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2017年8月21日
関西電力株式会社
朝日航洋株式会社

黒薙第二発電所の北又えん堤修繕工事にかかるヘリコプターからの運搬物の落下に関する原因と対策について

 平成29年8月3日、10時2分頃、関西電力株式会社の黒薙第二発電所の北又えん堤修繕工事中、協力会社である朝日航洋株式会社がヘリコプターによる運搬作業を行っていたところ、工事に伴い使用する索道の設置にかかる資機材(約700kg)が落下しました。

※空中に張り渡したワイヤーロープに搬器を吊るし、建設工事資材などを運搬する設備

 落下場所は、富山県黒部市宇奈月町(うなづきまち)舟見(ふなみ)明日(あけび)音沢(おとざわ)付近の山中であり、けが人や設備の損壊等がないことを確認しました。
 地元の方々をはじめ、多くの皆さまにご迷惑、ご心配をおかけしたことを、深くお詫び申し上げます。

[平成29年8月4日お知らせ済み]

 その後、以下のとおり調査を行い、推定原因と再発防止対策を取りまとめましたので、お知らせします。

  1. 1.調査結果
    (1)当日の作業概要
     北又えん堤修繕工事では、朝日航洋がヘリコプターを用いて、工事現場とヘリコプター基地間で、工事用の資機材を運搬していました。
     網状のヘリモッコに資機材を詰め、隙間をロープで固縛した後、上空で静止したヘリコプターから降ろした吊フックに、4箇所すべてのヘリモッコアイ部を掛け、吊り下げた状態で運搬していましたが、その運搬中にヘリモッコが落下しました。
    (2)吊フックの状況
     ヘリモッコの落下後に、基地に戻ったヘリコプターの吊フックを確認した結果、吊フックのみであり、フックは隙間なく閉じていたことを目視により確認しました。
     また、ヘリコプター搭乗員および地上作業員へ聞き取りを行ったところ、地上作業員の吊フックへの玉掛け作業には問題がなかったこと、およびヘリコプター搭乗員による誤操作(飛行中に誤って吊荷を落下させる操作)はなかったことを確認しました。
    (3)同型の吊フックでの検証結果
     吊フックのインジケーターの指示ラインがわずかにずれ、ロックが不十分な状態でも荷物を吊り上げることができることを確認しました。
    (4)吊フックの電気制御回路の検証結果
     電気制御回路の端子部や配線において、接続端子の緩みや断線、異物の接触などにより誤った信号が出され、吊フックのロックが解除されることで、吊荷が落下する可能性があることを確認しました。
  2. 2.推定原因

     以上の調査結果から、今回の落下原因は、以下の事象のいずれかにより、フックが開放し吊荷が落下したものと推定しました。

    • 吊フックのインジケーターの指示ラインをロック状態と誤認し、ロックが不十分な状態で運搬した。
    • 電気制御回路の誤った信号により、吊フックのロックが解除された。
  3. 3.対策
    (1)ロック状態の物理的な確認
    • インジケーターの指示ラインがロック状態にあることを、目視だけでなく、ゲージ等を用いて物理的に確認して使用する。
      なお、今回の事象にかかるフックは、インジケーターの指示ラインがロック状態にあることをゲージ等を用いて物理的に確認できないため、今後使用しないこととする。
    (2)吊フックの電気制御回路の点検
    • 吊フックの電気制御回路において、接続端子の緩みや断線、異物の接触などによる異常がないことを確認するための点検項目を新たに追加する。
    (3)再発防止策のルール化
    • 上記対策をマニュアルに反映する。
  4. 4.その他

     平成28年3月1日に、美浜線の鉄塔建替工事においてヘリコプターから運搬物を落下させたことに伴い、キーパーおよびロックライト機能付フックについては使用を停止していましたが、平成29年7月27日に国土交通省運輸安全委員会から調査結果が報告され対策が確立されるとともに、本事象の対策としての有効性も確認できたことから、対策が講じられたものから順次使用を再開します。

 関西電力および朝日航洋は、今後、同様の事象を起こさないよう、他の協力会社とも協力して、策定した対策を確実に実施し、再発防止に努めてまいります。

以 上

<添付資料>

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