検知するAIを開発しましたが、このプロジェクトが最も苦労しました。これは、発電所員が熟練の経験から目視や触診で実施していた設備診断をロボットやAIで代替するものです。
通常、AI開発にあたっては、まず正常や異常に関する膨大な数値データをプログラムに読み込ませ、そのデータを基にAIを構築します。しかし、このプロジェクトについてはデータがほとんど存在しませんでした。

そのため、まずは、AIが検知するべき「正常状態」と「異常状態」をデータとして収集するところからのスタートでした。ある設備で正常とされる状態を「画像」や「音」などの視点でデータ化、続いて異常状態(漏油や異常音)についても、同様にデータを取得します。ただ、潤滑油の漏洩などは実際には滅多に起きないため、堺港発電所の皆さんにもご協力いただき、近しい状況になるように模擬しデータ収集を進めました。何度も現地に足を運び、このような作業を多くの設備で繰り返しつつ、火力事業本部の皆さんと議論を重ね、ようやくAIが完成した時は、火力事業本部の皆さん、K4のメンバーへの感謝の気持ちと達成感でいっぱいでした。

転機 -前職場でのデータ分析

私は、大学では法律を専攻する生粋の文系の学生でした。関西電力にも事務系での入社ですが、データサイエンスの道を志すきっかけになったのは、技術系の配属となったIT戦略室での業務です。「ビジネス構造改革」という業務に取り組んだ際に、初めてデータ分析(R言語)に触れ、「なんと便利なのだ」と高揚感を覚え、すぐに夢中になりました。

今思うと、心のどこかに「モノづくり」への憧れがあったのかもしれません。文系出身の自分では実現できない世界だと思いとどまっていましたが、データ分析に出会い「自分でも『モノづくり』ができる」という感覚を得ることができたのだと思います。
また、データ分析に必要となる、論理的に考えて結論を導く過程も性格に合っていたようです。

-関西電力のキャリアチャレンジ制度によりK4 Digital株式会社に

幅広い経験を積むよりも、「データサイエンスの世界で勝負したい」という想いが強くなり、キャリアチャレンジ制度に手を挙げることにしました。
K4では、仕事の成果やスキルアップに対する意識の高いアクセンチュア出身の方々と切磋琢磨し、自らの希望した業務に取り組める環境があるため、日々成長を感じられます。
一方で、この業界は技術進歩のスピードが激しく、日々幅広い専門的知識を身に付けていく必要がある熾烈な世界。今も時間を捻出して、社外の分析コンペに取組む等、スキルアップに励んでいます。

※キャリアチャレンジ制度
社内公募型のキャリア選択の仕組み。採用された場合、通常のジョブローテーションから外れ、将来的に当該領域での活躍に必要な能力の獲得・伸長を促すべく、異動配置等による中長期的な育成機会を付与される。

趣味のクライミングとプログラミングの共通点

私の趣味は、大学3年生から始めたクライミングです。近所のクライミングジムがきっかけで、学生時代は大会にも出場しました。社会人になってからも、仲間と岐阜県まで岩登りに行くなど、楽しんでいます。
クライミングは力任せではなく、重心の置き方や手足の位置などで登り方を工夫する必要があり、その行程はパズルを解くようで面白いです。論理的に解を導くデータサイエンスにも通ずるところがあるかもしれません。

といっても、最近クライミングはご無沙汰で、休日には家族と近所の公園で遊んでばかりですね。家族との時間でリラックスすることで、仕事に邁進する活力を得ています。データ分析といえばK4となるよう会社を盛り立てていくとともに、関西電力グループのDXを推進していく源泉力となれるよう貢献していきたいと思います。

(聞き手)

関西電力株式会社 広報室 玉川