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2019年11月28日
関西電力株式会社

高浜発電所4号機の定期検査状況について(蒸気発生器伝熱管の損傷に関する原子炉施設故障等報告書の提出について)

 高浜発電所4号機(加圧水型軽水炉 定格電気出力87万キロワット、定格熱出力266万キロワット)は、2019年9月18日から第22回定期検査を実施しており、3台ある蒸気発生器(SG)の伝熱管全数※1について応力腐食割れ※2等を検出するために渦流探傷検査(ECT)※3を実施した結果、A-SGの伝熱管1本、B-SGの伝熱管1本およびC-SGの伝熱管3本について、管支持板※4部付近に外面(2次側)からの減肉とみられる有意な信号指示が認められました。
 その後、有意な信号指示があった伝熱管の外観を小型カメラで調査した結果、幅約4mmから8mmの周方向のきずがあることを確認しました。いずれも光沢のある金属面が確認されていることや、きずの形状から摩耗減肉の可能性が高いことを確認しました。
 また、きずの位置は、ECTおよび外観確認の結果から、管支持板下面から約1mmから10mm下であることを確認するとともに、有意な信号指示があった伝熱管周辺の管支持板等に接触痕を確認しました。

2019年10月17日29日11月15日お知らせ済み]

  • ※1 過去に有意な信号指示が認められ、施栓した管等を除きA-SGで3,245本、B-SGで3,248本、C-SGで3,259本、合計9,752本。
  • ※2 環境、応力、材料の3要因によって発生する割れ。
  • ※3 高周波電流を流したコイルを、伝熱管に接近させることで対象物に渦電流を発生させ、対象物のきず等により生じた渦電流の変化を電気信号として取り出すことできず等を検出する検査であり、伝熱管の内面(1次側)より、伝熱管の内面(1次側)と外面(2次側)の両方を検査している。
  • ※4 伝熱管を支持する部品。

 当社は、上記の伝熱管損傷を踏まえ、これまでの調査結果や原因と対策を取りまとめ、本日、原子力規制委員会に原子炉施設故障等報告書を提出しました。

1.原因調査

 有意な信号指示があった伝熱管(計5本)は、小型カメラによる調査の結果、いずれも光沢のある金属面が確認されていることや、きずの形状から摩耗減肉の可能性が高いことなどを確認しました。
 このため、減肉の要因として異物の接触等の可能性が考えられることから、SG器内(A~C)および2次冷却系統の調査および減肉のメカニズムの検討を行いました。

(1)SG器内の調査
a.伝熱管近傍の点検
 有意な信号指示があった伝熱管(計5本)の外観等を確認するため、小型カメラを用いて各SG器内(2次側)の調査を行った結果、A-SGの第1管支持板上に金属片(長さ約20mm、幅約10mm、厚さ約0.6mm、重量約1g)を確認し、工場において化学成分分析、外観観察等を実施した結果、ステンレス鋼(SUS304相当)と推定しました。
 また、外観観察の結果、摺動痕が認められなかったため、この金属片は伝熱管を摩耗減肉させたものではないと推定しました。
b.SG器内上部構造物の点検
 気水分離器、給水リング等について、小型カメラ等により目視点検を実施した結果、異常は認められませんでした。
c.SG器内の水張りによる調査
 SG器内に水を張り、底部から窒素を噴射させた後、水を抜き、管板部をカメラで確認するとともに、排水内の異物を確認しましたが、スラッジ以外の異物は確認できませんでした。
 なお、SG器内から回収したスラッジによる伝熱管摩耗試験を実施した結果、伝熱管に軽微なきずは付くものの、スラッジはもろく、接触部が摩滅することから、伝熱管を摩耗減肉させる可能性は低いことを確認しました。

 これらの調査の結果、部品損傷などの異常は認められず、A-SGで確認された金属片以外の異物は確認できませんでした。

(2)SG器外の調査

 SG器外から異物が持ち込まれた可能性が高いと推定されたことから、昨年の高浜3号機の蒸気発生器伝熱管における外面減肉事象と同様に、SGへ異物が持ち込まれる経路等の調査を行いました。

a.異物の混入時期
 減肉が認められた伝熱管については、今回の定期検査で初めて外面からの減肉信号指示が確認されていることから、前回の定期検査時に系統内に異物が混入した可能性が高いと推定しました。
b.異物の流入経路
 2次系冷却系統内の機器の部品が損傷すること等により異物となる可能性は低いことから、主給水系統もしくはSG水張系統からSGへ異物が流入した可能性があると推定しました。
 このため、系統外部からの混入の可能性を調査した結果、弁やストレーナ、タンクの分解点検の際に機器を開放することで作業員の衣服等に付着していた異物が系統内に混入する可能性があることを確認しました。
 また、垂直配管に取り付けられている弁については、作業完了後の最終異物確認時に目視による確認が困難な範囲があることを確認しました。
c.想定される異物
 系統の開放点検を実施している作業箇所の近傍において、保温材外装板や配管識別表示等の現地加工を実施した際に部材の切れ端等が発生し、異物が混入する可能性があることを確認しました。
(3)減肉のメカニズム
a.想定される異物の形状
 減肉痕等の位置関係から、異物形状を、長さ18mm~24mm、幅6mm~8mm、厚さ1mm以下と推定しました。
b.管支持板下面での減肉メカニズム
 工場における再現試験等の結果、SG器内の水・蒸気の流れにより管支持板下面に留まった異物に伝熱管が繰り返し接触することにより、摩耗減肉が発生することを確認しました。
2.推定原因

 伝熱管の外面減肉が認められた原因は、管支持板下面に異物が留まり、その異物に伝熱管が繰り返し接触したことで摩耗減肉が発生したものと推定しました。
 また、異物は、前回の定期検査(第21回)中における弁等の分解点検時に混入したものと推定しました。

3.対 策
(1)伝熱管の施栓
 当該伝熱管については、高温側および低温側管板部で閉止栓(機械式栓)を施工し、使用しないこととします。
(2)SGへの異物混入防止対策
 SGへの異物混入の可能性のある機器の点検について、次の内容を作業手順書等に記載します。
  • ・作業員が機器に立ち入る際には、作業服を着替えるとともに靴カバーを着用する。
  • ・垂直配管に取り付けられている弁の点検後、目視による点検が困難な箇所に対してファイバースコープによる異物確認を行う。

 なお、上記の取りまとめ内容については、今後、原子力規制委員会により原子炉施設故障等報告書の確認等が行われることから、当社は、真摯かつ的確、迅速に対応してまいります。

以 上

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