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2017年2月8日
関西電力株式会社

高浜発電所2号機クレーン倒壊の原因と対策について

 高浜発電所では、平成29年1月20日21時49分、構内で大きな音がしたため、現場を点検したところ、1、2号機格納容器上部遮蔽設置工事用の大型クレーン4台のうち1台のクレーンブームが2号機原子炉補助建屋ならびに燃料取扱建屋へもたれかかっていることを確認しました。
 このため、2号機原子炉補助建屋ならびに燃料取扱建屋の屋根が一部変形していることを確認しました。
 燃料取扱建屋を内部から確認したところ、燃料取扱建屋天井からの落下物は無く、使用済燃料ピットへの影響はありません。
 クレーンブームの損傷時、暴風警報が出ており、強風が吹いていました。
 なお、当時、作業は実施しておらず、けが人はおりません。
 また、発電所敷地内および周辺のモニタリングポストの指示値には有意な変化は認められず、周辺環境等への影響はありません。

平成29年1月21日お知らせ済み]

1.建屋等の点検結果
 2号機燃料取扱建屋のパラペット※1や原子炉補助建屋屋上の配管の保温材等に損傷が認められましたが、両建屋や安全上重要な設備等(使用済燃料ピット、1次系純水タンク等)に異常はありませんでした。
2.原因調査
(1)クレーンの調査結果
  • ・クレーンの強度や、設置状態などを調査した結果、ブーム※2等に劣化はなく、強度、設備の取付け状態やクレーンの設置状態などに問題はありませんでした。
  • ・アンカーウェイト※3の固定状態などを調査し、問題はありませんでした。
  • ・損傷したクレーンの点検では、転倒による影響以外に倒壊につながる異常は認められませんでしたが、バックストップ※4の変形が認められました。
(2)当日の風速の評価
  • ・当日、高浜町内を含む福井県内には暴風警報が発令され瞬間風速35m/秒以上の風が吹く予報がでていたことや、シミュレーション結果等からの推定により、瞬間風速が40m/秒を超えていた可能性がありました。
(3)強風時の対応に関する関係者からの聞き取り調査結果
  • ・元請会社は、事故前に、強風時のクレーン待機姿勢※5を評価し、瞬間風速約42m/秒の風に耐えられるとの評価結果を当社へ報告していました。
  • ・元請会社は、その評価結果とは別に、瞬間風速30m/秒を超えると予想される場合、事前にクレーンの転倒防止をすることとしていましたが、当日の作業時や作業終了時に風が弱かったため、その後の風速変化に注意を払うことなく、暴風警報発令に気付かず、必要な対応をとりませんでした。
  • ・当社は、暴風警報発令を認識していましたが、瞬間風速約42m/秒の風に耐えられるとの評価に頼り、元請会社がクレーンの転倒を防止する対応をとっているかを確認しませんでした。
(4)クレーン倒壊の推定メカニズム
  • ・当日21時20分頃、発電所構内の風が急に強まり、ブームが前後に揺れ始め、21時49分頃、クレーンへ瞬間的に強風が吹きつけ(瞬間風速40m/秒以上と想定)、ブームを支えていたバックストップが変形し、バックストップの支えを失ったブームがクレーン後方へ倒れ、ブームが燃料取扱建屋の屋上に、またジブ※6が原子炉補助建屋の屋上へ倒れたものと推定しました。
3.原因
 クレーンの倒壊は、以下の原因により発生したものと推定しました。
  • (1)発電所構内の風が急に強まり、クレーンが転倒する可能性のある瞬間風速40m/秒以上の風が吹いたものと推定しました。
  • (2)元請会社は、風速変化や暴風警報発令に気付かず、必要な対応をとっていませんでした。
  • (3)当社は、事前に元請会社の具体的なクレーン転倒防止対策について確認しておらず、当日の暴風警報発令を認識していたものの、社内関係者との協議や元請会社への連絡を行いませんでした。
  • (4)当社は、暴風が予想される状況において、機材の転倒や落下等による、安全上重要な設備等に対する影響について議論していませんでした。
4.対策
  • (1)当社は、発電所長等関係者で、自然環境の悪化を前提に、安全上重要な機器等への影響等を議論し、請負会社に対し想定されるリスクについて注意喚起を行います。
  • (2)当社は、自然環境の悪化によって安全上重要な機器等へ影響を与えることのないよう、請負会社が想定されるリスクを前提に適切な処置を計画していることを確認します。
  • (3)当社は、自然環境の悪化に関する情報を積極的に入手し、気象状況が急変する恐れがあれば、請負会社を含む所内関係者と情報を共有します。
  • (4)元請会社は、クレーン作業終了時は、風速に関わらず、ジブをたたむ等の安全対策をとります。
  • (5)元請会社は、自然環境の悪化を考慮した移動式クレーンの機材の安全を確保するために必要な措置の検討を行い、作業計画書等に反映します。
  • (6)元請会社は、自然環境の悪化に対する警報等の情報を適切に入手し、安全上重要な機器等への影響を回避するため措置をとります。
 これらについて、請負会社への要求も含め、社内ルールに明記します。

 なお、今回取り纏めた原因と対策の内容については、本日、原子力規制庁および敦賀労働基準監督署にご報告しています。

※1:
建屋屋上の防水効果を高めるために屋上外周部に設けられた低い壁
※2:
クレーン本体に取り付けるアーム部分
※3:
クレーン待機状態においてクレーンを固定するために吊り下げる錘(おもり)
※4:
ブームが後方へ倒れないようにブームの根元で支えている支柱
※5:
ブームを地平面に対し90°、ジブを水平面に対し62°とし、5tのアンカーウェイトを設置した状態
※6:
ブームからさらに追加して取り付けるアーム部分

以 上

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